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ハレ・アイナ・アワードのベジタリアン部門・金賞を受賞するなど、ハワイのグルメシーンで高い評価を受けるPaece Cafe Hawaii(ピースカフェハワイ、以下ピースカフェ)。今回はオーナーシェフである寺井将太さんに、ピースカフェで提供するメニューのおいしさの秘密や料理へのこだわりについて語ってもらいました。

幼少期そして修行時代に出会った豊かな食文化

 

ピースカフェハワイインタビュー

もともとは日本で和食料理人をしていた寺井さん。六本木の創作和食料理店「六本木わかば」を営む父親のもとで幼い頃から修行を積み、和食だけでなく、世界各国の料理や食文化の知識も習得したそうです。

「六本木という場所柄、お客様も外国人が多かったので『おいしいものを日本料理にアレンジして出したい』という父親の思いがあり、店(わかば)では今でいう創作料理を作り始めました。

カウンターには台湾料理の腸詰めがぶら下がっていたり、タラバガニのソース煮やアワビのクリーム煮というフレンチスタイルのものがあったり。パプリカをペーストにして作る冷やしトマトのイタリアンスタイルまでありました。店であらゆる国の料理が覚えられましたね」

ピースカフェ・インタビュー

和食という枠を超えて、出会った多様な食文化。そして「体によい物を出したい」という父親の思いは、寺井さんの原点となっています。また、修行時代に偶然出会った食養生、マクロビオティックの世界は、寺井さんがヴィーガンの道へ進むきっかけとなり、今のピースカフェの土台になっています。

「美容鍼灸の第一人者である北川毅(きたがわたけし)先生のご提案で、❝食事で体を改善しよう❞という企画がありまして。この食材は体のどの部分に良いかなど、先生に教わりながら記事を連載していました。そこでの考え方や知識を、ピースカフェのメニューに生かしています。

ピースカフェ03

先生からは、季節にあわせて、体をケアするような野菜や食材が、自然からちゃんと流れてきていることを教わったんですよ。たとえば、生姜は身体をあたためる作用、発汗作用、抗炎症作用、血圧の調整、免疫力アップ、風邪予防の効果・効能があるなど。そこで得た知識に、肉付けしていったのが今のピースカフェですね」

ピースカフェのヴィーガンは、食養生やマクロビオティックの要素も取り入れた、オリジナルのスタイル。一物全体や身土不二の考えを取り入れ、自然のエネルギーと恵みを受けた身体にやさしい食事が楽しめるのも魅力です。

ヴィーガンの豊かなライフスタイルと食文化を多くの人に届けたい

ピースカフェハワイインタビュー

開業して間もない頃は、ヴィーガンといえば「味気ない」「物足りない」など、ネガティブなイメージがあったなかで、寺井さんはヴィーガンの豊かなライフスタイルと食文化をハワイの人々に発信し続けてきました。

「僕が店を引き継いだ当初は、ヴィーガンと聞くとみなさん、生野菜だけみたいなイメージだったんですよね。そこが悔しくて。『身体によいものを出したい』という父親のコンセプトをもとに、おいしくて、見た目も楽しくて、ヘルシーで、人を健康にする食を提供したいと思いました。

『ベジパテもお肉と全然変わらないし、おいしく食べられるね』と感じてもらいたいですね」

100%ヴィーガン料理を提供するピースカフェでは、地元ハワイで採れた新鮮野菜やオーガニック食材を積極的に使っています。また、グルテンフリーの調味料を使用するなど、食の多様性を大切にし、誰もがおいしく食べられるヴィーガンを目指しています。

ピースカフェ・アメリカン

「一般的な醤油は、50%ぐらい小麦粉を添加して作っています。ですから、ピースカフェではグルテンフリーのたまり醤油を(メーカーによってはたまり醤油でも上白糖を使っているので、厳選して)使っています。甘味料には、オーガニックのメープルシロップや、デーツやバナナなどのフルーツを使っています。

バナナは、スイートスポットといって、黒い斑点が出るまでわざと置いておいて、冷凍にして。そうすると、とろみがついた甘味が出せます。食材の持ち味を最大限に生かしながら、ヘルシーに仕上げるのがピースカフェの「美味しい・楽しい・ヘルシー」につながっていく部分ですね」

ピースカフェでは、調理前にすべての野菜をアルカリ水素水で洗浄しています。安心して食べてもらいたいからこそ、手間のかかる作業でも徹底しています。

ヴィーガンをもっと身近に。一番大切なのは“おいしく、楽しく食べる”こと

Peace Cafe (ピース カフェ)

