資格の種類とガイド区分
日本国内には様々な組合や協会があり、ガイドの認定を行ってきましたが、近年、山岳での事件や事故を危惧して、統一されたガイドラインが確立してきました。
これまであった、社団法人日本アルパインガイド協会と日本山岳ガイド連盟が統合し公益社団法人日本山岳ガイド協会を発足。
現在、この日本山岳ガイド協会の認定資格が国内の各ガイドの判断基準となってきています。
各認定ガイドの取り扱い区分をまとめました。
・公益社団法人日本山岳ガイド協会「職能別資格検定試験」より一部抜粋
その他、フリークライミングインストラクター、スキーガイドステージなどがあります。
詳しくはこちらをご覧ください。
認定協会の概要
「公益社団法人日本山岳ガイド協会」は、前身となる「社団法人日本アルパイン・ガイド協会」として1971年4月に設立されます。
1990年には、国際山岳ガイド連盟に加盟を目指し、全国の山案内人組織、日本アルパイン・ガイド協会を含む国内の山岳ガイド協会や組織を結集し、「日本山岳ガイド連盟」が発足しました。
連盟加盟の各協会や組織で独自に認定していたガイド資格の統一を図るために、社団法人日本アルパイン・ガイド協会に組織の集約を行い、「社団法人日本山岳ガイド協会」と名称変更するに至りました。
また、2008年12月の公益法人制度の改革に伴い、2012年3月21日には公益社団法人として認定され、現在の「公益社団法人日本山岳ガイド協会」と名前を変えました。
日本国内でのガイド職資格の指針となる団体として、山岳ガイド、自然ガイド、登山ガイド、クライミング資格などを認定しています。
また国際山岳ガイド加盟団体として、アルプス、ヒマラヤ、アンデスなど世界の山々でも活躍するガイドの育成、認定も行っています。
認定するガイド資格は、山岳ガイド、自然ガイドの職能に区分され、プロフェッショナルとして活動をしている全国規模の団体です。
四季を通じて自然にふれあう活動やエコツアーなどを行う自然ガイド、夏山の一般登山道を職域とする登山ガイド、四季を問わず日本の山々をガイドする山岳ガイド、岩壁登攀やアイスクライミングなど主な業務とする登攀ガイド、そして、遠くアルプス、ヒマラヤ、アンデスなど、世界の山々をガイドする国際山岳ガイドと、幅広い資格を認定しています。
資格取得の方法と更新について
「公益社団法人日本山岳ガイド協会」が認定する資格は、山岳ガイド、自然ガイドなどの職能に区分されており、各資格及びステージにおいて受験資格や取得に違いがありますが、大まかな流れを紹介します。
- 一次試験受験申請書の受付
↓
- 筆記試験受験票の送付
↓
- 一次試験の実施
↓
- 筆記試験合格者発表(合否通知)
↓
- 二次試験の申し込み、二次試験の実施
↓
- 二次試験合格発表(合否通知)
ガイド資格には認定証発行日より3年という有効期間があり、継続してガイド資格を維持するためには資格更新手続きが必要となります。
職業としての現状と問題点
日本には豊かな自然があり、さまざまな山が身近にある環境です。
山登りのガイド職は資格認定制度ができる以前から存在し、制度前からガイド職を営んでいた人たちは、無試験で資格が与えられています。
もちろん認定にあたっては適正審査などが行われていますが、認定制度そのものが国家資格ではなく、資格がなくてもガイド職を名乗ることも可能です。
現在では、知識(学科試験)、実技が一定水準に達する人のみに資格が認定され、更新手続きも必要ですので、ガイド職としてのスキルは確立されてきています。
しかしながら、毎年、山での事故のニュースや報告を聞くことも事実であり、その原因として引率者及びガイドの認識の甘さが取り沙汰されています。
大自然に対して、人間の鍛えられた体力と叡智で挑む登山は、危険と隣り合わせです。
初心者が比較的手軽に挑むことができるガイド付き登山においても、決して安全が保障されているものではありません。
命に係わる職業ガイド資格の、国家資格への制度変更が必要なのではないかと考えられます。
ガイドツアーの危険性と課題
近年の山ブームにより、ガイド付き登山に参加する初心者が増加しています。
知識も経験もない登山初心者が、手軽に山の魅力に触れることができる人気のリクレーションです。
しかし、増加するガイド付き登山の初心者のマナーの悪さも取りざたされています。
いくら手軽にできる登山とはいえ、スーツに革靴、ミニスカートにハイヒールといった信じられない光景もよくニュース映像に取り上げられています。
一部のツアーコンダクターの中には、利益追求を優先して少人数のガイドに100人を超す団体を引率させたり、ガイドスキルのないスタッフを帯同させたりするケースも見られます。
また、ガイドがいるからといって山のルールや最低限の安全を守る知識を学ばずに参加する登山者も多いようです。
全てガイドに聞けばいいと思っている人も多いようですが、それでは自分で考えたり経験したりすることで山を学ぶことができません。
登山の醍醐味のひとつは、偉大な大自然への人間の挑戦、またその達成感ではないでしょうか。
自分の安全は自分で守るのは当然のことですが、自分のことしか考えない利己的な行動は、他の登山者の命を危険にさらすことさえありえるのです。
誰もが安全に安心に山の楽しさに触れ、登山本来の魅力を体験するためには、適切なガイド選びと自身の山へ挑む姿勢が大事なのではないでしょうか。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。