まっさらの斜面に描くシュプール…最高の瞬間です。これ降雪直後のパウダーではなくても味わえるんです。それはピステンで圧雪したまっさらなグルーミングバーン!スキー場を支える縁の下の力持ちともいえるゲレンデ整備、どのように行われているのでしょう?

昔のゲレンデはどうやって整備していたの!?

雪上車の歴史は、1910年代まで遡ります。当時は、南極観測のために開発が始まりましたが、タイヤがそりに変わり、そりがキャタピラになるには長い時間がかかりました。

南極では結果を残せなかったキャタピラ技術は、その後の戦争で戦車の開発に流用されました。

ゲレンデ整備 雪上車輌日本のスキー場で雪上整備車が使われるようになったのは、1960年代と言われています。

それまでは、ゲレンデは降雪の後も、現在でいうオフピステ(非圧雪エリア)と同じように、スキーで滑走する人々によって、ならされたり、斜面によってはコブ斜面になったり、という状態でした。

アルペンスキーの競技会が行われるときには、人の手でスコップやシャベルを使って整備したり、スキーで踏み固め斜面を平らにならしていたそうです。

現在もモーグルバーンやハーフパイプ、アルペンの大会等で皆で横滑りしたり踏んだりして整備する「デラがけ」は健在ですね。大きな大会が開かれる会場では、雪上訓練の一環として自衛隊が出動することもあったとか。

 

ピステンが快適グルーミングバーンを作る!

ゲレンデ整備 雪上車輌ゲレンデで見ることができる大きな圧雪車。急な斜面をものともせず、ぐんぐん登っていく姿は圧巻です。圧雪車のエンジンは7000cc~8000cc以上!普通の自動車の3~4台分もの排気量です。

オフピステ、と呼ばれる非圧雪斜面以外のコースは、この大きな圧雪車によって毎日圧雪が行われています。圧雪の継ぎ目には段差ができるため、できるだけこの段差を作らないよう、オペレーターは斜面を一筆書きするように圧雪します。

どこそこのスキー場は圧雪がいい、なんて聞いたことありませんか?

ゲレンデ整備 雪上車輌
採用している車輌のメーカーだけじゃなく、オペレーターの一筆書き技術の差なのかもしれませんね。

この圧雪車、重そうなのに、何故雪に沈んでしまわないのでしょうか?キャタピラの接地部分を広く設け、沈まないようにしているのです。

積もった雪を圧雪することによって、美しいグルーミングバーンとなり、スキー客にとって利用しやすくなるだけでなく、春先まで雪をキープすることができ、ゲレンデの維持にも一役買っています。

公表される積雪量と、実際のゲレンデの様子にギャップを感じたことはありませんか?圧雪作業によって、積雪70cmの雪が、約30cmまで圧雪されるのだとか。

冬の始め、積雪情報に一喜一憂のウィンタースポーツ愛好家の皆さんは、圧雪する分を計算に入れないといけませんね!

 

ハーフパイプはどうやって作る?

ゲレンデ整備 雪上車輌Xゲームや冬季オリンピックのスキーやスノーボードで使われるハーフパイプ。最近では日本人選手の活躍で話題を集めています。

あの特徴的な形はどうやって作っているのでしょうか?ハーフパイプは、あのチューブ状の形が命。柔らかすぎたり、面が凸凹だったりしてはいけません。

あの形は、圧雪車にハーフパイプのアタッチメントを使用して作り出しています。アタッチメントの回転式カッティングブレードが雪を削り、パイプの外側へ雪を排出します。

メーカーがいくつかあり、作り出すパイプの形状に特徴があるそうで、ハーフパイプ愛好家には、どのゲレンデのハーフパイプがどのメーカーの機械で作られているか、把握している人もいるとか!

リップから飛び出し、戻ってくる角度はとてもシビアですので、個人の好みがあるのかもしれませんね。以前はあちこちのスキー場でハーフパイプで遊ぶことができましたが、最近は数が減ってきています。

日本人選手の活躍でこの流れが変わると嬉しいですね。

【ハーフパイプのある主なスキー場】

札幌ばんけいスキー場(北海道)

青森スプリングスキーリゾート(青森)

横根スキー場(山形)

会津高原南郷スキー場(福島)

ハンターマウンテン塩原(栃木)

スノーパーク尾瀬戸倉(群馬)

川場スキー場(群馬)

上越国際スキー場(新潟)

石打丸山スキー場(新潟)

Hakuba47 Winter Sports Park(長野)

野沢温泉スキー場(長野)

高鷲スノーパーク(岐阜)

びわ湖バレイスキー場(滋賀)

スカイバレイスキー場(兵庫)

瑞穂ハイランド(島根)

※最新の情報をご確認のうえお出かけください。

反対に、どこのスキー場でも見られるようになってきているのが、キッカーや、レールやボックス等のジブアイテムを揃えたパークです。

ゲレンデ整備 雪上車輌

このパークのアイテムは、キッカーやジブの土台を圧雪車で作り、キッカーの最終的なシェイプやジブアイテムの取り付けはディガーが手作業で行っています。

降雪後のアイテムの掘り起こしや、日々のアイテム整備もディガーが行います。手作りしたキッカーで遊んだことがある方は、プロのディガーの作ったアイテムとの違いを実感したことがあるかもしれません。

キッカーのリップの角度、ノールの長さ、ランディングの角度と長さ。

ゲレンデ整備 雪上車輌時々「合わないなぁ」なんて、キッカーを作った人のせいにしたくなることもあるけれど、計算された安全設計になっているのがプロのディガーが作るパークなんですね。

最近のパウダーブームで、「圧雪するなんてもったいない」なんて声も聞こえてきます。でも、圧雪車のおかげで長いシーズンスキーやボードが楽しめるし、グルーミングバーンでカービングターンを決めるのもスキーやボードの醍醐味ではないでしょうか?スキー場へ出かけたら、朝一番のゲレンデへ繰り出して、圧雪車の一筆書きの痕跡を辿ってみるのも楽しいかもしれませんね!

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。