雪道走行はトラブル前提の準備万端で出かけよう!
スキー場に向かう雪道走行は、わくわく感とともにどんな経験豊かなドライバーでも緊張感を伴うドライブになります。
しかし、雪道の怖さを知っているドライバーほど、きちんと準備を整えてから雪道走行をするものです。
それは、過去の雪道走行で味わったトラブルで、とことん苦労したり危険な思いをした体験がそうさせるからです。
トラブルに対する準備と、対処方法を知っていれば万が一のときに役立ちます。では、実際に雪道走行でトラブルに見舞われたら、どんな対処方法があるのでしょうか?
今回は、雪道走行のトラブルレスキューについてご紹介します。
雪道で車がスタックした!
雪道走行では、通常なら識別できる路面状況が雪のため視認できません。そのため、3つのスタックするパターンがあるので、それぞれの対処方法をご説明します。
タイヤが側溝や路肩に落ちて脱輪
側溝や路肩が雪に覆われ視認できないとき、すれ違いなどで車を左側に寄せたとき脱輪するケースです。
- 片側前輪の脱輪
FF車や4WD車なら、ハンドルをいっぱいに切り前輪が側溝の壁や路肩をグリップすれば、ハンドルをそのままにしてゆっくりと前進すれば側溝から脱出できます。
FR車は、後輪が2つとも空転しなければ自力脱出も可能ですが、空転する場合はほかの車で牽引するか人に押してもらうしかありません。
- 片側後輪の脱輪
FF車や4WD車は、駆動輪がグリップする場合はハンドルを切って、ゆっくりと前進します。
- 上記の方法がうまくいかない場合
脱輪したタイヤの下に雪・石・倒木などを詰め込み、スタックステップや古毛布、ムシロなどをタイヤに噛ませてグリップ力を与えます。
また、車体をジャッキアップして、タイヤの下に物を詰め込みスタックステップなどでグリップ力を与えて抜け出す方法もあります。
深雪にはまった
除雪された雪に乗り上げたり、吹きだまりなどの深雪にはまるケースです。
- タイヤが空転する場合
わずかでもタイヤがグリップするなら、前進とバックを繰り返して車体をゆすりグリップするところまで動かします。空転し続けると、タイヤ下の雪面が磨かれてより滑りやすくなるので、スコップなどで除雪します。
また、タイヤをグリップさせるために、脱輪時と同様にスタックステップや古毛布などを使用して脱出します。
- 車体が浮いた状態
タイヤがグリップするまで、スコップなどでボディ下部の雪をかき出します。
上り坂を登坂できない
スタッドレスタイヤやチェーンを装着していても、上り坂で登坂できなくなるケースでの対処方法です。
- 駆動輪に荷重をかける
雪道用装備をしていても、上り坂は車体後部に荷重が移るため登坂できない場合があります。そこで、FR車と4WD車は、後輪に荷重がかかるよう後席へ同乗者や荷物を移動させる方法があります。
FF車は、バンパーに人を乗せる方法や、車の向きを変えてバックで坂を上る方法もありますが、危険なのでおすすめできません。
- 登坂用の砂をまく
雪国の急坂では、登坂用の砂が用意されているところがあり、砂を駆動輪の前に散布すれば滑り止め効果が期待できます。
牽引は最終手段
上記の方法で脱出できないときは、人手を集めて押してもらうか、他車で牽引するしかありません。
- 牽引ロープで引く
牽引は、バンパー下にある牽引フックに牽引ロープをかけ引き上げます。
牽引する側はロープにテンションがかかるまでゆっくりと前進し、そこで一度牽引ロープがきちんとかかっているか確認し、牽引時は側溝から離れる方向へゆっくり前進します。
また、ロープが切れたり脱輪したタイヤなどが破損するため、アクセルをふかして力任せに引き上げるのは禁物です。
- JAFなどプロに助けを求める
車体が大きく傾き、タイヤがグリップしない状態では人力動員も他車の牽引も効果がない場合があります。そのケースでは、JAFなどカーレスキューのプロにお願いしたほうが良いでしょう。
エンジンがかからない!
