※当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。
2016年から施行された新たな祝日、山の日が増えたこともあり、夏季休暇が取りやすくなりました。夏の連休は海や山へアウトドアライフ楽しむ人も増えたことと思います。しかし、今年も悲しい水難事故のニュースを耳にしました。過去の水難事故を解析することで、悲惨な事故を防ぐ教訓となることを願います。

2016年水難事故概況

事故概況 アウトドア安全対策

警察庁生活安全局地域課より、2016年度の水難概況が発表されました。2016年の事故件数、死者・行方不明者数は、過去5年間のなかで一番多く、発生件数は1,505件、水難者数1,742人、そのうち、死者・行方不明者数は816人に及びます。

水難者を年齢層別に比較すると、中学生以下の子どもが12.5%に対して、65歳以上の高齢者が33.8%、18歳以上65歳未満が48.5%となっており、大人の事故件数が多い結果になっています。水難事故による、死者・行方不明者数が最も多い場所は海で、全体の半分以上を占めます。

次いで、河川、用水路の順となっていて、ライフセーバーなどの監視員が常駐しているプールでは全体数816人中9名と約1%という結果がわかります。

しかし、子どもの死者・行方不明者数を見ると、全体31人中、河川が20人と最も多く、海は2人、プールは3人という他の場所と比べても特出していることがわかります。

 

過去の発生状況

過去の事故 アウトドア安全対策

水難による事故件数、死者・行方不明者数は、昭和から平成にかけて半数以下にまで減少してきましたが、過去5年間に着目するとわずかながら増加傾向にあります。

安全対策の意識と施策により減少した水難事故ですが、ここ最近のアウトドアブームによるレジャー人口が増えたことにより、事故発生件数も増えてきていると考えられます。

着目すべきは、子どもの事故件数は減少しているのに対して、大人の事故発生件数、死者・行方不明者数は、年々増加していることです。

なかでも65歳以上の高齢者は、事故件数、死者・行方不明者数ともに増加しており、死者・行方不明者数の半数以上を占めています。

 

事故の特徴

事故の特徴 アウトドア安全対策

水難事故の死者・行方不明者を行為別に比較すると、魚とり・釣りが最も多く、2016年度のデータをみると、237人全体の29.0%にあたります。中学生以下の子どもでは、水遊びによる事故が最も多く、全体の約45%を占めます。

2016年度の数値をみると8月11日から17日の1週間だけで、事故件数が120件、死者・行方不明者50人となっており、この時期が特に注意が必要なのがわかります。

夏の暑さから逃れ、海や川で涼をとりながら遊ぶのは、この時期の醍醐味ですが、安全対策は怠らないようにしましょう。

 

子どもの水難事故

子どもの事故 アウトドア安全対策

子どもの水難事故は、年々減少傾向にあります。しかし2016年度には31人の尊い命が、2017年度も既に痛ましい事故が報告されています。

子どもは目の前の遊びに集中すると回りが見えなくなります。また大人より目線が低い位置にあるため、周囲が見えづらいことも考慮しなければなりません。

子どもを危険から守り、安全に遊ばせるのは大人の責任です。子どもの事故原因のほとんどが水遊び中の事故です。

子どもを一人で水遊びさせることがないように、必ず大人がそばで見守りましょう。また、小さな子どもや泳げない子どもには必ずライフジャケットを着用させることも重要な安全対策です。

 

防止対策

防止対策 アウトドア安全対策

水難事故の特徴と安全対策を、ロケーション別にまとめました。

海での防止対策

レスキュー アウトドア安全対策

大人の水難事故で最も多いのが海での事故です。海は潮の満ち引きにより、最初は浅い場所でも、気づかないうちに大きな波に飲まれる危険性があります。

また、河川が合流している場所やテトラポット、防波堤近くではカレント(離岸流)という潮の流れが発生しています。カレント(離岸流)は、押し寄せた波が沖に戻る強い流れで、秒速1~2m以上とも言われています。

水泳が得意な大人でも、カレント(離岸流)に逆らって泳ぐことは困難で、毎年のように被害が報告されています。

遠浅の海岸で多くみられ、浮き輪やボールが流されてしまったのを追いかけたり、シュノーケリング中に気づいたら流されたりしているケースが多いようです。

2017年にもありましたが、カレント(離岸流)に流された子どもを助けようとした大人も被害に合うことが多く、非常に危険な潮流だと認識することが重要です。

もしカレント(離岸流)に流されてしまったら、岸と平行に(横に向かって)泳ぐことで、潮流から脱出できます。

また、救助に入る場合は、ライフジャケットやライフボードなど、浮くことができるものを持って入りましょう。

万が一、一緒に沖に流されても、浮いていることができれば救助を待つこともできますし、生存率が格段にあがります。

 

川での防止対策

川の安全対策 アウトドア安全対策

暑い夏は、水温の低い川で遊ぶことも多くなると思います。河川は急に深くなったり、川底の石などにより足場が悪かったりすることが多く、転倒して流される危険があります。

特に、藻やコケなどは滑りやすく、転倒すると岩や石でけがをするケースもあります。子どもが水難事故の被害に合う場所で一番多いのが河川ですので、たとえ浅瀬であっても子どもを遊ばせる時は、目を離さないようにしましょう。

その他注意事項

魚釣り アウトドア安全対策

65歳以上の高齢者が水難事故に合うシチュエーションで最も多いのが魚釣りです。海での釣りで波に飲まれたり、河川や沼での釣りでは足を滑らしたりして、溺れるケースが目立ちます。

釣りを楽しむ時は、必ずライフジャケットを着用するようにしましょう。

またここ最近、事故が多くなってきているのが、シュノーケリング中の事故です。海底の景色に気を取られ、気づいたらカレント(離岸流)に流されていたり、波の高い沖に出てしまっていたりするケースが報告されています。

初心者のシュノーケリングは、パニックを起こすと水を飲んでしまう危険があり、適切な練習や使い方を学ぶ必要があります。

警視庁発表の水難事故概況より、さまざまなデータを見てきました。毎年、水の事故を防ぐ啓発が発表されますが、残念ながら痛ましい事故が増えてきているのが現実です。水難事故は対岸の火事ではありません。常にだれが巻き込まれてもおかしくないのが水の事故です。楽しい夏休みの思い出を、悲しい記憶にしないために、日頃から安全対策に心がけましょう。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。