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初めての雪道走行は誰にとっても緊張感を伴う経験です。しかし、スタッドレスタイヤの性能向上で雪道走行の難易度は低くなりました。それでも雪道の事故は発生しています。その理由と事故事例について、雪道走行の事故を起こさない対策についてご紹介します。

雪道走行の事故は過信から

冬の道路の路面状況は、一定ではありません。とくに、スキー場に向かうルートは、ほんの一瞬で路面が変化するといっても過言ではありません。

そして、状況はいつも同じように変化するわけではなく、乾燥した路面からいきなり圧雪路が現れたりするのが雪道走行です。

もちろん、スキー場に向かう車は、雪道走行前提でスタッドレスタイヤやチェーンを装備して走行しています。装備を整えているのに、雪道走行の事故がなくならないのはなぜでしょうか?

なぜスタッドレスタイヤ装着車が事故を起こすのか?

雪道走行 事故事例と対策スキー場に向かう車のスタッドレスタイヤの装着率は、非常に高くなりました。タイヤの性能も高くなり、かつてのスタッドレスタイヤとは安心感が違います。

その、スタッドレスタイヤ装着車が、雪道で事故を起こしてしまうのはなぜでしょうか?じつは、スタッドレスタイヤの性能の高さゆえに事故を起こしてしまうのです。

グリップを失えばどんな車も制御不能になる

初めて雪道を走行すると、雪道=滑るという先入観からだれでもカチカチに緊張して運転します。当然、怖くてアクセルは踏み込めないし、スピードも出しません。

しかし、最近のスタッドレスタイヤは性能が良いので、ゆっくり走れば雪道でも安心して走行できます。スタッドレスタイヤは、タイヤの細い溝が雪の路面をしっかり噛むようにグリップするため、雪道でも普通に走行できます。

  • 落とし穴はそこにある

「普通に走行できる」と感じると、人は少しずつ大胆になり、初めの緊張感を忘れて速度を上げます。しかし、低速で路面をとらえていたスタッドレスタイヤも、速度を上げグリップ力の限界を超えた瞬間、滑ります。

グリップを失う最大の原因は、車の装備と路面状況に釣り合わないスピードの出し過ぎがほとんどです。その、事故発生パターンを次にご紹介します。

 

雪道走行の事故発生パターン

雪道走行の事故は、いくつかのパターンがあります。その中でも、スキー場へ向かうときに起こしがちな事故パターンについて解説します。

慣れからくる自信過剰

雪道走行 事故事例と対策

最近のスタッドレスタイヤの性能は、初心者でも慎重に運転すれば普通に雪道走行できます。しかし、経験と小さな自信の積み重ねもアダになってしまうのが雪道です。

経験が慣れになり自信過剰になると、路面状況の的確な判断やカーブの手前で十分速度を落とす「基本の雪道運転」がおろそかになり、事故につながります。

4WD雪道最強神話の過信

雪道走行 事故事例と対策

FFやFR車と比較すると4WD車は雪道に強いとされますが、タイヤが雪の路面をグリップすることが前提です。

同条件のタイヤなら、走行に関してほかの駆動方式より4WDが有利なのは発進時と加速と登坂だけで、じつはブレーキングにほとんど差はありません。

しかし、いまだに雪道で事故を起こすノーマルタイヤの4WDを見かけます。4WDも、雪道に合わせた装備と的確な運転で、初めて性能が活かせます。

視界不良と視認不足

雪道走行 事故事例と対策

降雪時に、道路状況が判断できないくらい視界が悪化することがあります。たとえば、昼間なのに大雪で薄暗い状況下で、ガードレールやわだちも雪で埋まると、道路の幅や方向すら見失うことがあります。

また、夜間に降雪が激しいと、ヘッドライトが雪に反射して前方が真っ白になるホワイトアウト状態もあります。

雪国では、視界を奪うほどの吹雪や深い霧に巻かれることもあるので、危険を感じたら無理せずに安全なチェーン脱着所などでやりすごします。

  • 「たぶん大丈夫」と視認不足で事故になる

「ここまで圧雪路だったからこの先も大丈夫」とか、夜間走行でブラックアイスバーンの路面状況を確認せずに走行したときに、視認不足の事故が起きます。

雪道の路面変化を甘く見ると「痛い目に遭う」ということです。

 

雪道走行の事故事例

雪道走行の事故パターンとなる、路面状況の判断の甘さや速度オーバーのありがちな事故事例をいくつかご紹介します。

高速トンネル出口の急ブレーキで猛スピン!

