ヨットとサーフィンを組み合わせたようなマリンスポーツ、ウィンドサーフィン。サーフィンのようなボードに帆(セール)を張ることで、ヨットのように風を受けて進みます。普段目にすることも少なく、なじみがないという方も多いかもしれませんが、実はヨットやサーフィンの良いところを上手く取り入れた、奥の深いスポーツなのです。またウィンドサーフィンでは風や波を利用するにあたって、少し専門的な技や動作の名前を使います。言葉はウィンドサーフィンを始めると自然と覚えていくものですが、知ることでウィンドサーフィンや風に対して理解を深めることにつながります。今回はそんなウィンドサーフィンの仕組みとウィンドサーフィンの動作に関する用語をわかりやすく紹介したいと思います。

ウィンドサーフィンの進む仕組み

ウィンドサーフィンはセールに風を受けることで進みます。セールに風を受けることで「押されて」進んでいるように思えるのですが、実はセールの両面に風を「流す」ことで飛行機の翼と同様の原理で「揚力」という力を生み出して推進力を得ています。

ヨット サーフィン ウィンドサーフィン

セールに風を流すことで生まれた揚力は、ボード前方方向ではなく、ボードを風下に押し流す方向にも働きます。

その押し流される方向の力を、水中にある「フィン」や「ダガーボード」、ボードそのものの横流れに対する抵抗によって打ち消し、ボード前方方向にだけ推進力が残るよう調整しています。

この仕組みは、ヨットと全く同じです。ですからウィンドサーフィンはセールの両面に風をバランスよく流すことができれば、風上方向へも進むことができます。

最も風が効率的に流れ、安定して走ることができるのは、横から風を受けて風に対して90度前後で走っているときになります。

完全な風下方向や風上方向へ向いてしまうと、セールの両面に風を流すことができず進めなくなるため、風上や風下に向かうときはセールの向きを切り替えながらジグザグに走行します。この進めない方向をデッドゾーンと呼びます。

ジグザグ走行をする時の、風上周りの方向転換をタック、風下周りの方向転換をジャイブと呼び、ウィンドサーフィンでは重要かつ難しい動作となっています。

windsurfing magazine 2022
windsurfing magazine 2022/フリーラン

ウィンドサーフィンの方向転換

ウィンドサーフィンの仕組みはヨットと同様なのですが、ボードはサーフィンに近く1~3枚のフィンを持つシンプルなものです。ヨットのように「舵」はありません。

それでは舵なしでどうやって方向転換を行うのでしょうか。実はセールを前後に動かすことで方向転換を行うことができるのです。

ヨット サーフィン ウィンドサーフィン

ウィンドサーフィンのセールは「ユニバーサルジョイント」という部品でボードに接続されており、自由にどの方向にも動かせるようになっています。乗り手が手を離すと、パタッと海面に倒れてしまいます。

セールが常に船上に直立したマストによって接続されているヨットとは、この点で大きく異なります。

上の項でウィンドサーフィンはセールに発生させる揚力とフィンなどの抵抗力をバランスさせることで前進するという説明をしましたが、セールを前後に動かすことでこのバランスを意図的にずらし、ボードの向きを変えていきます。

セールを進行方向に動かすと風下に、後方に動かすと風上に曲がっていきます。このあたりは実際に乗ってみると感覚的に実感できるので、無理に仕組みを理解する必要はありません。

舵が無くてもセールを前後に動かすことで曲がることができる、ということだけ頭の片隅に置いておいていただければ、実際にウィンドサーフィンに乗る際にスムーズに扱えるでしょう。

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Greenfield編集部

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