登山靴は登山に欠かせない重要アイテム
過酷な大自然のなかに踏み入れるための登山靴は、登山道具のなかでもとくに重要なアイテムです。岩場や雪のある登山道を一歩一歩しっかり踏みしめて進む。
ケガの予防だけでなく、厳冬期には、凍傷などのトラブルから足を守ってくれます。より大胆に快適に登山道を進むために、自分の足にあった頑丈な登山靴を選ぶことが重要です。
以下では、登山靴の選びかたについて項目別に解説していきます。
登山靴と普通の靴との違い
登山靴と普通のスニーカーなどの靴は、どこに違いがあるのでしょうか。ここでは、登山靴と普通の靴との違いについて解説していきます。
靴全体が硬くさまざまな衝撃から足を守る
登山靴は底面のヒールをはじめ、足をつつみこむアッパー部分など、靴全体が硬い造りをしています。靴全体を硬くすることで、岩や石にぶつけた際の衝撃をやわらげて、足を守る働きがあります。
また、スニーカーのようにやわらかいヒールは、地面をしっかりつかむことができますが、登山道の場合は、でこぼこしているため、足が疲れやすかったり、バランスを崩しやすかったりして、歩きにくくなります。
登山靴のような硬いソールで地面の状況に左右されない靴のほうが山道は歩きやすいです。
防水防湿性や耐寒性にすぐれている
登山靴はぬかるみに踏み込んだり、多少の雨にあったりしても、あまり濡れない防水性能を備えています。また汗をかいても乾きやすい吸汗速乾性能にもすぐれています。
さらに一般的な靴と登山靴との大きな違いは、山の寒さから足を守る耐寒性能にすぐれている点です。雪道を歩いても凍傷などになりにくい構造をしています。
足首の部分(カット)が高い
登山道で多いトラブルに足首の捻挫があります。登山靴の多くが捻挫を予防するためにカットの部分を高くして足首を守る構造をしています。
登山靴が重い理由
登山靴が重い理由を3つ紹介するので、チェックしてみましょう。
耐久性がある素材や構造をしているため
耐久性がある素材や構造で作られている分、重くなる傾向があります。たとえば、ゴツゴツとした登山道や岩場での、足へかかる負担を軽減するために、ソールを厚く硬くしています。
これにより、岩場でこすれたり枝が刺さったりしても、ケガをしにくいというメリットがあるでしょう。耐久性に優れた登山靴は、標高が高く、長距離を歩くハードな登山で重宝する1足となります。
機能性に優れているため
機能性に長けた登山靴は、設計や素材にこだわっているため、重量が増す傾向があります。たとえば、溝(みぞ)の深いソールにはグリップ力があり、アップダウンの激しい道でも快適です。
また、砂利や小石を巻き込みにくいので、滑って転倒するリスク防止にもつながるでしょう。
さらに、急な悪天候による泥はねや浸水が気になる場面があるでしょう。透湿防水生地の登山靴であれば、悪路のなかでも泥はねや浸水を気にせず快適に歩けます。靴のなかの蒸れを逃がすので、不快感を感じにくいでしょう。
バランスを保つ構造になっているため
重い登山靴は、重心を下げることで安定感を向上させているものが多い傾向があります。とくに、重量のあるバックパックを背負って行動する際は、バランスをとりやすいでしょう。また、バランスがとりやすくなることにより、疲れにくいというメリットもあります。
以下の記事では、登山中の疲労感を軽減するコツについて紹介しています。気になる人はあわせてチェックしてみてください。
登山靴を選ぶポイント
登山の中級者が登山靴を選ぶ際に注意したいポイントをまとめました。
頑丈であること
登山靴のもっとも重要なポイントは、ちょっとやそっとでは壊れない頑丈さです。登山中に登山靴が破損してしまった場合は、思わぬ事故につながりかねません。
長い期間、履き続けることができる耐久性も登山靴を選ぶ際の重要なポイントです。
硬めのソール
ザレ場や雪道、凍結など、さまざまな登山道があるので、路面状況に左右されない硬めのソールがおすすめ。ソールが柔らかいとバランスが崩れやすく、長い距離を歩く登山では足の疲労原因になります。
また、アイゼンなどを使用する場合も、硬いソールの登山靴のほうが、しっかりと装着できます。
カットの高さ
捻挫などのトラブルを予防したいかたは、カットの高い登山靴を選ぶようにしましょう。足首がしっかりしていて、捻挫の心配がないかたは、トレッキングシューズでじゅうぶんです(冬季以外の登山の場合)。
どの季節に使うのか
どの季節に登山するかによって、登山靴が変わります。たとえば、厳冬期の雪山に登山する場合は、保温材の入った冬山仕様の登山靴が必要です。
逆に夏に登山する場合には、冬山仕様の登山靴では中が蒸れて大変なことになります。季節にあわせて選ぶようにしましょう。
また、年間を通してオールマイティに履きこなせる、トレッキングシューズもおすすめです。
ブランドやデザインにこだわらない
有名ブランドや自分が好きなブランド、好きなデザインの登山靴にしたい、という気持ちはわかります。しかし、自分にあうかどうかは別問題。
ブランドやデザインにこだわるのではなく、自分の足にあう登山靴を選ぶことが大切です。
インソールチェックをする
リアル店舗で購入する場合は、登山靴のインソールをとりだして、その上に自分の足をあわせてインソールチェックをしましょう。
インソールに足をあわせて、つま先に1㎝ほどの余裕があるサイズが理想的です。登山靴と足の間にすき間がないと、指先が痛くなったり、凍傷の原因になったりすることがあるのでしっかりチェックしてください。
中級者向け登山靴のタイプやブランドのおすすめは?
