ヨット、ウィンドサーフィンってどんなスポーツ?
ヨットはセール(帆)で風を受け、風の力で進む船のことを言います。
風で進むというと海賊船のような大きな帆船をイメージされる方もいるかもしれませんが、ヨットは風に押される力だけでなく、セール表面に風を流すことで発生する揚力を利用し風上方向へ向かうこともできます。
他のオリンピックスポーツと異なる魅力は、なんといってもレース結果が風の条件に左右される点です。
レース海上の風の動向を常に予測し、自分の船の性能を最大限に引き出しながら、できるだけ相手よりも強い風を受けられる位置を走る技術が必要とされるスポーツです。
オリンピックのセーリングは、1~2人で乗船する「ディンギー」と呼ばれる小型のヨットで所定のコースを周回し、順位を競います。
ウィンドサーフィンは、船ではなくサーフボードのようなボードにセールを張って走らせるスポーツです。
動力を生むセールに比してボードが小さく軽いためスピードが出やすく、トップ選手だと強風では60~70km/hで走ることも可能です。
セーリング競技の種目と注目選手
オリンピックのセーリング競技にはヨットでは6艇種8クラス、ウィンドサーフィンでは1艇種で男女2クラスがあり、その一部をご紹介します。
470級
艇の全長が4.7mであることから、470級(ヨンナナマル級・略してヨンナナ)と呼ばれます。
日本で最も普及している艇種で、国内での学生や実業団のレース活動も盛んで、国内の層も厚いため男子は9大会、女子は7大会連続でオリンピック出場を果たしています。
通常は2枚のセールで帆走しますが、風下へ向かうときに使う「スピネーカー」という大きなセールには各国の国旗があしらわれ、レースで出場艇がトップ艇から順に鮮やかなスピネーカーを広げるシーンは圧巻です。
東京五輪では、リオ五輪にも同じペアで出場した土居・今村組に期待です。
49er
「フォーティーナイナー」と読み、オリンピック種目のヨットの中では最高速のハイパフォーマンスクラスです。
2000年のシドニー五輪から採用された、比較的新しい種目です。
オリンピック種目では最大の大きなセールが生み出すパワーを、乗り手の2人がトラピーズと呼ばれるワイヤーで体を支えながら船外に乗り出すことで抑え、スピードに変えています。
そのスピードや、方向転換の際の船と乗り手のダイナミックな動きが魅力と言えます。
レーザー
世界で最も普及している1人乗りヨットです。
セールの大きさに比べ艇が重く、失速しやすいため繊細な操作が必要です。
すべての操船と気象を読んでのコースの決定を1人で行うため、気力と体力が必要な種目となっています。
女子はレーザーラジアル級というセールのサイズを一回り小さくした艇で競います。
リオ五輪では470代表の土居選手の妹で、当時大学生だった土居愛実選手が20位の成績を残しており注目を集めています。
出典 日本レーザークラス協会
RS:X
北京大会からオリンピック種目となったウィンドサーフィンの艇種です。微風から強風まで幅広い風で性能を発揮するボードを使っています。
軽風時にはセールで扇ぐような動作をして推進力を得る「パンピング」というテクニックが重要になる種目です。
強風での高速搬送時は、ボードが水面から浮いた「プレーニング」という状態になり、まるで海面を飛んでいるかのように見えます。
ジャイブ、と呼ばれる方向転換時のセールを翻す動作が華麗で、見る人を惹きつけます。
紹介した種目以外にも、オリンピック競技として数十年の歴史を持つフィン級、東京五輪から「フォイリング」と言って水面から浮いて走る船を採用するナクラ17級などもあり、選手の動向から目が離せません。
出典 RS:Xクラス公式
セーリング競技の魅力と楽しみ方
風の力で海上を走るセーリングは、見ているだけで非日常感を味わえます。
船の進むスピード感、乗り手のアクションのダイナミックさ、カラフルなセールの動きには、他の競技では味わえない魅力があります。
オリンピックなどの中継動画では風向きやレース展開についての解説を聞きながら観戦することができるので、風を読む選手の思考を疑似体験することもできます。
また、ヨットやウィンドサーフィンは東京近辺ですと鎌倉や湘南、関西だと西宮などで気軽に体験することができるので、実際に挑戦してみるのもいいですね。
ライター
Greenfield編集部
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