キャンプでテントが濡れる原因
「夏休みに平地でしかキャンプをしたことがない」という人はピンとこないかもしれませんが、春や秋冬のキャンプは必ずと言っていいほど、テントや外に出していたものが濡れます。
また、真夏であっても、標高の高い場所であれば同様のことが起こります。
この現象は、「夜露」や「結露」によるものです。
朝、テントからしたたる水滴で目が覚めたり、外に出しっぱなしにしていた椅子が濡れて座れなくなってしまったりと、なかなかやっかいな存在なんですよね。
何よりも、テントがあまりにもびしょ濡れだとチェックアウトの時間までに乾かしきれず、自宅でも乾燥させなきゃいけなくなるというのが非常に面倒。
キャンプ初心者のうちは、何の対策もせずに犠牲になることが多いです。
では、そもそも夜露や結露はどうして起こるのでしょうか。
夜露
露とは・・・
空気中に含まれている水蒸気が放射冷却などの影響で植物の葉や建物の外壁などで水滴となったもの
晴れた日の夜は、地面からどんどん熱が空気中に逃げていくため、テントなど地上にある物体の温度も急激に下がります。(放射冷却)
そして、温度が下がった物体に接している空気の温度も下がり、水蒸気が水滴となって物体に付着したもの、それが露です。
放射冷却が激しいほど付着する水滴も多くなります。
夕方から気温が急激に下がる春や秋冬に夜露がひどいのはそのせいです。
夏でも高所などでは気温差が大きいため、夜露が降ります。
結露
一般的には露が付くことを全て「結露」と呼びますが、ここではテントの内側を濡らす結露について解説しますね。
基本的な原理は夜露と一緒です。
夏に冷たいビールをグラスに注ぐと外側に水滴がついたり、冬に窓に文字が書けるほど結露したりするのと同じく、中と外の温度が激しいと結露が起こります。
冬キャンプでは幕内でストーブを焚くと結露が激しいですし、暖房が無くても人の熱でテントの中の温度は上がるので、1年中結露に悩まされることになります。
キャンプビギナーの人は、外から水が染みてきていると勘違いすることも多いようですが、テントの中が濡れるのはほとんどが結露のせいです。
寝袋まで濡れてしまうと乾かすのがタイへン。
冬は結露が凍ってバリバリになってしまうこともあり、気温が低いせいで全然乾かないので本当に困るんですよね・・・。
キャンプでテントの結露・夜露を放置するデメリット
テント内の結露をほっておくと、カビの原因になり汚れやにおいに繋がります。ポールなどの金属は結露によってサビが生じます。
また、テントの隅においた荷物が濡れてしまうと、最悪の場合使えなくなってしまうこともあります。
筆者はテントの隅にうっかり食材が入ったバッグを置いてしまい、その中にあった買ったばかりのスパイスを濡らしてダメにしてしまった経験があります。
さらに、ランタンや機械なども結露で濡れてしまうと故障の原因になるので、冬キャンプでの結露は対策が必須といえるでしょう。
テントの夜露・結露対策
夜露や結露は、完全に防ぐことはできません。
しかし、対策次第で被害を少なくすることはできます。
テントはタープの下に張る
テントを濡らしたくないのなら、タープの下にテントを張りましょう。
もちろんタープは濡れますが、1枚の布なのでテントよりも乾かすのがいくぶんラクです。
この場合、タープは低めに張った方が夜露をより防げますが、タープがテントに接してしまわないように注意しましょう。
タープとテントがくっついてしまうと、その部分が結露し濡れてしまいます。
外に出しているものを車やシェルターに入れる
テントだけじゃなく、チェアや靴など濡らしたくないものは寝る前に車に入れるか、タープの下もしくはテントの前室に入れましょう。
酔っぱらってそのまま寝てしまい、携帯電話やスピーカーなどを出しっぱなしにしておくと、翌朝悲惨なことになりますよ。
結露しにくいテントにする
ポリコットン
ポリエステルのテントにくらべ、ポリコットンテントは結露しにくいです。
全く起きないわけではありませんが、ポリ100%のように水滴になるというより、幕にジワーッとしみ込む感じなので、水滴が落ちてきて寝袋まで濡れてしまうようなことはほとんどありません。