冬にありがちなトラブルですが、一晩駐車しただけでエンジンがかからなくなることがあります。雪国ならではのケースもあるので、その対処方法をご説明します。
バッテリー上がりの場合
もともと弱っていたり、うっかりルームランプを消し忘れたりすると、バッテリー上がりになります。
- ブースターケーブルで充電する
レスキューする車が必要ですが、2台の車のエンジンルームを近づけて、ブースターケーブルでバッテリーチャージします。以下の手順で、バッテリーをつなぎます。
①トラブル側のバッテリーのプラス端子にクリップをつなぎます。
②そのケーブルをレスキュー車のプラス端子につなぎます。
③レスキュー車のマイナス端子に別のケーブルのクリップをつなぎます。
④そのケーブルをトラブル車のエンジンブロックなどにつなぎますが、エンジンブロックが露出していない場合はマイナス端子でも可能です。
⑤接続したらレスキュー車のエンジンをかけ、1分したらトラブル車のエンジンをかけます。
⑥トラブル車のエンジンが始動したら、しばらくエンジンをふかし、アクセルを戻してもアイドリングが安定するなら、トラブル車のエンジンはかけたままケーブルを逆の手順で外します。
⑦エンジン始動後、トラブル車を1時間ほど走行させてバッテリーを充電します。
排気管が雪でふさがれている
車全体が埋まるような大雪や、車の後部が吹きだまりになり排気管がふさがれると、エンジンがかからなくなることがあります。
車の後部を除雪するときは、車内に排気ガスがこもらないように排気管周辺は十分な空間をとるように雪を取り除きます。
ディーゼル車は燃料凍結の可能性あり
乗用車のディーゼルエンジン搭載車が増えましたが、燃料の軽油は寒冷地と平地では配合成分が異なり、寒冷地用の軽油は凍結しないように配合されています。
つまり、平地で給油した車が、雪国で一晩駐車して翌朝エンジンがかからなくなるのは、軽油に含まれる水分が燃料ポンプやパイプで凍結してシャーベット状になるためです。
目的地のエリアに到着したら、現地のガソリンスタンドでの給油を心がけましょう。
- 軽油凍結時の対処方法
燃料ポンプやパイプの位置がわかるなら、お湯(50℃ほど)を慎重にかけて温めます。解凍できない場合は、ロードサービスをお願いするしかありません。
車が凍結した!
スキー場などの寒冷地では、車は想定外の凍結をします。
とくに、標高の高いエリアなどの凍結は、車に思わぬダメージを与えるので、とくに注意が必要なケースについてご説明します。
ドアが開かない!
ドアのゴムパッキンに雪解け水が流れ込み、夜間の冷え込みで凍結するケースです。力任せにこじ開けると、ドアパッキンが破損するので以下の方法で開けます。
- 解氷スプレーを使う
アルコール系解氷スプレーを、ドアの隙間に噴射して氷結部分を溶かします。
- ほかのドアを開けてみる
ほかのドアは凍結していない場合もあるので試してみます。
ウィンドウの霜取り方法
ウィンドウはカバーを掛けておくのが最善の方法ですが、凍結した場合はあせらず確実な方法で対処します。
- スクレイパーや解氷スプレーで取り除く
もっとも確実なやり方は、スクレイパーで霜をかきとることで、再氷結する心配もありません。
解氷スプレーは、アルコール濃度が低いと噴射した水分が再氷結するので、アルコール濃度の高いタイプを使用します。
それと同時に、エンジンをかけてウィンドウデフォッガーを作動させ、車内からウィンドウに温風を当てます。また、サイドウィンドウも同様にスクレイパーや解氷スプレーで霜取りをします。
パワーウィンドウの場合、窓が凍結したまま作動させると過負荷でモーターが焼き切れることもあるので、氷を除去するまで窓を開けないようにします。
サイドブレーキの凍結対策
通常、車を駐車するときはサイドブレーキを引きますが、雪国ではサイドブレーキが凍結することがあります。
サイドブレーキは、車内からワイヤーが伸びてリヤブレーキにつながり、リヤブレーキをロックしてパーキングブレーキにするシステムです。
このワイヤーとリヤブレーキの接合部分に、雪道走行で付着した雪や水分が付着した後、夜間に凍結して作動不良を起こします。
- 接合部分の凍結を溶かす以外に方法なし
ワイヤーがリヤブレーキと接合場所は、リヤタイヤの裏側です。そのため、手は入りにくいのですが、溶かすためにはお湯を噴射するか熱風を当てるしかありません。
接合部分がわからない場合は、無理せずにロードサービスにお願いするのが最善の策です。
雪道でトラブルに遭わないために
雪道走行のトラブルの多くは、経験不足か自信過剰が原因です。とはいえ、「この状況は危険!」とピンとくるようになるには、失敗から学び経験を積むことが必要です。
しかし、雪道走行の初心者でもトラブルに遭わない秘訣があります。
それは、雪道走行の基礎知識を頭に入れ、雪道を走るための準備をきちんと整えること、そして余裕あるスケジュールで雪道走行することです。
心と時間にゆとりがあれば、トラブルの多い細い道や峠などの難所を避けるために遠回りすることもできます。しっかり準備を整えて、雪道走行とスキー場行きを楽しんでください。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。