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ハイク(雪上を歩くこと)や、深い雪の中を滑るための機能、特徴が備わったバックカントリー用スキーブーツ。この記事では、選ぶときのポイントと、ハイク重視・滑り重視、それぞれのスキーヤーへのおすすめモデルを紹介します。

バックカントリー用スキーブーツの特徴

バックカントリー ブーツ

一見、ゲレンデ用スキーブーツと同じように見えるバックカントリー用スキーブーツ。実は「ハイクをサポートするシステム」や「滑りにくいソール形状」など、バックカントリーシーンに役立つ機能が備わっています。

バックカントリー用スキーブーツならではの3つの特徴を、詳しく説明します。

ハイクの負担を軽減する「ウォークモード機能」

バックカントリー ブーツ

「ウォークモード」は、ブーツの背面に設置されています。「アッパーシェル」と「ロアシェル」のロックを解除すると、背面が後ろに動きやすくなります。

バックカントリー ブーツ

(左)スキーモード(右)ウォークモード

「スキーモード」と「ウォークモード」を切り替えることで、アッパーシェル(ブーツ上部)とロアシェル(ブーツ下部)の動きが以下のように変わります。

【スキーモード】
アッパーシェルとロアシェルの動きがロックされ、すねが前傾し、ターンがしやすくなる。

【ウォークモード】
アッパーシェルとロアシェルのロックが解除され、ブーツ背面がうしろに動くことで、ハイク時に登りやすくなる。

バックカントリースキーを楽しむために、ハイクはつきもの。深雪のなかで、滑りに集中するには、斜面を登るときに、いかに体力を温存ができるかが重要です。

滑りに合わせた構造

バックカントリー ブーツ

(左)2ピース構造のブーツと(右)3ピース構造のブーツ

バックカントリー用スキーブーツには「2ピースシェル構造」と「3ピースシェル構造」の2つの種類があります。

2ピースシェル構造は、アッパーシェルとロアシェルで構成され、足全体にホールド感があります。ハイスピードの滑走に適しており、滑り重視のスキーヤー向けです。

3ピースシェル構造は、これらに「タング(スネの部分)」が加わります。タングが独立していることで、足首部分の自由度が増すため、ハイク重視のスキーヤーに好まれます。

雪面でも滑りにくい特殊なソール形状

バックカントリー ブーツ

(左)GRIP WALK/グリップウォーク(右)一般的なアルペンブーツソール

「GRIP WALK/グリップウォーク」は、スキーブーツの靴底の形状のこと。ブーツの底にゴム製のラバーが貼られています。船底形状で、歩きやすいのが大きな特徴です。

取り付けるビンディングは、グリップウォーク対応が条件。販売されているビンディングの多くは、グリップウォーク対応モデルなので、サイズが合えばバックカントリー用スキー以外の板も履けます。

バックカントリー用スキーブーツを選ぶポイント4つ

バックカントリー ブーツ

自分の足のサイズに合っているかどうかのほかに、以下の点もチェックしましょう。

  1. フレックス(硬さ)
  2. ホールド感
  3. ブーツサイズ
  4. インソール

ポイント①フレックス

バックカントリー ブーツ

硬さの表記は、ブーツの側面に記載されるのが一般的です。数字が大きくなるほどブーツが固くなります。

数字が小さい柔らかめのブーツは、初心者向けです。前後動作を行いやすいため、滑走中に後傾になりがちで、スキーのセンター位置に乗れない方におすすめ。

数字の大きい硬いブーツは、全体の剛性が上がる(変形しづらくなる)ため、力をダイレクトにスキーに伝えられます。力を板にしっかりと加えられる、技術のあるスキーヤーにおすすめです。

以下の数値を目安として、ブーツを選ぶようにしましょう。
・これからパラレルターンを習得するような初心者は「フレックス70以下」
・早いスピードで滑る中上級者は「フレックス100以上」

ポイント②ホールド感

滑り重視の場合は、ホールド感のあるブーツを選択しましょう。滑りを安定させるために、スキーブーツのホールド感は重要です。

ホールド感を求める場合は、バックルの数に注目してください。バックルの数が多いと、ブーツ全体を締め付けやすく、足とブーツがフィットします。反対に、バックルの数が減ると、ブーツ全体を動かしやすくなり、足への圧迫感が弱まり履き心地がよくなります。

きつい締め付け感を求めない方や、登り重視のスキーヤーは、バックルの数が少ないブーツを選択しましょう。

ポイント③ブーツサイズ

滑りに慣れていないスキーヤーは、つま先に少し余裕をもたせてサイズを選びましょう。

バックカントリーでは、ハイク時にウォークモードの状態で足を前に出すと、ブーツの中で足がつま先方向へ動くことがあります。ジャストサイズのブーツを選ぶと、つま先が当たって痛い場合があります。