だから冬キャンプでは、火にも強いという利点も兼ね備えたポリコットンテントを使用するキャンパーが多いんですね。
ただしポリコットンテントは価格が高いものが多く、結露しにくいと分かっていてもなかなか手が届かない・・・という人は多いはず。
ダブルウォールテント
ダブルウォールテントはフライシートとインナーテントの間に空気の層ができます。
これが断熱材の役割をしてくれるので、シングルウォールよりも結露が起きにくいです。
このときも、フライとインナーが接地しないようにしっかり生地を張って設営しましょう。
換気をする
中と外の温度差をなくし、風通しをよくするために、ベンチレーターを開けて換気をしましょう。
小型のサーキュレーターなどを使用するのも有効です。
もちろん、寝るときは暖房器具は消してください。
新聞紙や段ボールをシートの下に敷く
新聞紙は湿気を吸収する特徴があります。新聞紙を敷いた上は除湿されるので、グランドシートの下に新聞紙を敷くとテントが結露しにくくなります。新聞紙はキレイに畳まれた状態よりも、クシャっとしている状態の方が空気に触れる面が増えて吸湿しやすくなります。
新聞紙は使わなかった場合でも、焚き火のときの着火剤としても使えて便利です。段ボールも新聞紙と同様の効果があります。
テント内と外の温度を同じにする
テントや車のなかの温度を、外と同じにする対策も効果的です。外気温との差をなくせば、蒸気の発生を防げます。就寝前に窓を開けておくと良いです。
しかし、冬の時期には寒くて眠れない可能性があります。余分に服を持っていったり、電気毛布を使ったりするとよいでしょう。
電動ファンで空気を循環させる
結露には電動ファンを使い、空気を強制的に循環させるとよいです。テントや車のなかの空気を動かせば、湿気が外に排出されます。
通気性が悪いテントや、車で使用すると効果的です。外との温度差もなくなり、結露が発生しなくなります。
窓を開ける
最初にテントや車の窓を開けてください。外の空気を入りやすくするだけでなく、温度差もなくすためです。
ひとつの窓を開けるだけでもよいのですが、反対側の窓も開けておくとよいです。空気の出入りがスムーズになります。
窓の近くに電動ファンを設置
開けた窓の近くに電動ファンを設置しましょう。空気が入ってくる窓からなかに向けて設置するとよいです。
空気の循環がよくなるだけでなく、外気温との差も少なくなります。窓から離れすぎないよう、電動ファンの位置を調節してください。
様子をみながら風力を調節
様子をみながら電動ファンの風力を切り替えるようにしましょう。外との気温差が激しい場合は、強風にすると効率的です。
反対に気温差がない場合は、弱風に設定しましょう。外気温との差を確認して、状況にあった風力を選択してください。
キャンプの結露に強いテント
テントの素材はコットンかポリコットン
テントの素材によって、結露を軽減できます。吸湿性や通気性の高いコットンは結露対策に有効な素材です。コットン素材は防水性が低いものの、保温性があるので寒い時期のキャンプには最適といえます。コットンは重いと思う方には、ポリコットンがおすすめ。ポリコットンは吸湿性がコットンより劣りますが、軽くて防水性があります。
結露に強いのはダブルウォールテント
結露対策にはダブルウォールテントが有効です。その理由は、インナーシートとフライシートの間に隙間を作り、湿った空気を逃がせるから。ただし、いくらダブルウォールテントを使用しても、設営方法によっては対策が不十分になることも。インナーとフライがくっつかないように、しっかり張って設営することでインナーテントが濡れるのを防げます。
ツールームやカマボコテントはタープを併用
ツールームやカマボコテントは、タープを張らなくても広いリビングができるために人気があります。ところがリビングの天井はフライシートしかない構造なので、シングルウォールテントとなり結露しやすい弱点があります。そのため、テントの上にタープを設営してダブルウォールテントの構造にすると結露対策ができます。
結露したテントの乾かし方
