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深雪を滑るために最適なバックカントリー用スキーは、浮遊感を得るための形状や個性的なグラフィックが印象的です。本記事では、形状のメリットやスキーを選ぶ際のポイント、趣向や技術レベル別の選び方を紹介します。

バックカントリー用スキーの特徴

バックカントリー スキー 板

バックカントリ―用スキーには、整地された雪面を楽しむゲレンデ用スキーとは異なる特徴があります。深雪や、自然のままの雪山を楽しむためのポイントとなりますので覚えておきましょう。

深雪を楽しむためのロッカー形状

バックカントリー スキー 板

バックカントリー用スキーのトップ(スキーの先端)とテール(スキーの後ろ側)は、「ロッカー」と呼ばれる反り上がった形状になっているのはご存じでしょうか。これによって、深雪の中での雪から受ける抵抗が少なくなり、雪の上を浮かんで滑るような浮遊感を感じられます。

いっぽうで、一般的なゲレンデ用スキーの形状は「キャンバー」と呼ばれ、スキーの中央部分が地面から浮き上がり、アーチを描いています。接地面が長くなることで、スキー全体に圧をかけられ、エッジグリップが上がるため、硬い斜面でも安定したターンを描けます。

ロッカー形状のスキーは、雪面との接地面が少なく、滑走中の安定感やエッジ部分のグリップ力は、ゲレンデ用スキーと比較すると劣ります。

現在は、トップ部分のみが反りあがった「チップロッカー」や、トップとテールがロッカー形状で、センター部分はキャンバー形状の「トップ&テールロッカー」といったバックカントリー用スキーも登場しました。滑りのスタイルに合わせて選択できます。

雪面に映える個性的なグラフィック

バックカントリー用スキーは、特徴的なデザインが多いのも魅力のひとつです。蛍光単色のモデルや、有名デザイナーとのコラボも登場しています。さまざまな選択肢の中からセレクトして、自分好みの一台を見つけましょう。

 

バックカントリー用スキーの選び方3つのポイント

バックカントリー スキー 板

バックカントリー用スキーを選ぶポイントは以下の3つ。

  1. 長さ
  2. 回転半径
  3. 太さ

詳しく説明していきますので、バックカントリーシーンでの楽しみ方に合わせて選択しましょう。

ポイント①長さ

バックカントリー用スキーは、浮遊感を感じられる長いサイズがおすすめです。スキーの操作性を求める場合は、あえてゲレンデ用スキーと同じ長さを選ぶ方法もありますので、楽しみ方に合わせて選択しましょう。

目安は、以下の通りです。

  • ゲレンデメインの場合:身長と同じくらい
  • ゲレンデと深雪両方を楽しみたい場合:身長プラス10cm~15cm
  • 深雪専用でスキー操作に自信がある場合:185cm以上

ポイント②回転半径

スキー側面のくびれ部分(サイドカーブ)が描く円弧のことを回転半径といいます。スキーのスペックを紹介する際には「R」で表示されています。この数字が大きくなるほどスキーは真っ直ぐに進み、数字が小さくなると曲がりやすくなるので覚えておきましょう。

バックカントリー用スキーの場合、直進性を高め、より浮遊感が得られるように設定しているモデルが多いです。ほとんどの場合、回転半径は20m以上となっています。

また、直進性が高く浮遊感が得られる分、スピードも上がります。ただし、スピードを心配するあまり、回転半径が小さいモデルを選んでしまうと、浮遊感が得られなくなります。深雪ではスキーが雪に潜り込み、滑りづらくなるので注意が必要です。

ポイント③太さ

バックカントリー スキー 板

左からセンター幅は130mm、105mm、65.3mm

深雪で浮力を得るためには、スキーの太さが重要です。深雪で滑ることを考慮し、スキーセンターのサイズが90㎜~130㎜のモデルを選択しましょう。

太いスキーを選ぶことで、深雪での浮遊感をより体感できます。そのぶん、スキー全体の重量が重くなるほか、雪面抵抗も大きくなるのでハイクの負担が増えますので頭にいれておきましょう。

以下の太さを目安としてください。

  • ゲレンデメインで春先の重い雪、登り重視の場合は90㎜前後
  • ゲレンデと深雪両方を楽しみたい場合は100㎜前後
  • 深雪専用で使用する場合は110㎜

 

【レベル別】バックカントリー用スキーの選び方

バックカントリー スキー 板

スキーヤーのレベルや楽しみ方によって、スキーの選び方も変わってきます。ここで紹介するポイントを参考に、自分に合うスキーを選んでくださいね。

初めて深雪でのスキーを楽しみたい!

浮遊感を得やすい、柔らかいスキーを選択しましょう。スキーの芯材が木材だけで構成され、少ない力でもスキーがたわんでくれるようなモデルを探してみてください。

また、ハイクでの体力消耗も考慮し、軽いスキーがおすすめです。

深雪の中でもスピードのあるターンを描きたい!

どんどんスピードに乗って滑りたいスキーヤーは、重量があるスキーを選択しましょう。

とくに、メタルやチタンが構造材に使用されているスキーがおすすめ。深雪からのスキーの抜けもよくなり、スピード感のあるターンを描けます。

スピードを出さずにゆっくりと大きなターンを描きたい場合は、柔らかいスキーを選択するのもひとつの方法です。

深雪を楽しみたい女性!

一般的な女性の脚力を考えると、柔らかめのスキーがおすすめです。各メーカーの女性向けモデルは、あらかじめ構造・重量・デザインが女性向けになっているので、そのなかから選ぶのがよいでしょう。

技術があり、深雪のなかでハイスピードターンを描きたい人は、男性モデルの中から選択しましょう。長さは、身長プラス15cmが目安です。
 
取材協力:アルペンアウトドアーズフラッグシップストア 札幌発寒店

深雪での浮遊感や、整地されていない自然の斜面で滑走を楽しむバックカントリーでは、趣向や技術レベルに合ったスキー選びが重要です。経験を積み、滑走レベルが上がれば、選択できるスキーの幅も広がるので選ぶ楽しみも増えます。滑り重視、ハイク重視などバックカントリーシーンでメインとするポイントを見極めて、自分に合った1台を見つけましょう。

ライター

MORITAX

スキー専門誌にライター・編集者として在籍し、現場取材から選手スキー技術解説記事、ニューアイテム紹介まで幅広く担当。現在はライター・編集者として、スキーのみならずアウトドア関連の情報発信にも携わる。趣味はスキーヤーとキャンプで、スキー歴は30年以上。最近はカヌーでいろいろな湖に行くのが楽しみの一つ。