登山の中級者におすすめのタイプやブランドについて、紹介していきます。
登山の中級者におすすめのタイプは?
登山靴にアイゼンを装着する場合は、ソールが硬く、踵とつま先にコバと呼ばれる突起物のある登山靴がおすすめ。
また、本格的な冬山に登るのでなければ、登山靴よりもトレッキングシューズのほうがおすすめです。いまは登山靴よりも高機能で履きやすいトレッキングシューズがたくさんでています。
登山の中級者におすすめのブランドは?
筆者が個人的におすすめするブランドはサロモンです。サロモンは、フランスのアルプス地方にあるマウンテンスポーツブランド。
長年愛用していますが、丈夫で履きやすい、ゴアテックス素材を採用しているため、濡れにくく蒸れにくい速乾性能にすぐれています。
靴下も重要なアイテム
登山靴と足の間をうめる靴下も忘れてはならない重要アイテムです。しなりやクッション性にすぐれた靴下を選ぶようにしましょう。
登山には昔からウール素材(クッション性があり消臭効果も期待できる)が良いと言われていますが、それだけは現在も変わらないようです。
登山上級者がモンベル(mont-bell)の登山靴をすすめる理由
モンベルは、著名な登山家でもあった辰野勇氏が創業したアウトドア用品メーカーです。
経営者が登山家であるということから、機能性に優れた信頼性の高い登山アイテムを開発しています。
そのため、多くの登山家たちから高い評価を受けているメーカーでもあります。
モンベルの製品には、登山靴だけでなく、登山用テントやシュラフ(寝袋)、レインウェアなど、幅広い分野のアウトドア商品がそろっています。
とくに、モンベルのゴアテックス製の登山靴は軽量で、蒸れにくく雨にも濡れにくい、乾きやすいという特性があり、著名な登山家や登山上級者に長く愛用されています。
モンベル(mont-bell)の登山靴の特徴
モンベルの登山靴は、比較的リーズナブルでありながら、独自開発したゴアテックス素材による防水性に優れたモデルがそろっています。
また、滑りにくいトレイルグリッパーというソールもモンベル登山靴の特徴です。
登山に最適なゴアテックス素材
ゴアテックス素材には、防水透湿という機能があります。
文字通り、水は通さずに湿気だけ通す機能で、この2つの機能を両立させることは容易ではありません。
ゴアテックス素材は、外からの雨などは内側へ通さずに、内側からの汗など蒸れは外に蒸散させる機能を持っています。
そのため、雨天のときでも登山靴が濡れることなく、汗をかいて靴のなかが蒸れても、湿気を外に蒸散させて快適にトレッキングや登山を楽しむことができるのです。
モンベルが独自に開発した滑りにくいソール「トレイルグリッパー」
登山やトレッキングでは、岩場などでの滑落に注意する必要があります。
モンベルは、独自に開発した「トレイルグリッパー」というソールをシューズ全般に搭載しています。
使用目的やタイプによって凹凸のパターンはそれぞれに異なりますが、濡れた岩場や泥のコースでも滑りにくいという特性を備えています。
モンベルの登山靴は、登山目的だけでなく、トレイルランニングやスピードハイキングの分野でもニーズが高まっています。
日本人登山家が創業したメーカーだから日本人の足に合いやすい
登山靴は、足にフィットして馴染むことがとても重要です。
その点で、モンベルの登山靴は、日本人の足型で製造している関係上、日本人の足に馴染みやすいという特徴があります。
実際に多くの日本人登山家の間で、モンベルの登山靴は足によく馴染むと評判です。
タイプ別のモンベル(mont-bell)登山靴をご紹介
それでは、タイプ別のおすすめモンベル登山靴をご紹介します。
登山やトレッキング、トレイルランニングなど、使用目的に応じた登山靴を選ぶようにしましょう。
ハイカットタイプ
ハイカットタイプは、足首の部分までしっかりホールドしてくれるタイプの登山靴です。
高所登山や岩稜帯の縦走を想定して設計されており、硬いソールと高いアッパーを備えています。足首を守ってくれるので捻挫のリスクも抑えられます。
ただし、登山用の場合は重量があり、保温材が入っているため、夏季のトレッキングなどには不向きなので注意が必要です。
