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気象の基礎を知り安全に海を楽しむ 第1章「風」を知る(応用篇②)

気象の基礎を知り安全に海を楽しむ 第1章「風」を知る(応用篇②)
   
基礎編も含めてここまでは、気圧配置のような大規模なはなしが中心でしたが、ここからは徐々に規模を小さくして風の知識を具体的に解説していきます。より身近なスケールなので理解もしやすく、水上のアクティビティを楽しむ際に直接的に役立つ内容です。
   

覚えておきたい「サーマルウィンド」について

風 応用②

サーマルウィンド、おそらく聞きなれない言葉だと思います。

ウィンドサーファーの間では、気圧配置として吹きそうもない時に吹く風として有名で、時には強くなることがあるため、古くから親しまれている風です。

サーマルウィンドとは春から初秋にかけて、午後になると海から陸に向かって海岸に吹いてくる風のことで、一般的には海風と呼んでいます。

サーマルウィンドの原理

低気圧が接近していたり、朝から晴れているのにもかかわらず、風だけが強くなるのがサーマルウィンドです。

暖められた陸上と、それほど暖まらない海上の温度差によって吹く風のことをこう呼びます。暖められた陸上の空気は上昇し、そこに陸上ほど暖まらない海上の空気が吹き込むというメカニズムです。

暑い真夏になるとこのメカニズムは、海岸線だけでなく内陸部も含めた大きなスケールで発生することもあります。なお、夜になると陸上の方が冷えるので、逆に海に向かって風が吹き、これを陸風と呼びます。

このように気圧配置ではなく温度差で、また1日のなかでも時間帯によって吹く風があるということを把握しておきましょう。

 

風を強める地形の効果

風 応用②

そもそも風は地形の影響を大きく受ける気象現象です。その最たる例がビル風です。

都会のビル群の中を歩いていると、極めて局地的に強列な風に襲われます。ビル風は自然の地形による影響ではありませんが、その原理は同じです。

そこまでは弱い風も、隣接するビルによって収斂されて強風に変化します。

地形が同じような状態を作り出していれば、近隣は風がほとんどない状態でも、その場所の風は強くなります。

海岸の風と地形

風がないと思っていても、海岸に出た途端に吹いている強い風に驚いた経験は誰にでもあると思います。

海の上は遮るものがなく、水面は摩擦が少ないので、陸上よりも海上の方が風は強く吹きます。それは海から陸に向かって吹くオンショアの風向の時に特に顕著です。

ただ海岸は片側に海面が広がっているとは言え、海岸の風も陸側の地形や建造物の存在などの影響を大きく受け、その影響は風向によって異なります。

このオンショアでは影響は少ないですが、海岸に対して横から吹くサイドショア、陸から海へ吹くオフショアの時の順に、その影響は大きくなっていきます。

なお地形から受ける影響とは、具体的には風速の低下や増加、風速と風向の安定性の欠如です。

日本の局地風

全国には名前が付けられた有名な局地風が多数存在しています。

有名な局地風としては、関東では赤城おろし、空っ風、筑波おろし、関西の六甲おろし、比良八荒、北海道の十勝風や手稲おろし、東北では清川だし、四国のやまじ風、九州のまつぼり風などが挙げられます。

これらの局地風は、やはり地形の効果によるものです。

局地風には大きく分けて2つのタイプがあります。

盆地に集まった風が、狭い峡谷から吹きだすタイプで、“だし”と名がついたものはこれに該当します。

もうひとつが山を超えた風が勢いよく吹き降りるタイプで、“おろし”と名付けられたものはこれに当たります。

それぞれの局地風によって出現する季節はさまざまです。

河川や湖沼で楽しむことが多く強風を避けたいSUPの場合は特に注意し、該当する場所の局地風は調べておくことをおすすめします。

 

知る人ぞ知るピンポイントの局地風

風 応用②

前述のように名前がある局地風ではなく、名前がなく、さらにもっとピンポイントで吹く局地風も存在します。

代表的なのは、SUPにもウィンドサーフィンにも人気の場所となっている富士五湖の1つ、本栖湖の例です。

暑い季節になると駿河湾と富士山を筆頭とする山岳地帯において、大規模なサーマルウィンドが発生します。

とはいえ風速は高くありません。

しかし本栖湖では、かなりの狭い範囲で、午前中は無風にもかかわらず、午後になると突然強風が吹いてきます。

周辺の地形が、弱く大規模なサーマルウィンドを収斂し、このエリアだけに強風をもたらすのです。

これは、地元のウィンドサーファーが見つけた現象です。

このように、風を生むメカニズムは温度差だったり、大きなスケールの気圧配置だったりしますが、全体的に強くはない風が地形の効果によって、ある一部の場所だけ強風に変貌することがあるのです。

 

日本の季節風とモンスーン

風 応用②

ある季節になると決まって吹く風が季節風です。

日本における季節風として知られているのは冬の季節風で、冬の代表的な気圧配置である西高東低になると、中国大陸から冷たい北西の風が日本海を渡って日本を吹き抜ける風です。

各地に厳しい寒さをもたらし、日本海側に大雪をもたらします。

季節風はモンスーンとも呼ばれ、日本に吹く冬の北西季節風は東アジア一帯に吹くアジアモンスーンの一部です。この季節風が吹くため、冬は全国的に寒いだけでなく風が強い季節でもあります。

冬は寒いですが、風を求めるウィンドサーファーにとっては、ホットシーズン、SUP愛好者には厳しい季節になります。

この季節風が各地に及ぶと、地形の影響も加わり微妙に風向きが変化。

特に太平洋側では北西から西に変わります。

冬のウィンドサーフィンのメッカである御前崎には、連日強い西風が吹き、湘南ではこの風のことを“冬の大西”と呼んでいます。

まとめ

風は季節と地域によって千差万別ですが、温度差による風や地形の効果、季節風などの知識を蓄えれば、訪れるポイントの風を読むことは、決して不可能ではありません。風を求める人も求めない人も風に対する知識を蓄え、安全にウォータースポーツを楽しみましょう。






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