防水スプレーの多用はNG!まずは原因を突き止めよう
スキーやスノーボードのウェア、登山用のハードシェルなどは、防水性が命とも言える装備品ですよね。
「防水性がなくなってきたら防水スプレーをかければいい」と思うかもしれません。しかし実は、いきなり防水スプレーをかけるのはお勧めしません。
まずは、水が染みてくる原因がなんなのかを見極めましょう。
生地の劣化
まずは生地自体が悪くなっている場合です。アウトドアでつかう防水ウェアは、メンブレンという防水透湿性の布を使用しています。
機能性ウェアのメンブレンではゴアテックスなどが有名ですね。メンブレンに表地や裏地を組み合わせ、2~3層の積層構造になっています。
経年劣化などにより、メンブレンが表地や裏地から剥がれると、防水透湿性が機能しなくなってしまうのです。
まず3層構造のウェアでは裏地がポコポコと浮いてきます。次に2~2.5層構造はコーティングやメンブレンが剥がれてくるのですぐに分かると思います。
剥離は基本的にメーカーでも修理ができず、買い替えるほかありません。
撥水加工の劣化
次に撥水加工が衰えている場合です。雨などがかかる表地にも撥水加工が施されていますが、経年劣化などでその性能を失うこともあります。
表地が雨を弾かないと、湿気を逃がすための小さな穴が雨などの水分によってふさがれてしまい、内側が自分の汗によって濡れてしまいます。
表地の撥水性の低下が原因であれば、自分でメンテナンスすることで劇的に復活させることができます。
防水ウェアはコンスタントに洗おう
定期的な洗濯で外側の汚れを落とすことはもちろん、剥離の原因にもなる内側の皮脂などもしっかり落とすことで、ウェアの性能を保つことができます。
スノーウェアや登山のレインウェアは、使用したら毎回洗うのがベストなので、家庭での洗濯方法を覚えればコストも安く上がりますね。
日常着としてハードシェルを着ている人は、最低でも2週間に一度は洗いましょう。洗い方には特別なことはなく、洗濯表示を確認後、ジッパーを全て閉じ、洗濯用ネットに入れて洗濯機で洗います。
ただし、洗うことで防水性能を落とさないために、3つのポイントを覚えておきましょう。
防水ウェア専用洗剤で洗おう
防水ウェアに使用する洗剤は、防水ウェア専用洗剤を選んでください。
通常の洗剤は、漂白剤や蛍光剤、柔軟剤などを含んでいることも多く、それらはウェアの機能を低下させてしまいます。
どうしても専用洗剤がない場合は、薬剤を含んでいない中性洗剤でも代用できます。
脱水機能はNG
すすぎをしたら、脱水はかけないようにしてください。脱水は強い遠心力がかかるため、メンブレンを傷める原因になります。
メンブレンが入っていないウィンドブレーカーやソフトシェルなどは、脱水までかけてOKです。中綿入りのものは、短時間で脱水をかけたあと、タオルなどで水気を吸い取りましょう。
その後、ハンガーにかけて陰干しすれば完了です。
クリーニング店はNG?
洗濯に失敗したらイヤだからクリーニング店にお願いしているという方もいると思います。しかし防水ウエアに関してはあまりおすすめできません。
クリーニング店の薬剤は強すぎて、表地の撥水加工まで落としてしまったり、剥離してしまったという事例が少なくないからです。
防水ウェアに関する専門的な知識がある店に依頼するか、自宅で洗濯するほうが安心ですね。
正しい防水ウェアの手入れ方法
撥水を復活させるには、洗濯をしたあとの手入れも重要です。より撥水性を活かすために、洗濯以外のお手入れ方法も覚えておきましょう。
熱を加えると撥水が復活?
ナイロンやポリエステルなどの表地は、よく見るとこまかい毛で覆われています。
この毛が摩擦や雨などで寝てしまうと撥水力を失ってしまうのですが、熱を加えることによって寝ていた毛が立ち、元に戻ってくれるのです。
上記の洗い方で洗濯をして陰干しし、水分を完全に乾燥させたら、乾燥機に15〜20分ほど入れてみましょう。乾燥機がない場合は、当て布をした上から中温でアイロンをかけるか、ドライヤーの風を当ててもOKです。
熱に弱い素材もあるので、洗濯表示を必ずチェックしてくださいね。
最終手段で防水スプレー
熱を加えても撥水しなくなってきたというときに、はじめて撥水剤や防水スプレーを使用しましょう。防水スプレーは吹きかけただけではムラになってしまうので、濡れた手ぬぐいなどで伸ばしてあげましょう。
裏地に付くと湿気を逃がしにくくなってしまうので、表地だけでOKです。洗濯機に投入する撥水剤も、裏地への影響を考えると使わないほうが望ましいですね。
撥水をダメにするNG行為
しっかり洗濯して手入れしているのに、すぐに水が染みてきたという方もいるかもしれません。そんな方は、ウェアの保管状況を見直してみましょう。
防水ウェアは湿気が苦手
海外メーカーのレインウェアなどは、日本のように梅雨があり、湿気の多い場面はあまり想定されていないことも多いのです。
除湿剤を設置したり、たまにクローゼットの風通しをよくしてあげたり工夫してみましょう。
また、濡れたままのウェアをカバンに入れっぱなしで放置するのも良くありません。帰ったらそのまま洗濯するか、できないときはせめて乾かしてあげましょう。
直射日光を避けて保管
湿気を考えるとハンガーに掛けておくのがベストですが、日光にあたる場所に掛けておくのは避けましょう。
布も防水加工も、紫外線で劣化してしまうことがあります。遮光性のカバーを掛けておくか、クローゼットのなかに入れておけばベストですね。
用途別 ウォッシュケアライン
ウォッシュインプルーフ(撥水材入りウォッシュ)
洗濯機で防水加工できるトリートメントです。