世界的なアウトドアブランド「パタゴニア」の経営理論、マーケティングは、他に類を見ないビジネスモデルとして注目を浴びています。ビジネスを手段と捉え、地球環境の保護を目的とした反資本主義志向に位置づけされるパタゴニアの活動を紹介します。

アウトドアブランド『パタゴニア』

パタゴニアはアウトドアアパレルブランドとして、世界的に有名な企業です。

また、その独創的な経営手段と企業スタンスは、各国の有名企業やハーバード大学などの教育機関でもケーススタディとして、マーケティング業界で紹介されています。

1973年の創業から、パタゴニアが目指すのは地球の健康であり、ビジネスはその手段だとする創業者イヴォン・シュイナードの考えは、売上や利益よりも地球環境を守るというスタンスを一貫して貫いています。

世界で初めてコットン商品の全てをオーガニックコットンに代えたり、ペットボトルのリサイクルでフリースを作ったりしたのも、衣料メーカーでは初めての試みでした。

パタゴニアはファストファッション店のように、手軽な金額で買える商品ではありません。むしろ高品質で高価なアパレルというイメージがあるのではないでしょうか。

しかしながら、いくら高額な商品を購入したからといって、ラッピングや包装はしてもらえません。

それは製品の製造から流通までエネルギー消費を最小限に抑え、ゴミになるものを排出しないようにする考え方から来ています。

環境問題を考えるLOHASビジネスを謳う企業は多種ありますが、パタゴニアはその種の企業とは一線を画し、環境問題の解決を第一優先に目指すアパレルブランドです。

 

「社員をサーフィンに行かせよう」

2007年に販売された、パタゴニアの歴史と経営哲学を記した『社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論』(イヴォン シュイナード著)は、世界中に衝撃と共感を与え、ビジネス界で一大ムーブメントを巻き起こしました。

2017年には、10年の事業推移や資料を追加させた『新版 社員をサーフィンに行かせよう――パタゴニア経営のすべて』が、発刊されました。(年代は日本での和訳版発売年度)

パタゴニアの社員は、サーフィンだけに関わらず、登山、釣り、自転車、ランニングなど、どんなスポーツでも好きな時に行ける環境を作っているといいます。

“私たちの会社では、本当に社員はいつでもサーフィンに行っていいのだ。もちろん、勤務時間中でもだ。平日の午前十一時だろうが、午後二時だろうがかまわない。いい波が来ているのに、サーフィンに出かけないほうがおかしい。”(引用『社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論』)

そこには、独自の経営理論とリーダーシップマネージメントに基づいたロジックが存在します。

働き方改革が推奨されている今、マネージメントを仕事にしている人は、ひとつのケーススタディとして読んでみることをお勧めします。

 

新版 社員をサーフィンに行かせよう―――パタゴニア経営のすべて
新版 社員をサーフィンに行かせよう パタゴニア経営のすべて/イヴォン・シュイナー  

 

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Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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