メンズの夏登山の基本的な服装
夏の登山、トレッキングは、登山を始めたい初心者に人気のシーズンです。
初心者は「そのあとも使うかわからないから」と、普段の服装を流用しがちですが、実はそれはとてもリスキー。もちろん今手元にある服から流用できるものもありますが、本当は初心者こそ専用のウエアがおすすめです。
基本はレイヤードスタイル
夏の登山に限った話ではありませんが、基本の服装はレイヤードスタイルと覚えましょう。レイヤードとは「積み重ねる」「層をなす」などといった意味がありますが、服装に当てはめると、重ね着をするという意味です。
登山中は、天候の変化、運動量の増加などで体温変化が起こりやすくなります。コンディションの変化に対応するには、こまめな脱ぎ着が基本です。適切な重ね着=レイヤリングができていれば、このこまめな体温調節がしやすくなるというわけです。
「アウターレイヤー」「ミドルレイヤー」「ベースレイヤー」という3つのレイヤーを重ねる基本形を、夏場でも忘れないようにして気温や天候の変化に対処できるようにしましょう。
登山場所に合わせた服装にする
季節を問わず、登山中は突然の天候の変化が発生しやすくなります。
標高が高くなれば、風が吹くと寒く感じたり、街中よりも気温が低いケースが多くなります。夏とはいえ、薄着のままで登山に臨むと、想定外の肌寒さを経験してしまうおそれもあるでしょう。
そのため、登山に向かう前は事前に必ず現地の気温を調べ、夏でも防寒着は忘れないように準備をしておきましょう。
ただ、標高がそれほど高くない山麓や中級山岳、低山などだと気温が高いままのところが多くなっています。そうした過酷な暑さのなかでも登山を行う場合には、メッシュ生地などの風通しの良い素材を中心に選んで、熱中症や熱射病などに対策できる服装にしましょう。
帽子で日焼け防止
夏の登山でも欠かせないのが、帽子です。とくに直射日光が降り注ぐ高所においては、日焼け防止・熱中症予防アイテムとして欠かせません。
熱中症や紫外線、日焼け対策はもちろんのこと、枝や落石といった落下物から頭部を守るという非常に大切な役割も担っています。足場が悪い山道では転倒して頭をケガする危険性もあるため、帽子の必要性はとても高くなります。
雨具を用意しておく
どれだけ天気のよい夏の日に登山へ行くとしても、雨具は必ず用意してください。事前に天気予報を確認して登山に行ったとしても、山の天気の変化は非常に目まぐるしいものです。
行きや登山中は雲が全然見えないほどの天気だったのに、下山するころには雲行きが怪しくなってザッと降ってくるようなシーンも十分想定されます。このような山の天候悪化はよくあることなので、雨は常に降るものと考えてレインウェアは必ず準備しましょう。
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夏登山へ行くメンズにおすすめの服装コーデを標高別で紹介
夏の登山であっても、基本的な服装の考え方は変わりません。ただし、山の標高によって快適に過ごせる服装は異なってきます。そこで、500m以下の低山から、2,500m以上の高山へ登る場合まで、標高別のおすすめコーデをご紹介します。
標高500m以下の低山に登るメンズの服装コーデ例
標高が500m程度の低山に登るときは、熱中症対策をしっかり行うことを優先しましょう。標高の低い山は真夏は暑さが厳しいので、登山のベストシーズンは春や秋といえます。
もし夏に登山するなら、暑さ対策に虫対策も兼ねて、長袖に長ズボンがおすすめです。薄手の生地で、接触冷感のような機能があるとなおよいでしょう。
標高1,000mくらいまで上がるとだんだん気温が下がっていきますが、500m以下となると、平地とそこまで気温差はありません。道中の気温は30℃くらいまで上がることもあります。大量に汗をかくことを想定して、着替え用のTシャツなど用意しておくことをおすすめします。
標高1,000m~2,500m未満の中山に登るメンズの服装コーデ例
標高1,000m未満であれば、日中ならまだ寒暖差は感じないケースが多いものの、それ以上の標高となると「上は半袖だけ」のような夏らしい服装のままとはいきません。
登山において、標高が100m上がるごとに気温は0.6度下がるとされています。そのため、1,000m以上の山に登る際には基本のレイヤリングを守ったコーデをおすすめします。
そして、標高が2,000mを超えてくるとさらに寒暖差を感じやすくなるでしょう。アウターには薄手のウインドブレーカーや長袖シャツに速乾性のあるインナー、ボトムスに薄手の長ズボンなどを選択するのがベターです。
標高2,500m以上の高山に登るメンズの服装コーデ例
標高がさらに上がり、2,500m以上の高山に登る場合は、平地と比較して15℃以上気温が下がります。レイヤードスタイルにするのは基本として、素早い速乾性のある素材の衣類だと気化熱によって体温が素早く奪われる可能性が高まります。そのため、ゆっくりと乾くメリノウール製のベースレイヤーがおすすめです。
また、標高が上がると風に吹かれやすくなり、樹林帯に入れば風が止んで蒸し暑くなるなど、体感温度差が激しくなります。よって、素早く着脱のできるウインドブレーカーをアウターにチョイスしたり、ロングのトレッキングパンツをあわせたりするのがおすすめです。
夏登山以外のコーデ方法は?
