親子登山vol.4からの引き続きで、双子ちゃんと登山をしている@nana_kobeさんにお話を伺います。登山中のトラブルエピソードや親子登山のメリットなど、ためになるお話が満載です。これを読んだら子どもと一緒に登山したくなりますよ。
≫「【双子との親子登山を実現】パパ&ママハイカーに直撃インタビュー/vol.4」のpart1を先に見たい方はこちら
困ったときの対処方は?
-前回のお話では、上手にステップアップしながら登山をする姿が印象的でしたが、登山中に飽きてしまったことはあるんでしょうか?対処法などがあれば教えてください。
子どもたちが飽きないように、いろんなゲームをして歩いてます。たとえば、ひたすら階段を数えるゲーム『100まで数えよう!』などです。階段や段差があるたびに繰り返すことで、数え方の勉強にもなりました。
あと、よくしているのは『しりとり』ですね。これも幼児期の言葉を覚えるのに、とてもよかったです!
-自然と勉強を取り入れているんですね。
ほかにもビニール袋を持たせて、落ちているキレイな葉っぱや木の実を集めてみたり、次のベンチを見つけたらお菓子をもらえるなどして目標をもたせたりもしました。キッズカメラで子どもたちに写真を撮らせたのもよかったです。
-アイデアがいっぱいで参考になります。
結構なロング距離を歩いて飽きたときは、『次に向かいからくる人のリュックの色当てゲーム』なんて単純なゲームも結構楽しんでくれますよ。
-今までに登山中のアクシデントや困ったことなどはありましたか?
小さいときに、おしっこをもらしてしまったことがあります。すでにおむつは卒業していて予備のおむつも持っておらず、私が履いていたタイツでなんとか防寒しながら下山しました。「着替えは持っていかないとダメだな」と痛感した山行となりました。
-それは大変だったでしょう。
ほかにも、初めてのアルプス『木曽駒ケ岳』は、想像以上にペースが上がらずつらい思いをさせてしまいました。これまで登った山よりコースタイム、距離、標高差も楽なコースでしたが、慣れないガレ場が原因だったと思います。
普段の樹林帯とは違い歩きにくい岩場なので、大人だと簡単に乗り越えられる段差も、子どもだとかなり体力を使ったようでした。
-コースタイムや距離の数字だけじゃわからないことですね。
単純に数字だけでなく、「コースの難易度を見極めないといけないな」と思いました。また、『無理せず下山』を意識するようになった山行でしたね。
すべてが成長につながる
-親子登山をどのように楽しんでいるのでしょうか?
親子登山をするようになってから、自分だけで登っていたときより楽しみ方が増えました。
まず、近場の低山に魅力を感じるようになりましたし、必ずしも山頂を目指さないことを意識しています 。とくに季節の花を見に行くことが増えましたね。
登山口にあるロープウェイの乗り物を楽しんでみたり、トイカメラを買ってあげて写真撮影を楽しんだり。登山道にある植物を観察してみたり、沢があれば遊んでみたり……
-楽しそうですね。
子どもたちには、『普段の生活では体験できないこと』を学んでほしいという思いがあります。
すべてが遊びのフィールドで、子どもたちが興味をもったことにできるだけ付き合うように心がけてもいます。
また、登山後のお楽しみがあることで、子どもたちも登山を頑張れるんですよ。近場の公園や温泉への立ち寄りは、1日のメニューのなかに入れています。
-親子登山を続けてよかったことはありますか?
1番は基礎体力の向上ですね。山登りをすることで足腰の筋肉だけでなく、持久力や体幹なども鍛えられているなと思います。
今年、小学校に入学して初めて体力テストを受けたのですが、2人とも全項目で小学3年生の平均値の記録を出してびっくりしました。
-すごいですよ!
また、風邪をひかないですね。年長さんになって、クラスでほとんどの子が風邪で休んだときも元気でした。
自分を乗り越えるメンタルも備わったと思います。登山は楽しいだけじゃなくて、つらい、しんどいって思うこともありますよね。
「つらいけど頑張ってやってみる」「ゆっくりでも、ちょっとずつでも歩けば、登頂できる(できるようになる! )」というのを登山で体験できているんだと思います。
-すべてが成長につながっていますね。
そうなんです。不便を学ぶことにも役立っています。とくに山小屋に泊まると、お風呂がなかったり、トイレが和式しかなかったり、水が少ないので大切に使ったり。テントで寝ることも、いつもとちょっと違う体験です。
-なかなか普段の遊びだけでは習得できない経験だと思います。
たとえば、災害が起きて避難所生活を余儀なくされたとき、この不便な経験が慣れない避難所生活に活きてくると思っています。
実際、能登半島地震の災害支援で行かれたモンベルの方とお話をしたのですが、簡易テントのトイレや寝袋での寝起きなど、アウトドア経験のある子どもの方がストレスなく生活できていたというお話を聞きました。
それを聞いて、山の不便さはいい経験になるなと確信をもてたんです。
-登山から学べることってたくさんあるんですね。
登山を通じて、大変なことを乗り越えた達成感、「できた」という喜びを感じてほしいです。これから子どもたちがつらい、大変なことに出くわしたとき、逃げないで乗り越える力をつけてほしい……登山で『できた』思い出が、子どもたちの自信を後押ししてほしいと思ってます。
自分も小さい頃の非日常的な経験は結構記憶に残ってるので、知らないところへ行く・食べる・体験することは、子どもにとって刺激になっていると思います。
最近は登った山の場所を地図で確認し、地理の勉強もしているんですよ。まだ理解できる年齢ではないですが、『何県に行った』という知識が、今後学校で勉強したときに「行った場所だ!」と気づいてくれるとうれしいです。
コツコツとステップアップ登山中
-今後、登山での目標はありますか?
今年の夏、南アルプスの仙丈ケ岳へ登れたので、次は来夏に北アルプスの唐松岳に挑戦したいと思っています。そのためにコツコツとステップアップ登山をしていきたいです。
-登山のほかにしているアウトドアやこれからしてみたいものがありますか?
毎週、ボルダリング教室に通っています。登山コースに岩場やちょっとした鎖場が出てくると、我先にと果敢に挑戦するようになりました。
まだまだ初心者なので勉強中ですがキャンプもしますよ。ただ、どうしても山のなかのテント場に行きたくなっちゃうんですけどね(笑)。
-これから親子登山を始める方へアドバイスをお願いします。
我が子がどれぐらいの山を登れるかというのは、かなり個人差があると思います。登山アプリでしっかり記録を残して、無理せずに徐々にステップアップするのが大事ですよ。
また、山頂だけが目的じゃないと言い聞かせ、山を嫌いにならない、楽しいところで下山というのも大切かと思います。登山に「楽しい」と思ってもらえるコンテンツを入れられるかは親次第!
親子登山では、大人だけで登ったときの達成感や満足度を、同じようには得られにくいと思うので、割り切って親子登山の楽しみ方を開拓していくのがいいと思いますよ!
ライター
yuki
幼少期からキャンプや釣り、スキーなどを楽しむアウトドアファミリーで育つ。10代後半は1人旅にハマりヨーロッパや北米を中心としたトラベラー期となる。現在もスキー、スノーボード、ダイビングなど海や山で活動中。「愛する登山」は低山から厳冬期の雪山まで季節問わず楽しむhike&snowrideなスタイル。お気に入りの山は立山連峰!Greenfield登山部/部長の任命を受け部活動と執筆活動に奮闘中。