スキーに欠かせない大切な道具、スキーブーツ。正しくメンテナンスできていますか? 今回は、スキーブーツをよいコンディションで長く使うための正しいメンテナンス方法と、シーズンオフ中の保管方法を紹介します。少しの手間で、もちが数年変わりますよ!
意外と短い?スキーブーツの寿命
スキーブーツの寿命は、一般的に5~6年といわれています。スキーブーツは一度使用すると、劣化が始まります。そして、劣化が進んだスキーブーツは、剛性(外力に対して変化しづらい性質)が落ち、やがて割れてしまいます。
これには、スキーブーツのおもな素材であるプラスチックの加水分解(水と反応して物質が分解する化学反応)が大きく関係しています。長期間外に放置していたプラスチック製のバケツが、ちょっとした衝撃で割れてしまうほどボロボロになるのと同じ現象です。
スキー場に行くと、10年以上経過したような色褪せたスキーブーツを大切に履いているスキーヤーを見かけますが、いつ壊れてもおかしくはない状況かもしれません。バックルを締めたときに、違和感を感じたら要注意です。一般的な寿命を超えたスキーブーツを使っている人は、買い替えを検討しましょう。
注意すべきスキーブーツ3つの弱点
スキーブーツの弱点は、水分・湿度・光です。スキーブーツに水分が付いたままにしておくと、金属製のバックル部分の錆びにつながります。また、湿度が高い場所での保管は、プラスチックの加水分解が促進され、劣化が進行します。
直射日光が長時間当たるような場所も、プラスチックの劣化を早めてしまうことに。スキーブーツを保管する際は、水分を拭き取り、風通しがよく、直射日光が当たらないような場所を選びましょう。
スキーから帰ったらやっておきたいメンテナンス
楽しいスキーから帰ってきたあとは、ひと手間加えることでスキーブーツは劇的に長持ちします。ここでは、愛着の湧いた大切なスキーブーツを長持ちさせるための正しいメンテナンス方法を紹介します。
滑り終わったら水分をふき取る
滑り終わったあとは、布でスキーブーツの水分をていねいにふき取りましょう。とくに金属でできているバックル付近は錆びやすいので注意が必要です。
春先のスキー場では、緩んだ雪面を固めるために硫安(硫酸アンモニウム)を散布することがあります。スキーブーツに硫安が付着したまま放置してしまうと錆びが進行します。
春スキーでは、帰ってきたらスキーブーツからインナーブーツを取り出し、シェル(スキーブーツ外側のプラスチック製のパーツ)全体をホースなどで水洗いしてから水分をふき取りましょう。
インナーブーツをシェルから取り出す
余分な水分をふき取ったあとは、スキーブーツ全体を乾かします。その際は、インナーブーツをシェルから取り出しましょう。
インナーブーツには、スキーヤーの汗を吸収し蒸発させる機能がありますが、シェルに入れたままにしておくとインナーブーツが乾ききらずその機能が低下してしまいます。インナーブーツは必ずシェルの外に取り出して乾かしましょう。
ストーブの前や乾燥室を避けて乾かす
シェルやインナーブーツは室内で乾かしましょう。短い時間ですばやく乾かしたいからといって、ストーブやヒーターの前に置くのは厳禁です。ストーブからの熱でインナーブーツが変形してしまい、最悪の場合、正しくシェルに収まらなくなります。
また、ホテルなどにある乾燥室も室温が必要以上に高くなっていることがあるので、好ましい環境とはいえません。シェルやインナーブーツは快適に過ごせる室温の部屋に置いておきましょう。
シーズンオフの劣化を防ぐ!長期保管方法
シーズンオフのスキーブーツの保管方法を誤ると、劣化が早まります。きちんと保管して、長く大切に履き続けましょう。まずはいつものメンテナンスでブーツの汚れを落とし、シェルとインナーとも完全に乾燥させてから、長期保存の準備です。
スキーブーツの保管は居間がベスト
シーズンオフのスキーブーツを、外の物置や押し入れの奥にしまい込んでいませんか?物置は、気候によって温度や湿度が変化しやすい環境。また、押し入れは窓がなく、空気が循環しにくいスペースです。
これらの場所では、空間内にある水分とスキーブーツのプラスチックが結合しやすく、高温多湿になりやすいこともあいまって、スキーブーツの劣化が促進されます。
オフシーズンでも、スキーブーツは空気が循環する自宅の居住スペースに置きましょう。可能であれば、熱がこもりやすい高い場所ではなく、居間の床など低い位置がベストです。
保管の際はケースに入れない
スキーブーツを長期にわたって保管するときは、ブーツケースには入れずに保管しましょう。ブーツケースに入れてしまうと空気の循環が遮断され、スキーブーツにとってはよくない環境になります。
埃が気になるときは、部屋を掃除する際にスキーブーツに乗った埃を落としておきましょう。
バックルは軽く締めておく
スキーブーツのバックルは軽く締めて保管しましょう。バックルを締めないとインナーブーツの形状が変形してしまうことがあります。
足の形状に馴染んでいたはずのインナーブーツが、次のシーズンインに履いたときに足に合わないような事態にならないよう、インナーをシェルにセットしたら、バックルは軽く締めて形状をキープしましょう。
ライター
MORITAX
スキー専門誌にライター・編集者として在籍し、現場取材から選手スキー技術解説記事、ニューアイテム紹介まで幅広く担当。現在はライター・編集者として、スキーのみならずアウトドア関連の情報発信にも携わる。趣味はスキーヤーとキャンプで、スキー歴は30年以上。最近はカヌーでいろいろな湖に行くのが楽しみの一つ。