半月板損傷から約2か月。リハビリを続け、ようやく「軽いハイキングなら可能」と医師の許可が出ました。とはいえ、久しぶりの登山には不安もつきまといます。復帰登山に選んだのは、静岡県東伊豆町の三筋山。往復約1時間という距離と穏やかな山容が決め手でした。ポールを握り、一歩ずつ膝の状態を確かめながら歩いた時間。達成感というより「また山に戻れる」という安心感を得た山行でした。半月板損傷後の復帰登山として三筋山を選んだ理由と、実際に歩いて感じた体の変化を体験を通して紹介します。
半月板損傷の原因についてはこちらをチェック
なぜ三筋山を復帰登山に選んだのか

ケガをしてから地道にリハビリを行った結果、膝をしっかり固定すればハイキング程度なら問題ないと言われても、すぐに「よし、登ろう」という気にはなれませんでした。登りたい気持ちと、また痛めたらどうしようという不安が入り混じっていたからです。復帰登山に必要だったのは標高や知名度ではなく、今の自分に合っているかどうかでした。
距離が怖すぎなかった
第1駐車場から往復約1時間。この数字は、体力というより“心”に効きました。長時間歩く山は、途中で不安になったときの逃げ場がありません。けれど三筋山なら、もし違和感が出てもすぐ戻れる。その引き返せる距離が、私の背中を押しました。
リハビリを続けている間、平地では問題なく歩けるようになっていました。しかし登山道は別物です。石や段差、傾斜など、膝にかかる負担は日常とは比べものになりません。だからこそ「いつでも戻れる距離」というのは、心理的にとても大きな安心材料でした。
危険箇所がほぼないという安心感
三筋山は急登がそれほどなく、道も比較的整備されています。小さな子どもでも歩けると聞いていたことも、安心材料のひとつでした。
復帰登山で欲しかったのは、挑戦ではなく確認です。「まだ歩ける」ということを確かめられる山がよかった。比較的ゆるやかなコースは、余計な緊張を生まず、膝の感覚に集中することができました。
また、稜線付近は広い草原のような景色が広がり、足元が見やすいのも安心できるポイントでした。視界が開けていることで精神的にも余裕が生まれ、久しぶりの山歩きを落ち着いて楽しむことができます。
低山でも景色が楽しめる
三筋山は標高こそ高くありませんが、山頂はひらけています。風車が立つ稜線と、広がる空。行程は短くても、がんばった先にきれいな景色があるのも復帰の山として重要でした。ただの散歩ではなく「山に来た」と感じられることもポイントです。
短い行程でも景色に達成感があることは、復帰登山ではとても大切だと感じました。もし景色の変化が少なければ、ただ慎重に歩くだけの時間になってしまいます。山の空気を感じ、景色を楽しみながら歩けること。それが、山に戻ってきたという実感につながりました。
登る前に感じていた不安

山へ向かう朝、やはり少し緊張していました。平地では問題なく歩けても、登山道は不安定です。小さな段差や石、斜面。こうした要素が膝にどう影響するのか、実際に歩いてみないとわかりません。とくに気になっていたのは下山です。半月板損傷は、下りの衝撃で痛みが出ることも多いと接骨院の先生に聞いていました。
「もし途中で痛みが出たらどうしよう」そんな不安を感じながらも、今回は無理をしないと決めていました。
・ペースを上げない
・歩幅を小さくする
・ストックを使う
膝を守ることを最優先にして歩く。それが今回のテーマでした。
実際に歩いて感じた膝の状態

歩き始めてみると、登りでは大きな問題はありませんでした。呼吸は少しきつく感じましたが、これは単純に体力の低下でしょう。むしろ印象的だったのは、歩き方への意識の変化です。
歩幅を小さくし、着地はそっと。
ストックを使って体重を分散させる。
以前だったらストックもいらないくらいの山道ですが、一歩一歩を丁寧に歩いている自分に気づきました。そして問題の下り。慎重に歩き続けていると、膝の奥にわずかな違和感は感じたものの、強い痛みにはなりませんでした。
「スピードを落とし、衝撃を抑える歩き方を意識する。」それだけで膝の負担はかなり変わるのだと実感しました。
復帰登山で大切だと思ったこと

今回の山行をとおして感じたのは、復帰登山では「山頂に立つこと」が目的ではないということです。
大切なのは、
・無理をしない山選び
・ペースを抑えた歩き方
・膝への衝撃を減らす工夫
そして何より、体の状態を感じながら歩くことでした。
以前は「どこまで登れるか」を考えて山に向かうことが多かった気がします。しかし今回は、「痛めずに下山できるか」が最大のテーマでした。その意識の変化こそが、今回の復帰登山で得た一番大きな学びだったと思います。
ライター
yuki
幼少期からキャンプや釣り、スキーなどを楽しむアウトドアファミリーで育つ。10代後半は1人旅にハマりヨーロッパや北米を中心としたトラベラー期となる。現在もスキー、スノーボード、ダイビングなど海や山で活動中。「愛する登山」は低山から厳冬期の雪山まで季節問わず楽しむhike&snowrideなスタイル。お気に入りの山は立山連峰!Greenfield登山部/部長の任命を受け部活動と執筆活動に奮闘中。