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アウトドアブランドの共通する考え方のひとつは自然との共存でしょう。自然の恩恵をライフスタイルとして楽しみ、美しい地球環境を次の世代に繋げていこうとする主義は「エシカル」という発想に結びついていきます。アウトドア業界でもトレンドになりつつあるエシカルファッションについて解説します。

エシカルファッションとは

エシカルファッション

エシカル(ethical)とは、日本語で倫理的な、道徳的なという意味の形容詞で、エシカルファッション、エシカルジュエリー、エシカルコンシューマーなど、エシカル○○という表現で使われます。

社会貢献や自然環境の保護などをコンセプトにした、倫理的な活動を指す言葉として用いられています。

地球環境や人間の労働環境に配慮した製品を選択し、自然破壊の原因や生産者の労働環境を脅かすような製品を選ばない活動を「エシカルコンシューマリズム」といい、商品カテゴリー別にエシカルジュエリー、エシカルビューティー、エシカルコーヒーなどと呼びます。

また、その代表格としてファッション業界での取り組みやスタイルが「エシカルファッション」とよばれます。

 

利潤第一主義が産んだ環境破壊

資本主義体制の世界経済により、大量生産による利益追求の経済活動は、豊かな生活と技術革新を生み出してきました。しかし、格差社会や環境破壊といった問題も併せて引き起こすことに繋がりました。

ゴミ廃棄 エシカルファッション

安価で利益率の高い製品を求め、化学繊維が生み出されます。人口的素材で作られた製品は、より利潤を追求することにより大量生産、大量消費、大量廃棄へと導かれ、廃棄されたゴミは自然素材と違い、半永久的になくならない地球規模のゴミとなり、環境破壊を引き起こしています。

また、衣服の原材料となる綿花なども大量生産を実現するために、農薬などにより生態系の破壊行為を行ってきました。

生産コストを下げるために、人件費の安い発展途上国の生産者が担い手となってきましたが、彼らの農薬による健康被害も深刻化しています。

劣悪な環境で低賃金での労働を強いられ、劇薬による生死や病気に苦しむ人たちを踏み台として利益を追求する製品が世界中で消費されているのです。

毎日身に付けている洋服や、ショッピングを楽しんで手に取る製品の背景に、このような実情があることを知ったなら、日頃の生活から消費に対して関心を持つことになるでしょう。

そこで考える消費の在り方は、どうしたら環境保護や格差是正に繋がるのかを意識することになり、エシカル的発想へと繋がっていきました。

 

はじめてのエシカル――人、自然、未来にやさしい暮らしかた
はじめてのエシカル――人、自然、未来にやさしい暮らしかた/末吉里花

 

 

生産過程からのファッション

ショッピング エシカルファッション

エシカルファッションは、素材や商品の製造、流通を倫理的に考えることから始まります。例えば洋服では、安価な化学繊維よりも、発展途上国で手間暇かけて作ったオーガニックコットンだったり、寄付や応援消費に繋がるものだったりするものが挙げられます。

自然環境を壊していないか、児童労働や労働搾取などの社会悪をバックグラウンドにしていないかなど、製品の製造過程から消費を考えることがエシカル的発想になるのです。

日々の生活の中、エシカルファッションだけを消費することは不可能です。また、店頭の商品だけで製造過程の全てを把握することも難しいことです。

しかし、個人消費の力が企業や経済に与える影響は絶大です。エシカルファッションへの興味や関心が高まれば、環境保護をテーマにした企業や社会が動き出します。

ひとりひとりが他人事ではなく、何か一つからでもエシカルファッションへの取り組みが増えることで、経済の浄化作用となっていくのではないでしょうか。

 

フェアトレードとは

フェアトレード(正当な流通形態)は、エシカルファッションの定義のひとつでもあります。発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に取引することによって、生産者や労働者の生活改善、向上を目指す仕組みのことをフェアトレードといいます。

フェアトレード エシカルファッション

国際基準が設けられているフェアトレードは対象商品が決められていて、コーヒー・茶製品、チョコレート、はちみつ、スパイス、バナナ、ワイン、ドライフルーツ、コットンなど発展途上国が主な生産国になっているものが多く、購入時には消費者にもわかりやすい認証ラベルが商品についています。

南アジアやアフリカなどの発展途上国では、安価な労働力を確保できることから、世界中の企業が参入してきました。

より利益を追求するために、更なる労働力の低賃金化がすすみ、生産者の貧困と、安い報酬で働ける子どもの強制労働が問題視され、フェアトレードというムーブメントが世界的に広がりを見せました。

エシカルファッションでいうフェアトレードは主にコットン商品が取り上げられますが、農薬を使わないオーガニックコットンは、生産者を健康被害から守ることと環境破壊を是正することにも繋がります。

貧困と児童労働の是正に向けて

フェアトレードの目的として児童労働問題の是正が挙げられます。発展途上国では、より安い労働力を確保するために、就学前から子どもたちを働かせているのが実情です。

中には集団で人身売買されて奴隷のような労働を虐げられているケースもあります。

児童労働 エシカルファッション

遠い国の他人事ではありません。私たちも含め先進国の消費者が安いものを求めれば、販売する企業はよりコスト削減を図り、原材料や労働力の低価格化に傾きます。

その影響を受けるのが途上国の生産者たちです。生産者の家計が成り立たなくなると、その子どもたちは教育を受けるよりも労働者として駆り出されていきます。

知識や経験のない子どもたちは、安全、危険の区別もつかず、発言力も低いことから、悪質な雇用主の言いなりに働かされ、暴力や虐待など不当な扱いを受けるケースも多く、最悪な場合、売春やポルノ、戦争や犯罪行為などにまで利用されることもあります。

こうした児童労働の問題是正に向けた取り組みは、フェアトレードの主要目的として定義され、途上国の経済的支援と自立のための取り組みは急務と言えます。

参考:児童労働から守るNGO『ACE』

 

エシカルブランド

エシカルファッションに取り組んでいる主なブランドを紹介します。

-PATAGONIA(パタゴニア)

アメリカのカリフォルニアから生まれたアウトドアブランド。環境問題に取り組むプロジェクトに助成するなど、アウトドア業界での地球環境保護の旗手的存在。

コットン使用の商品は全てオーガニックコットンを使っているなど、古くからフェアトレードを実践しているブランドです。

-Outerknown(アウターノウン)

ケリー・スレーター エシカルファッション

出典 Outerknown

伝説の世界的トップサーファー、ケリー・スレーターが立ち上げたアパレルブランドです。

自然環境を愛するサーファーの発想から生まれた機能性と、リサイクル可能な環境素材を使った注目のカリフォルニアブランドです。

-Klattermusen (クレッタルムーセン)

1984年バッグパックやゲイター作りから始まったスウェーデンのアウトドアブランドです。

世界初の100%リサイクルナイロン製バックを作るなど、自然環境と人間の経済活動を共存して持続させるsustainability(サスティナビリティー)をブランドコンセプトに、製品の素材を追求しています。

-People Tree (ピープルツリー)

フェアトレード専門ブランドとして、ハリウッド女優エマ・ワトソンをデザイナー・モデルに起用したことでも注目を浴びました。

オーガニックコットンの製品を中心としたエシカルファッションや、日用雑貨、食品など、幅広いフェアトレード商品を取り扱っています。

 

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日本では欧米のような寄付をする文化は、まだそれほど根付いているとはいえません。しかし、買物をすることが地球環境や、経済格差などの問題に貢献できるのなら、参加するハードルは低いのではないでしょうか。フェアトレードやエシカルファッションは、消費者一人一人の意識により世界を救う第一歩になるのだと思います。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。