ただし、足とブーツの間に隙間ができるとホールド感が落ちてしまうので、滑り重視のスキーヤーは注意してサイズを選択してください。

ポイント④インソール

スキーブーツと足のフィット感を高めるためにインソールを使いましょう。見落としがちですが、重要なポイントです。

バックカントリースキーは歩く機会が多いです。インソールを使用すると、小指付け根・親指付け根・くるぶしがブーツのなかで当たりにくくなり、快適な履き心地になります。

価格帯は、既存のもので6,000円~7,000円、足型をとって作成する、カスタムインソールは10,000~20,000円程度です。

HOSHINO B+ インソール B+SR2 Snow Ride 2
HOSHINO インソール B+SR2 Snow Ride 2

バックカントリー用スキーブーツのおすすめ2選

バックカントリー ブーツ

滑り重視・ハイク重視の2つに分けて、おすすめのブーツを紹介します。

滑り重視/K2「MINDBENDER120」

2ピース構造・4バックルの、アルペンブーツ同様の作りで、滑りにウェイトをおいたモデルです。バックカントリーシーンを想定し「グリップウォークソール」が採用されています。

ウォークモード使用時には、アッパーシェルとロアシェルが動き、ハイク時でもストレスを感じることがありません。

ブーツ内部のシェルは、熱成形できる「Heat-moldable Powerliteシェル」によって、スキーヤー一人ひとりの足に合わせられるので、よりフィット感が得られるのも注目ポイントです。

滑り重視/TECNICA「COCHISE 120 DYN GW」

アルペンブーツを履き慣れたスキーヤーに馴染みやすい履き心地が特徴です。スキーヤーが大きな力をブーツに加えて滑っても、ブーツ自体の変形が少ないしっかりとした作りになっています。

ウォークモードとスキーモードを切り替える際に、使用するレバーが大きいため、切り替え操作が簡単にできるのがうれしいですね。

熱成形が可能なインナーを採用していて、滑り手それぞれの足の形にフィットさせます。バックカントリーでも、スピード感のある攻めた滑りをしたい方は、ぜひ試してみてください。

TECNICA(テクニカ) スキーブーツ TECNICA COCHISE 120 DYN GW テックビンディング対応 FLEX 120 (コーチス 120 DYN GW)(22-23 2023)
TECNICA COCHISE 120 DYN GW

ハイク重視/DYNAFIT「HOJI FREE110」

3ピース構造で、重量も1.55Kgと軽量。長時間の登りでも、足への負担を軽減してくれます。

ウォークモードとスキーモードがワンタッチで切り替えられる「HOJIロック」が最大の特徴です。ひとつずつバックルを外す手間がなく、ハイクの時のスキーブーツのホールド感を調整できるのがポイント。

アルペンブーツとは異なり、ソール部分に溝があり、山での使用を想定した滑りづらい構造になっています。ハイクを重視し、バックカントリーに挑戦するスキーヤーにおすすめです。

DYNAFIT(ディナフィット)HOJI FREE 110 スキーブーツ
DYNAFIT HOJI FREE 110

ハイク重視/DALBELLO 「LUPO AX 120」

ブーツ前側のすねから足首までが当たる「タング」と言われる部分が取り外しでき、大きく前傾できるのが特徴です。これにより、歩行モードでのハイクが、より一層楽にできる一足になります。

ブーツの大きな可動域を保ったまま足首を固定できるバックルが採用され、熱成形でフィッティングをカスタマイズできます。バックカントリーのハイク動作を、いかに快適にするかに重点を置いて作られたモデルです。

サイズ展開も豊富で、女性やジュニアも使用できます。

DALBELLO〔ダルベロ スキーブーツ〕<2022> LUPO AX 120〔ルポ AX 120〕
DALBELLO LUPO AX 120

 
取材協力:アルペンアウトドアーズフラッグシップストア 札幌発寒店

バックカントリー用スキーブーツには、スキーヤーの足元をサポートし、バックカントリースキーをより快適に楽しむための機能が搭載されています。また、技術レベル向上のためにも、自分の足のサイズや形にあったブーツ選びが重要です。実際にブーツを履いたうえで、購入しましょう。滑りメイン・ハイクメインなど、趣向に合わせて自分に合った1足を見つけてください。

ライター

MORITAX

スキー専門誌にライター・編集者として在籍し、現場取材から選手スキー技術解説記事、ニューアイテム紹介まで幅広く担当。現在はライター・編集者として、スキーのみならずアウトドア関連の情報発信にも携わる。趣味はスキーヤーとキャンプで、スキー歴は30年以上。最近はカヌーでいろいろな湖に行くのが楽しみの一つ。