雪道走行 事故事例と対策

前夜に大雪が降り、スキー場最寄りの高速IC入口から路面は乾いている状態で、SAでゴムチェーンを外したスポーツタイプ車の事故事例です。

気持ちよくスピードを上げて長いトンネルに入ったところ、出口から先が真っ白な雪景色に気づいたその車は、思わず急ブレーキを踏んでしまいました。

出口にさしかかった瞬間、後輪が滑りコマのようにスピンしながら道路左側の路側帯に向かい、逆向きでガードレールに張り付いて停車しました。幸い、けが人は出ませんでした。

  • 雪国でトンネルの続くエリアは要注意です!

雪国では山を越すと天候がまったく異なる場合があります。とくに、冬期はトンネルの先の気象状況は読めないので、慎重な走行を心がけてください。

圧雪路の下り直線の先のカーブで河川敷に転落!

雪道走行 事故事例と対策

深夜の圧雪路で起きた事故事例です。ほかの車がいないため、かなりのハイペースで山道を降りてきて、長い下り坂の先にカーブがありました。

路面はずっと圧雪路で、タイヤはしっかりグリップしていたため、つい減速せずにカーブに入るとほとんどハンドルに手応えなくスーッと滑り、雪の壁を乗り越えて河川敷に転落しました。

河川敷の除雪された雪がクッションとなり、車は全損でしたが乗員は軽いケガで済みました。

  • スタッドレスタイヤの過信

圧雪路で、スタッドレスタイヤは頼りがいのあるグリップ力を見せてくれます。しかし、快調に登坂路を駆け上れても、下り坂で同じグリップ力は期待できません。

下りは前輪に荷重が移り、カーブで後輪が流れやすくなり、前輪のグリップ力が限界を超えれば制御不能になります。雪道のカーブは、どんな路面でも手前の直線で十分減速が鉄則です。

日陰コーナーでシャーベットの下にアイスバーン!

雪道走行 事故事例と対策

スキー場への道は、晴れて気温も上がり路面は乾いている状態で、山道にさしかかり日陰のカーブでの事故事例です。

道路脇の残雪から雪解け水が流れ出し、路面は黒く濡れていて日陰のカーブ手前でシャーベット状の路面を車が通過する瞬間、前輪が滑りハンドルを切ったままの状態で雪の壁に刺さりました。

溶けて流れ出たシャーベットの下は、分厚く凍ったアイスバーンでした。

  • 雪解け水の先の日陰はアイスバーンと思え

晴天下で道路は乾燥していても、日陰は零度近いのが雪国です。雪が溶けていて日陰の路面が黒い場合、濡れた路面かアイスバーンか一瞬で区別できません。

路面状況を判断するためにも、カーブ手前で十分減速します。

 

雪道走行で事故を起こさないために

雪道で事故を起こさないためには、「急」のつく操作はしない運転が大前提です。そのうえで、安全運転のドライブテクニックのポイントをご紹介します。

その先にある危険を予知する

雪道走行 事故事例と対策

トンネルの先や日陰のカーブがどうなっているか、雪道走行では常に「その先の危険をイメージ」する運転を心がけてください。

また、黒く濡れているように見えるブラックアイスバーンや、夜間はグレーに見える凍結路など、路面の色の変化も危険予知のポイントです。

事故に巻き込まれない全周囲センサーの運転

雪道走行 事故事例と対策

スキー場の往復では、雪道に不慣れな車に出会うこともあります。自分が事故を起こさないことはもちろんですが、巻き込まれないためにも前方と後方の車間距離は十分に空けるようにします。

そこで、後方の車に危険な車間距離に詰められたら、安全な場所で車を停止させ道を譲ります。雪道で、不用意に飛ばしたり車間距離を詰めてくる車は、事故を起こす可能性が高い車です。

危険な状況に陥りそうな車から距離をとるために、前方だけでなく直接視認やミラーを用いて、周囲や後方チェックを欠かさないことも雪道事故を回避するテクニックです。

面倒くさいは事故のもと

チェーンを早々に外したためスピンした車の例を挙げましたが、チェーンの着脱だけでなく走行前の雪下ろしや、路面状況に外気温などのチェックはまめに行います。

雪道走行のセンサー感度を最大限に上げて、「その先にある危険を予知」することが最大の事故防止になります。

雪道走行の本当の経験値とは、車の運転テクニックの向上ではなく「危険予知能力」を高めることです。それは、けっして難しいことではなく、安全運転をしたいという気持ちがあれば、だれもが自然に身につく能力です。なにより、その先にある楽しみのために、安全安心な雪道走行で行きましょう。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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