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SDGsや地球温暖化といったことばが広く知られるようになった今、旅行も環境と無縁ではありません。地域の環境や持続可能性に配慮しつつ、旅行を楽しめるエコツーリズムの事例についてご紹介します。

エコツーリズムとは?

エコ ツーリズム 事例

エコツーリズムとは、自然環境の保護と、地域の振興、観光業のすべてが成り立つことを目指した旅行スタイルのこと。

もともとは、発展途上国で自然と観光を両立させるために生まれた考え方です。世界に広まるにつれて、エコツーリズムは地域振興や文化の保護とも結びついてきました。

 

日本国内のエコツーリズム

エコツーリズムは日本でも普及しています。以下の記事でも、日本エコツーリズム協会認定のツアーを多数ご紹介していますよ。

日本エコツーリズム協会がおすすめするエコツアー♪北海道・東北・関東・中部編
第二弾!日本エコツーリズム協会認定のエコツアー♪関西・中国・九州・沖縄編

今記事でも、国内で行われているエコツーリズムの例をご紹介しますね。

弟子屈町(北海道)

エコ ツーリズム 事例

北海道東部に位置する弟子屈町(てしかがちょう)は、透明度が日本一とされる摩周湖や、広大な天然林などの豊かな自然を抱えています。かつては観光地として高い人気を集めていました。

しかし、旅行ニーズの変化もあって、現在の観光客数はピーク時の半分以下に。町は主要産業である観光の復活や、人口流出を止めることを目的に、エコツーリズムに取り組んでいます。酪農体験やスノーシューハイクなど、北海道を堪能できるツアーがそろっていますよ。

出典:環境省「てしかがえこまち推進協議会(北海道弟子屈町)

屋久島(鹿児島県)

エコ ツーリズム 事例

日本で初めて世界自然遺産に登録された屋久島。島で行われているエコツーリズムの歴史は、国内でも最長クラスです。人気のトレッキングに加え、カヌー体験、ウミガメの観察会など豊富なラインナップが特徴。

一方で、観光客が集中することによって、し尿処理や、ごみの増加などの弊害が問題になっています。2012年には、屋久島町が生態系の維持回復を目指した管理計画を発表。新型コロナウイルスの流行を経て、屋久島の観光がどのように変化していくのか注目です。

出典:環境省「屋久島エコツーリズムの体系

名張市(三重県)

エコ ツーリズム 事例

三重県名張市は、赤目四十八滝(あかめしじゅうはちたき)をはじめとするたくさんの名所を擁するほか、伊賀忍者の里としても知られています。しかし、観光客数の減少や、少子高齢化など、名張市をとりまく環境は年々厳しいものへと変化していました。

そこで名張市が観光振興の柱として、力を入れているのがエコツーリズム。忍者修行体験や滝行体験、里山散策ツアーなど、地域の強みを生かしたツアーが開催されています。

出典:環境省「名張市エコツーリズム推進協議会

西表島(沖縄県)

エコ ツーリズム 事例

広大なジャングルのなかに、独自の生態系が息づいている西表島。2021年には、世界自然遺産への登録が決定されました。

西表島では、1996年に西表エコツーリズム協会が発足。島全体で、観光と環境保全のバランスを議論してきた歴史があります。マングローブ林のなかでのカヤッキングや、星空と生物を観察できるナイトツアーなど、西表島でしかできない体験がたくさんありますよ。

出典:「西表島エコツーリズム協会

海外のエコツーリズム

海外のエコツーリズムでは、雄大な手つかずの自然が楽しめるのが特徴。エコツーリズムを体験できる、人気のスポットをいくつかご紹介します。

コスタリカ

エコ ツーリズム 事例

エコツーリズム発祥の地ともいわれるコスタリカ。中央アメリカの南部に位置する国です。熱帯雨林の伐採が急速に進行したことをきっかけに、1960~70年代からエコツーリズムがさかんに行われるようになりました。

政府が国家政策としてエコツーリズムを推進しており、国土の4分の1が自然保護区域に指定されています。熱帯雨林に生息する多様な生物を観察できるツアーのほかに、マリンアクティビティやハイキングなど、さまざまな観光活動が展開されていますよ。

ガラパゴス諸島

エコ ツーリズム 事例

大陸と一度もつながったことのないガラパゴス諸島は、南米エクアドルの領土で、赤道直下の東太平洋上に浮かぶ島々です。ゾウガメ、フィンチなどの貴重な生物が多数生息。1978年、地球上で初めて世界遺産に登録された場所でもあります。

世界遺産への登録をきっかけとして、観光収入で自然環境の保護を行っています。同時に、地域経済の活性化をはかるという仕組みもつくられてきました。とはいえ、環境保護と経済の両立がつねに順調だったわけではありません。

環境保護を主導するエクアドル政府と、経済発展を望む現地住民との衝突がしばしば発生してきました。そのため、ガラパゴス諸島は一時「危機遺産」に登録されていたことも。危機遺産とは、「危機にさらされている世界遺産リスト」に登録されることです。

さまざまな課題を乗り越え、観光と環境保護の両立を目指してきたのが、ガラパゴス諸島の魅力でもあります。

ルワンダ

エコ ツーリズム 事例

アフリカ大陸の中部に位置するルワンダ。エコツーリズムのなかでも人気なのが、マウンテンゴリラに会える「ゴリラトラッキング」です。ツアーの参加費は1日1,500ドルと高額ですが、参加希望者は後を絶ちません。

ゴリラの観察には制限がもうけられており、ひとつの群れと観光客が接近する時間は1日あたり1時間まで。参加費の一部は、ゴリラの保護・繁殖のために使われます。ゴリラを間近で観察できて、保護にも貢献できるユニークなツアーです。

出典:Gorilla Tracking – Visit Rwanda

 

エコツーリズムが抱える課題

いいことづくめに思えるエコツーリズムですが、問題点も指摘されています。エコツーリズムが抱える課題について説明しましょう。

観光と環境保護の両立

観光業と環境保護のバランスのとり方は非常に難しいもの。とくに、観光地として人気になるほど、「どの程度の観光客を受け入れるのか」という判断は下しにくくなります。

訪問客が増えすぎてしまうと、環境に悪影響が出るだけでなく、混雑によって観光客の満足度が下がってしまうこともあります。このような問題はオーバーツーリズムと呼ばれ、世界各地の観光地が抱える課題です。

収益性の改善

環境保全を目的にしたエコツーリズムといえども、収益がなくては継続して運営できません。とくに農村宿泊型のエコツーリズムでは、地域間で差別化ができずに、赤字に陥ってしまうというケースが見られます。

また、発展途上国では、エコツーリズムの計画が途中で中断されたり、資金が尽きて中止されたりということも。収益性の改善も、エコツーリズムの課題といえます。

モノ消費からコト消費へという世界的な流れや、環境意識の高まりを背景に注目を浴びているエコツーリズム。雄大な自然を楽しめたり、地域の文化を体験できたりと、選択肢が豊富です。どのツアーにも共通していえるのは、その場所に行ってみないと感じられないことがあるということ。この記事を参考に、ぜひ一度エコツーリズムに行ってみてはいかがでしょうか。原生自然の美しさや、のどかな農村の風景は、誰しもの心に響くものがありますよ。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。