結露対策を十分にしていても、結露でテントが濡れてしまうこともあります。そうした場合は濡れたまま撤収するのではなく、しっかり水分を拭き取ることが大切です。吸水性の優れたタオルでポンポンと叩いて拭き取ります。ウェスや雑巾、水分を吸い取るものなら何でもOKですが、マイクロファイバーのように吸湿性のあるタオルの方が水分を簡単に拭き取れるうえに乾きやすいので時短につながります。
キャンプテントの結露対策グッズ
ここからは、具体的な結露対策とそれにあったグッズを紹介します。
吸水性に優れたタオル
レック すっと 吸水クロス
掃除用品のレックから販売されている吸水クロスです。
40×40の大判サイズなので、テントの隅々まで1枚でふくことができます。吸水性に優れているため、結露の水分をすっきりふきとることができます。
レック 激落ちクロス マイクロファイバー 10枚入
4Monster|マイクロファイバータオル
4Monsterのマイクロファイバータオルは、水をしっかり吸収してくれます。速乾性にも優れているので、ひとつ持っておくと便利です。
ヒーター
撤収日はキャンプギアをしっかり乾燥させて持ち帰りたいところ。風通しが良く日差しが暖かい場所であればすぐに乾燥しますが、風が弱かったり日差しが弱かったりすると乾きにくい場合があります。電源サイトやポータブル電源がある場合は、ヒーターなどを使って乾燥させることができます。
高火力の薪ストーブがあれば、一気にテント内の湿度を下げ、濡れたテントを乾かせます。
除湿剤
日没後や就寝時など、気温が一気に下がるのでテント内の暖かさをキープしたいところ。でも、このテントの中と外との気温差が結露の原因となります。暖かいテント内でゆっくり過ごしたいときには、除湿剤を吊るして結露対策をしましょう。
家庭で使えるタイプで十分ですが、テント内の湿気をより集めるには「強力」と記載されているタイプがおすすめです。
サーキュレーター
テント内に湿気がこもらないように、直線的な風を生み出すサーキュレーターを使って空気を循環させることも結露対策になります。サーキュレーターは暑さ対策に扇風機の代わりとしても活躍するので、キャンプギアとしてもっておくと便利です。
小型除湿器
Lofamy 小型除湿器
背面から湿気を含んだ空気を強力吸入、冷却して結露させて、水滴を発生させ、乾燥された空気を排出させます。
後ろに持ち手が付いてあり、1.05kg軽量で移動するのがラクラク!コンパクトなサイズ(15*13.5*24.1cm)なので、場所を取らずに除湿してくれます。
グランドシート
結露は地面からも発生します。
特に、テント底部は夜露などが発生するため、傷みやすい部分でもあります。
そのため、グランドシートをあらかじめ敷いておくとよいでしょう。また、テント内はインナーシートを敷いておくと、底冷えもせずより快適に過ごせます。
キャプテンスタッグ グランドシート
キャプテンスタッグのグランドシートは、適度に厚みがありしっかりとして耐久性があります。
防水性能も高く地面の水分からテントを守ってくれます。専用の収納バッグもついているので持ち運びにも便利です。
キャンプテントの結露対策におすすめの電動ファン
結露対策におすすめの電動ファンを紹介します。それぞれの特徴を理解して、お気に入りのモデルを見つけてみてください。
Jackhome|キャンプファン
アウトドアでの使用に特化したキャンプファン。ライトモードも搭載されているので、電気をつける必要がありません。
キャンプファンには折りたたみフックがついていて、吊り下げての使用もできます。状況に応じて、さまざまな使い方ができる電動ファンです。
FreeFly|充電式クリップ扇風機
大容量バッテリーが搭載された充電式クリップ扇風機。バッテリーが長持ちするので、長時間使い続けられます。
安全面には、指が入らない安心設計が採用されています。暗いテントや車のなかで使いやすいアイテムです。
メディク|天井扇風機
天井扇風機は、吊り下げて使用するアイテムです。上部には暖かい空気が溜まりやすくなっています。
