剣山の歴史や特徴について
剣山は四国の徳島県にある日本百名山のひとつで、県のシンボル的な存在です。
剣山の歴史小話「周辺に残る平家伝説」
祖谷地方と木屋平地域、那賀地域の3つのエリアが剣山の山頂を分割しています。
この地域は、壇ノ浦の戦いに敗れて落ちのびてきた平家が隠れ住んだ土地として知られおり、木屋平という地名も平家に由来しています。
平知経(平家一門の武将平知盛の子、後に木屋平姓を名のる)が、安徳天皇を奉じて小屋の内裏を設けて隠れ住んだのが木屋平の地です。
安徳天皇が住んだ仮の御所は三内裏と呼ばれ、福原(現在の神戸)の内裏、屋島板屋の内裏、そして剣山麓の小屋の内裏の3つがあります。
小屋の内裏は戦国時代に入ると森遠城へと名称を変え、平知経の子孫である木屋平氏の居城となりました。森遠城は江戸初期に取り壊され、現在は森遠正八幡神社になっています。
森遠正八幡神社:徳島県美馬市木屋平森遠363
登山口までの移動距離が遠い
難易度の高い山ではありませんが、四国の急峻な山々の奥深くにあり、登山口までの移動距離がかなり長いという特徴があります(徳島市内から最短距離で約100㎞)。
そのため、遠方からは剣山の山容が望めても、近づくにつれ周辺の山々に遮られて、なかなかその姿を目にできません。
西日本で2番目の高さ
剣山の標高は1,955mで、同じく四国の石鎚山に次いで西日本で2番目に高い山です。3,000m級の山々がそびえる北アルプスのような難易度はありませんが、台風シーズンの山頂付近は、しばしば強風が吹き荒れて登山者の行く手をはばみます。
剣山登山のおもなルート
剣山に登るルートは、無数にありますが、一般向けとしてはおもに4つです。それぞれのルートを紹介します。
見ノ越からリフト(登山初心者向け)
剣山への登山者がもっとも多いのが、見ノ越からリフトで西島駅まで登り、そこから山頂まで徒歩で登るルートです。所要時間は、見ノ越から山頂まで約1時間です。
見ノ越から徒歩(登山初心者向け)
見ノ越からリフトに乗らずに山頂まで徒歩で登ることも可能です。リフトを使用しないので片道約1時間40分の行程です。
龍光寺からのルート(登山上級者向け)
剣山は江戸時代まで、立石山(または石立山)と呼ばれていました。修験道の道場として栄え、忌部十八坊のひとつである長福寺(現在の龍光寺)が別当を務め、修験者を受け入れる宿坊として繁栄してきました。
かつての修験道の道場が龍光寺からの登山ルートです。登山者が少ないため、道迷いに注意してください。登山ルートなのかケモノ道なのか見分けがつかないときには、立木などにマーキングされているピンク色のテープをたよりにしましょう。
所要時間は登りが約4時間、下りが約3時間です。
剣山スーパー林道から縦走(登山上級者向け)
剣山スーパー林道の槍戸山登山口から槍戸山、一ノ森を経て、剣山へと登る尾根沿いのルートです。
登山口から槍戸山までは高低差が300mほどあり、かなり勾配のきついコースですが、槍戸山から一ノ森、剣山山頂にかけては、比較的高低差のないなだらかな縦走ルートが続きます。
剣山周辺の見どころ・紅葉の見ごろを紹介
剣山の周辺は紅葉スポットの宝庫ですが、なかでもおすすめしたいのは山頂付近と木屋平方面から登山口の見ノ越へ向かう国道492号線と439号線沿いです。
紅葉シーズンには「わき見運転に注意!」という徳島県警の立て看板が立つほど。マイカーや駅前のレンタカーをチャーターして、木屋平方面から剣山へ登山してみましょう。
国道492号・439号線は、標高差があるため、紅葉シーズンが長いという特徴があります。紅葉シーズンは、例年10月中旬〜12月上旬です。
また、剣山では毎年10月に「剣山もみじまつり」が開催されています。
剣山周辺の見どころ①一ノ森から剣山三嶺にいたる縦走ルート
一ノ森から剣山三嶺にいたる縦走ルートは、遮るものがない絶景で知られています。剣山の山頂について、時間に余裕があったら次郎笈か一ノ森あたりまで縦走してみましょう。
剣山周辺の見どころ②三木家住宅
三木家は、古代大和朝廷の時代に天皇家の大嘗祭などの行事を司ってきた忌部民のなかのひとつで、天皇が着る衣を納める役職を代々担ってきた阿波忌部氏の末裔です。
新天皇が即位礼正殿の儀(そくいれいせいでんのぎ)で着用される麁服(あらたえ)は、古代大和朝廷の時代から天皇の命により納められてきましたが、1338年の光明天皇の践祚大嘗祭(せんそうだいじょうさい)以降は途絶えていました。しかし、大正天皇の践祚大嘗祭から577年のブランクを経て復活し現在に至っています。
場所 | 徳島県美馬市木屋平字貢143 |
電話 | 0883-52-8011 |
剣山周辺の見どころ③祖谷のかずら橋
平家の落人集落に、源氏の追手が入ってきたとき、斧などで簡単に切り落とせるように、かずらで峡谷に橋を架けたのがはじまりだと言われています。
祖谷のかずら橋は、祖谷地域の入口と出口を含め全部で3カ所あります。
場所 | 徳島県三好市西祖谷山村善徳162-2 |
電話 | 0883-76-0877 |
剣山周辺の見どころ④天空にあるソラ集落
剣山の周辺には、山の上にソラと呼ばれる天空集落がたくさん点在しています。欧州などを旅していると、山の上に街があったりして驚くことがありますが、剣山の周辺にもあんな高い場所に人が住んでいるのかと、驚かされる集落がたくさんあります。
剣山に登る際の注意点
剣山に登る際には事前に情報収集をし、服装や持ち物の準備をしておきましょう。
山頂付近は雷雲が発生しやすい
太平洋からの湿った空気が剣山にぶつかり、山頂付近は積乱雲が発生しやすいので、こまめに天気のチェックをして、安全な登山を心がけましょう。周辺に雨雲がないかチェックするには国土交通省のお天気レーダーがおすすめです。
2,000m級の山なので服装に注意
平地では真夏のような気候なのに、剣山の山頂は真冬並みの寒さだった、ということはしょっちゅうあること。気温は100mで約0.65度変化します。
理論上では2,000m級の剣山は、平地よりも13度も気温が低くなります。さらに風が吹くので体感温度はそれ以上です。
植物の採取は法律によって禁止されている
剣山は高山植物の宝庫として知られていますが、国定公園のため採取はできません。
剣山へは自家用車かレンタカーがおすすめ
剣山へ向かう電車やバスは本数が極端に少ないことで知られています。電車の乗り継ぎが2時間待ち、バスが日に2本ということもあり、場合によっては1日で登山口までたどり着けないことも。
マイカーか最寄り駅前にあるレンタカーを利用するのが無難です。ただし、峡谷の岩壁をえぐるようにして道がつくられているので、運転には注意するようにしましょう。
※この記事の情報は2022年9月現在のものです。内容が変更する場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPで確認してください。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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