ミドルカットタイプ
ミドルカットタイプは、軽快性と機能性を両立させたトレッキングシューズです。
トレッキングやトレイルランニングなどで実力を発揮します。
登山靴としての機能も十分備えていますが、無雪期や低山登山用におすすめです。
また、オールラウンドで使用できるため、普段使いにもたいへん便利です。
足首の保護という点ではハイカットにやや劣るため、歩き方には注意しましょう。
ローカットタイプ
ローカットタイプは、ハイキングや整備されたトレイルランニングコース向けのトレッキングシューズです。
足首部分のホールド機能を備えていないのと、足首部分から小石などが入りやすいため、登山や、整備されていないトレイルランニングコースにはやや不向きです。
そのため登山に慣れている上級者に親しまれています。
登山靴でありながら、街歩などのオールラウンドで使用できるのもポイントです。
初心者向け登山靴の選び方
初級者向け登山靴の選び方をご紹介します。
つま先に余裕のあるサイズを選ぶ
登山靴は、靴下をはいて試してみて、指1本分の隙間があるサイズを選びましょう。
登山靴は頑丈にできているので、ぴったりのサイズのものを選んでしまうと、つま先がぶつかり、痛くなってしまうこともあります。
筆者も、ピッタリのサイズの靴を履いて登山をして、親指が内出血を起こしたことがあります。「登山あるある」のひとつですが、足を痛めないためにも、選ぶときは余裕のあるサイズを選びましょう。
初心者にはロー&ミドルカットがおすすめ
登山初心者には、ローカットかミドルカットのタイプがおすすめ。値段も1万円ほどからあり、履きやすいのが特徴で、山歩きやキャンプなどにもつかえます。
ハイカットはロー&ミドルカットに比べて、値段が少し高めのところがネックですが、登山を続けていくのであれば、ハイカットのタイプも候補に入れて検討してみましょう。
登山靴メーカーのものが安心
登山靴は、いろいろなメーカーから出ていますが、登山靴やアウトドア商品を専門にしているところから選びましょう。機能性や防水性、軽量性など、バランスよく作られているものが多いからです。
ただ、メーカーによっては、サイズ感やフィット感が違うので、選ぶ際には試し履きをしておいたほうが無難です。
初心者向け登山靴おすすめ8選
ミズノ ウォーキングシューズ(ローカットタイプ)
高いクッション性と快適性を備えたシューズ。クッション性だけでなく、安定性も高いミズノウェーブを採用。着地時の衝撃を和らげるので、膝や腰にもやさしい1足です。
サロモン トレッキングシューズ クロスオーバーゴアテックス(ローカットタイプ)
トレイルランニングシューズの「スピードクロス」をベースに、ハイキング用に開発された1足。耐久性とグリップがバツグンで、適度な防水性もあるので、ぬかるんだ道でも万全です。
コロンビア セイバー4ロウ アウトドライ(ローカットタイプ)
通気性の高いメッシュ素材などをつかい、防水透湿性にすぐれたハイキングシューズ。
軽量で、クッション性とグリップ性が高く安定して歩くことができます。山歩きだけでなく、釣りなどにもぴったり。
アディダス テレックス AX4 ミッド GORE-TEX(ミドルカットタイプ)
従来のものよりも、少し足首の部分が高く作られているミッドカット。軽さと安定性とを両立させたモデルです。ゴアテックスを使用しているので、軽い渡渉もOK。リサイクル素材を使用してつくられたシューズです。
シリオ P.F.156-3(ミドルカットタイプ)
幅広甲高の人におすすめの軽量なシューズです。ビブラム社のメガグリップを搭載し、Xフレームとヒールスタビライザーを採用したオリジナルのソールが足元をサポート。テクニカルなミドルカットシューズです。
キーン トレッキングシューズ エクスプロール ミッド(ミドルカットタイプ)
最先端のスタイルに、キーン独自の機能を搭載した、次世代のファーストライトハイキングブーツ。
アウトドアから、街歩きまで快適性にこだわった1足。足首の安定性と保護性を重視したミッドカットです。
ティンバーランド マドバリーハイカートレッキングシューズ(ハイカットタイプ)