天井扇風機を使えば、空気を拡散してくれて温度を均一に保てます。温度差を少なくして結露を防いでくれる電動ファンです。
マキタ|充電式ファン
マキタの充電式ファンは、自動首振り機能を搭載。風が隅々まで行き渡り、空気の循環をよくしてくれます。
そして、コンパクトサイズなので、わずかなスペースに置けます。テント内や車内にピッタリなアイテムです。
キャンプテントの結露対策におすすめのグランドシート
結露対策のグランドシートには防水加工がされているものを選びましょう。地面との間に入れるだけで結露の軽減に効果が期待できます。
オレゴニアンキャンパー コヨーテWPグランドシートM
おしゃれキャンパーからの支持が高いオレゴニアンキャンパーの代表的な商品がグランドシートです。裏面に防水加工がされているのでインナーテントに下に敷くと結露からの濡れを防いでくれます。
洗濯機は使用できませんが、水洗いができますのでお手入れも簡単。万が一濡れてもすぐ乾きますし、設営や撤収時の荷物置きにも使えます
ユタカメイク #3000 ODグリーンシート
ブルーシートではキャンプ場に合わないと考えている人は、ユタカのグリーンシートをおすすめします。グリーンシートなので山間部や緑地帯での使用でも景観を損ねません。
強度は高く、使用状況によって変わりますが耐久性は約1年です。インナーテントの下に敷くことで結露からの濡れを防いでくれます。
キャンプテントの結露対策におすすめのサーキュレーター
テント内の空気を循環させるにはサーキュレーターが効果的です。風力調整できるものを選べばオールシーズン使用できます。
クレイモア V600
おしゃれなサーキュレーターとして人気のあるクレイモアV600です。付属の三脚で固定して使用したり、ワイヤーハンドルがあるので、吊り下げても使用できます。
冬のストーブのサーキュレーターから暑い夏の扇風機としてオールシーズン使用可能。テント内の湿気がこもらないように空気を循環することで結露対策に使用してください。
OLLY サーキュレーター
折りたたみ式のおしゃれなデザインのコードレスサーキュレーターです。折りたたんだ状態のままでテントやタープに吊り下げて使用できます。
コンパクトですが、風は最大8mまで届くので夏でも暑さを和らげてくれますし、テント内を換気してくれるでしょう。満充電で最大12時間連続使用できますので、1泊キャンプでも問題ありません。
PowerArQ サーキュレーター
床置き、手持ち、吊るしての使用もできる3WAY式サーキュレーターです。風量が3段階で調整できるので、炭おこしからテント内の換気に使用できます。
3段階の明るさを調整できるLEDライトを実装しているので、サイトを照らすライトとしても使用可能です。USB-A出力が搭載されているのでモバイルバッテリーとしても使用できます。
キャンプテントの結露対策におすすめの暖房器具
暖房器具でも結露しにくいものがあります。燃料系(石油、ガス)のストーブは水蒸気を発生させるため、結露が気になる場合は避けたほうがよいでしょう。
バンドッグ マキストBD50
薪ストーブは絶えず燃焼空気を吸って排気を出し続けるので結露を抑えてくれます。バンドッグのマキストは脚を広げて煙突を取り付けるだけの組立が簡単な薪ストーブです。
暖を取りながら煮焚きができ、燃焼状況が見えやすいように断熱ガラス窓を装備。薪の継ぎ足しも簡単にできます。
デロンギ セラミックファンヒーターDCH6031J-B
ポータブル電源や電源付きサイトがあれば、非燃焼系の電気暖房器具が結露しにくいのでおすすめ。
おしゃれなデザインで人気のデロンギのセラミックヒーターは結露しにくい軽量でコンパクトなヒーターです。電源を入れてすぐに暖気が出るのですぐに暖まり、弱・中・強の3段階で暖房パワーを調整できます。
アラジン 遠赤グラファイトヒーター AEH-G100A-W
航空・宇宙開発に欠かせない高分子フィルムをグラファイト結晶化した素材を使用したアラジンの遠赤ヒーターです。
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