寺井さんは、シェフとしての豊富な知識と経験を生かし、すべてのソースやドレッシングを一から手作りしています。

「カツのソースは熟成させて、継ぎ足しで7年目。半分ぐらい減ったらもう1回作って足していくスタイルです。キャベツや玉ねぎ、トンカツソースに入っているようなトマト、にんにく、しょうがなど、スパイスを含めて28種類入れていますね。

カツは油で揚げたあとに、150℃のオーブンで10分ほど焼いています。仕上げはトースターに入れて、熱々にして出しています。揚げ物はやはりおいしく感じますし、どこの国でも人気。ただピースカフェでは、ヘルシーでなおかつおいしいものを出したいので、油は使っても適度に落とすように工夫しています。

ピースカフェ・アメリカン

お客様においしく食べてもらいたい」という直向きな思いが詰まった料理は、食事する人々に喜びや感動、そしてときにはヴィーガンの新たな一面を見せています。

本当においしかったと伝えるために、わざわざキッチンに入ってきてくれる人もいますよ。ありがとうと言って帰ってくれる人たちがとても多いので。それが一番うれしいですし、やりがいを感じる瞬間ですね。

食材や調味料、調理法へのこだわり、そしてヴィーガンと向き合う姿勢は、料理人としての意識の高さを感じます。最大限に旨みを引き出すため、限られた食材のなかで手間暇かけて作られた料理は、寺井さんにしか出せない味に違いありません。

10周年を振り返り、さまざまな出来事や思い

2013年にピースカフェの経営を引き継いだ寺井さん。10年を振り返り、ヴィーガンに対する人々の意識やニーズの変化を感じています。

ハレアイナアワード2024

「ハワイは世界中から人が集まってくるというのもあり、様々なアレルギーをお持ちの方がいらっしゃいます。当初はグルテンフリーのメニューが一つしかなく、アレルギーの方たちへの対応が不十分だったと思いますが、今はお客様のニーズやリクエストに柔軟に答え、グルテンフリーやソイフリー、オイルフリーにも対応。メニュー数も以前に比べてかなり増えました」

ヴィーガンの魅力を発信しながら食の選択肢を増やし、可能性を広げるピースカフェは、時代の変化にあわせて成長し続けています。

ハワイから日本そして世界へ。進化し続けるピースカフェの未来

ピースカフェハワイインタビュー

今後はハワイだけでなく、日本や世界にヴィーガンの魅力を発信したい。寺井さんは、ヴィーガンカフェとしての次なるステージを見据えています。

「店舗展開していきたい気持ちはありますね。ヴィーガンラーメン専門店という形も考えています。あとは、ヴィーガンのラーメンに興味のあるお店にスープを提供したり。ヴィーガンをアピールしないスタイルのお店もありかなと」

ピースカフェ紹介

「(ヴィーガンと)知らずに食べたら、ヴィーガンのメニューだったんだとか。ラーメンなら実現可能かなと考えていて。そういう広め方も、今後の展開ではおもしろいかなと思っています。ピースカフェを展開したいという想いもありますが、どこかに❝プロジェクト・オブ・ピースカフェ❞や❝ピースカフェ監修❞があるのもよいですね」

ヴィーガンの可能性を追求し続ける寺井さんは、ピースカフェの楽しくおいしく、身体にやさしい食事を通じて、世界中の人々に新しい食の選択肢を与えたいと考えています。

ピースカフェの営業時間やお店までのアクセスについては、こちらの記事もぜひご覧ください。

ピースカフェ紹介
おいしく食べて心も身体も健康に!ハワイで人気のヴィーガンカフェ「Peace Cafe Hawaii」が丸わかり!
今回は、ピースカフェオーナーシェフの寺井さんに、こだわりやヴィーガンについてのお話を伺いました。ハワイの伝統料理から日本のソウルフードまで、多彩なメニューを提供するピースカフェは、ヴィーガンの魅力を最大限に引き出し、心と身体を豊かにする食事を提供し続けています。寺井さんの努力は、多くの人々をヴィーガンの豊かなライフスタイルへと導く一歩となっていくでしょう。

ライター

AYA

静岡県出身。海と山に囲まれた自然豊かな環境で育ち、結婚後に、タイ・バンコクへ移住。病気がきっかけで、ヴィーガンのライフスタイルに目覚める。現在は、2児の母として子育てに奮闘しながら、人と環境にやさしいサステナブルな暮らしを実践中。自身の経験をもとに、ヴィーガン、環境問題、SDGsについて情報を発信している。