上質のヌバックレザーをアッパーに使用、リサイクルプラスチックなど環境にやさしい素材などもつかったシューズ。
クッション性と衝撃吸収性に優れたEVAをつかったソールを採用、防水性にも優れているので、ぬかるんだ道でも快適です。
キャラバン トレッキングシューズ ゴアテックス(ハイカットタイプ)
はきやすさを追求して、ファーストシューズにも最適の、キャラバンの代表モデル。
履き口まわりにやわらかな生地をつかい、履きやすく、締めつけ感を軽減。足首が動きやすいように浅めのカットにするなど、初心者でも違和感なく履けます。
中級者向け登山靴おすすめ5選
サロモン トレイルランニング XA PRO 3D V9 GORE-TEX
筆者が長年愛用しているトレッキングシューズです。ゴアテックス素材を採用し、蒸れにくくて濡れにくい。濡れての乾きが早い。
細くしなやかな靴紐は丈夫で、ワンタッチで締めたり緩めたりができます。トレッキングやウォーキングだけでなく、登山にもじゅうぶんに対応します。
キャラバン トレッキングシューズ C1_02S ゴアテックス
足首をホールドする高めのカットが特徴のトレッキングシューズです。ソールが硬めのため、路面状況に左右されにくく疲れの予防にもつながります。
また、ゴアテックス素材を採用しており、蒸れにくく多少の雨でも濡れにくいというメリットがあります。
メレル ハイキングシューズ モアブスピードストームゴアテックス
防水・透湿性に加え軽快感と機能性を併せ持ち、アウトレジャーからハイキング、ファストハイク、トレイルランニングまであらゆるアウトドアアクティビティに対応するマルチシューズです。
マムート トレッキングシューズ マーキュリー II
マムートはスイスで1862年に創業した歴史のあるアウトドアブランドです。
新デザインのvibramソールにより難易度の高い山道でも優れたサポートと高いグリップを発揮します。日帰りの登山でも大きな荷物を抱えた数日間のハイキングでも、しっかりとした歩き心地を確保してくれます。
SCARPA(スカルパ) モンブランGTX
イタリアのSCARPA(スカルパ)は、多くの登山家たちに指示されている世界的な登山靴ブランドです。保温材として中綿が入っており、厳しい冬の寒さから足を守ります。
お値段はかなりしますが、本格的な冬山登山を検討しているかたにはおすすめです。
レディース登山靴おすすめ5選
筆者が長年愛用している登山靴を中心に、気軽に登山やトレッキングが楽しめるおすすめの商品を紹介していきます。
サロモン トレイルランニング XA PRO V8 Women
筆者が長年愛用しているトレッキングシューズのレディースバージョン。多少の雨でも濡れにくく、速乾性能にすぐれています。
また、使用していて秀逸だと感心しているのが、細くて丈夫な靴紐の部分で、ワンタッチで締めたり緩めたりできます。デザイン的もスタイリッシュで、コーディネイトもしやすいでしょう。
キャラバン トレッキングシューズ
アッパー部分にゴアテックス素材が使用されており、濡れにくく速乾性能にすぐれています。
カラーバリエーションは、淡いピンク色をしたフランボワーズ、ネイビー、ターコイズ、サフラン、グレープの5つがあり、コーディネイトしやすくてかわいいと女性の間で人気です。
メレル ハイキングシューズ
メレルはカウボーイブーツの製造からスタートしたアメリカのシューズブランドです。独自のテクノロジーによる高機能を備えた登山靴が豊富なことでも知られています。防水性と透湿性を備えた軽量ゴアテックス素材を採用。
コロンビア セイバーファイブ
コロンビアは、アウトドアが盛んなアメリカ・オレゴン州にあるブランドです。機能性に加えてデザイン性が高く、幅広いカラーバリエーションがあります。ハイキング向けシューズですが、登山靴としてもおすすめです。
SCARPAモンブランプロgtx wmns
冬山登山用の本格的な保温材が入った登山靴です。SCARPAはイタリアのブランドで、世界中の登山家から支持されています。お値段はかなりしますが、これから本格的に登山をはじめたいというかたにおすすめ。
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