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情報社会といわれる現代。子どもたちはバーチャルな体験が多くなり、直接体験が不足しがちです。そこで注目されているのが、自然教育です。今回は、なぜ子どもに自然教育が必要なのかを説明し、海外の事例も3つ挙げて紹介します。

自然教育とは

自然教育

自然教育とは、自然のなかでの体験をとおして、子どもの思考や行動の基礎となる力をつける教育です。自然体験は、子どもの心や身体を成長させる絶好の機会。子どもは体験をとおして学び、さまざまな知識や技術を得ながら発達します。

自然のなかで遊べば、子どもの五感(見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触る)が刺激されますね。たとえば、生きものを観察したり、虫を捕まえたり、風や雨の音を聞いたりなど、なにげない体験でも、子どもの好奇心や感受性が育まれます。

また、山歩きや水遊びなどで全身を思いきり動かすと、必要な筋力・体幹がきたえられるのもメリットです。

 

自然教育が注目されている理由

自然教育

日本の保育や教育の場でも、自然教育は注目されています。理由を詳しく見ていきましょう。

自然体験は生きる力を育む

自然体験は、課題を解決する力や豊かな人間性を育みます。変化が激しい時代、子どもたちに求められるのは、未知のことへの対応力。つまり、自分で判断して物事の本質を見つけ出し、行動する能力です。

こうした自己判断力や対応力は、体験をとおして身につくもの。文部科学省でも、子どもの生きる力を育むためには、現実に触れる体験が必要としています。

しかし、現代社会では、子どもたちが本物に触れる機会が減っているのが問題です。都市化や少子化が進み、電子メディアが普及。地域とのつながりは希薄となっています。これまで身近にあった遊びや体験の場、本物に触れる機会が減っているのです。

また、大人が子どもに対して過保護になり、貴重な体験活動の機会を奪うことも多くなりました。その結果、子どもの物事に対する意欲や関心、コミュニケーション能力は低下の傾向に。加えて、昭和60年ごろと比べると、子どもの体力が低い状況がつづいているのも懸念されています。

このような背景から、子どもたちの生きる力を育む自然体験が注目されているのです。

出典:
文部科学省「体験活動の教育的意義」「全国体力・運動能力、運動習慣等調査の概要
内閣府「子ども・若者白書

日本の教育が見直されている

自然教育が注目されている理由として、日本の教育が見直されていることも挙げられます。

具体的なところでは、2017年に保育所保育指針・幼稚園教育要領が改訂されました。「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が示され、そのひとつに「自然との関わり・生命尊重」があります。つまり、自然体験で得たことを学習の基盤とし、生命あるものを大切にする気もちを育もうという方針です。

また、2020年度から新しく施行された学習指導要領では、子どもの「生きる力」をクローズアップ。知識だけでなく、それをどのように生かしていくかも重視しています。

これからは、子どもたちが能動的に学ぶアクティブ・ラーニングがますます重要になっていくでしょう。自然体験もそのひとつです。

出典:
厚生労働省「保育所保育指針解説
文部科学省「幼稚園教育要領」「学習指導要領」 「新しい学習指導要領の考え方

世界の自然教育の事例3選

自然教育

世界の国々でもさまざまな自然教育がおこなわれ、成果をあげています。自然豊かな3つの国をピックアップし、自然教育の事例を紹介しましょう。

①スウェーデン/森の教室・自然学校

環境先進国といわれるスウェーデン。2022年のSDGs達成率の国際ランキングでは、国連加盟国193か国中3位でした。過去には1位を獲得しており、常に上位にランクインしています。

そんなスウェーデンで特徴的な教育として注目されるのが、森の教室と自然学校です。

森の教室

森での遊びを取り入れているのが特徴です。

たとえば、5〜6歳児を対象とした自然教育プログラムの「森のムッレ教室」。ムッレは森に住む妖精のような存在です。子どもたちはムッレに会いに森に出かけます。ムッレはお話のなかや人形など、さまざまな形で現れて、子どもたちに自然の大切さを伝えるそうです。

森のなかでは、生態系や自然の循環などについて学べます。子どもたちは森で楽しく過ごす体験によって、人間も自然の一部という感覚が育まれるのでしょう。

自然学校

スウェーデンには自然学校が各地にあります。就学前から高校くらいまでの幅広い年齢を対象とし、子どもが自然に興味をもつことを重視。生態系を理解したり、自然感覚を育んだりすることが目的です。

子どもたちは自然のなかで五感をつかってさまざまな生きものとふれあい、エコロジーの基本を学んでいきます。こうした自然教育は、スウェーデンの国民の幸福度やSDGs達成率の高さの源といえるでしょう。

以下の記事でもスウェーデンの教育について詳しく説明していますので、参考にしてみてください。

スウェーデンのアウトドア教育とは?世界的な注目を浴びている理由とは

出典:Sustainable Development Report「Rankings

②ニュージーランド/エンバイロスクール

ニュージーランドは、環境保全先進国です。広大な自然環境を利用した酪農や農業が発達しているため、国は自然を維持するさまざまな取り組みをおこなっています。環境保護に関する教育に重点を置いているのも、国の取り組みのひとつです。

とくに力を入れているのが、「エンバイロスクール・プログラム」。幼児教育から義務教育までの年齢層をカバーするプログラムで、多くの学校で取り入れられていますよ。

このプログラムの体験学習では、ニュージーランドの先住民族、マオリ族の「人は自然環境の一部」という考えを取り入れているのが特徴です。

生徒たちはプログラムのカリキュラムをもとに、自然環境についての教育を受けます。たとえば、校舎内にコンポストを設置。生ゴミの回収をおこない、コンポストでつくる肥料を樹木に与えて活用します。

ほかにも、オーガニック菜園を設けて野菜を育てる活動も。収穫した野菜は生徒の家庭や、周辺コミュニティに配ります。こうした体験によって、生徒たちは環境について学べるのです。

出典:エンバイロスクール公式ページ

③カナダ/ネイチャースクール

広大な自然に囲まれたカナダでは、自然を教育の場として活用する、アウトドアエデュケーション(野外教育)が盛んです。

なかでも自然教育に力を入れているのが、ネイチャースクール。日本の小学生くらいの子どもたちを対象とした、毎日が校外学習のような学校で、1日の約30〜40%をアウトドアですごします。単に遊ぶだけでなく、広大な自然を教材として、さまざまな体験をするのも特徴です。

たとえば、子どもたちがカエルに興味をもった場合、教師はその日、カエルについて話します。自然にあるものを、算数や理科のような科目にして授業が進められるのです。

カナダには日本のような受験戦争がありません。ゆるやかに見えますが、国際的な学力調査PISAで、高い順位を獲得している国のひとつです。子どもたちが楽しい学びを体験できる自然教育は、答えを暗記するだけの勉強よりも、意味があるのかもしれませんね。

出典:
The Globe and Mail「When nature is the classroom
OECD Better Life Index「Education

生きる力を育む自然教育では、特別なことは必要ありません。日常のちょっとした工夫で取り入れられます。たとえば、外で遊んだり、自然のなかを散歩したりすれば、さまざまな体験ができますね。植物の種をひとつ植えるだけでも、子どもたちが学ぶことはたくさんあるはず。子どもたちの未来のために、大人も一緒に自然体験を楽しんでみてはいかがでしょうか。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。