夏場の登山は、標高が低い場合は暑さ対策が重要で、標高が高くなるにつれて体温調節の重要性が増します。せっかくですので、夏以外の季節の登山コーデの重要なポイントもまとめました。
春登山コーデはアウターレイヤーで調整しよう
春の登山では、アウターレイヤーで防寒や体温調節対策をしましょう。街中ではあたたかさを感じるようになる春も、ひとたび山に登れば気温が低下し、雨や風に見舞われます。
たとえ天気が晴れの予報でも、防水や防風のアウターは必須アイテムです。防水透湿素材、ゴアテックスが使われているアウターなら、急な雨が降ってきても心強いでしょう。
秋登山は保温性のあるミッドレイヤーがおすすめ
夏を過ぎて秋になれば、登山シーズンといえるほど過ごしやすい気候に変わります。だんだんと寒くなり、登山においても気温の低下に対処する必要があるため、ミッドレイヤーに保温性に優れるものを活用するのがおすすめです。
ミッドレイヤーとは、ベースレイヤーの上に着る行動着です。「フリース」や「アクティブインサレーション」が主流のアイテムで、どちらも通気性に優れ、行動を邪魔せずに保温性を保てます。
冬登山は体を冷やさないレイヤー選びが重要
寒さが本番となる冬場の登山では、防寒性・防水性・透湿性という3つのポイントを重視しつつレイヤリングしていきましょう。
ウェアそれぞれの防寒性が重要で、重ね着し過ぎると動きを阻害してしまいます。
雨が降れば体温が奪われます。雪の積もった道を歩くなら足元から衣服が濡れることを想定し、防水性のあるウェアを選びましょう。
透湿性も重要です。防寒、防水性の高いウェアで動き回れば汗をかきます。冷えたり不快になったりするのを防止するため、冬場でも透湿性は確保したいところです。
夏登山へ行くメンズにおすすめのな9つのアイテム
夏場の登山は暑いので薄着にすればいいわけではなく、標高や天候などを考慮してしっかり考える必要があります。ここからは、夏登山で揃えたいおすすめのメンズウェアをご紹介します。
体温調節に重要なベースレイヤー
夏登山のベース、インナー選びで重要なことは、速乾性です。インナーは汗に一番触れるので、汗を吸って揮発させやすい素材がおすすめです。
あまりラフなインナーだと肌が擦れてしまうので、コンプレッション系インナーもおすすめです。
アディダスのアルファスキンは速乾性・通気性が高く、汗をかく夏場にはもってこいです。衣服内温度を保つ機能もあるので、ミドルレイヤーに長袖を着たいなら、とくにおすすめです。
温度調節しやすいミッドレイヤー
夏登山は、雨などがなければミドルレイヤーがベースです。ミドルレイヤーは、汗をかいたときに吸って重くならないもの、汗を含んだ際に体温を奪わないものがおすすめです。枝木に肌を掻かれないように、また、害虫対策から長袖を着る方が多いですが、体温調節を優先に半袖も視野に入れておきましょう。
ロングTシャツも人気ですが、前を開けてこまめに体温調節できるようジップアップシャツもおすすめです。
デサントのミドルレイヤーは、前面と袖に防風性と保護性を考慮した3層ボンディング素材を、後面には特殊なストレッチキルティング手法「i2C」を配置。これにより、運動性を追求したうえで保温性もキープして、快適な登山をサポートするアイテムです。
防水・防風など機能性があるアウターレイヤー
夏登山のアウターレイヤーというのは、基本的にレインウエアです。体が濡れるのを避けるのはもちろん、急激に気温が下がった際に保温する目的もあります。
雨天でない限り、常時着ているものではないので携帯性も重要です。できるだけ上下持ち歩きたいものなので、合わせて500g程度のレインウェアがおすすめです。
この条件を備えたレインウエアとして、ミズノの「ベルグテックEXストームセイバ-VI」がおすすめです。ほどよく伸縮性があり、関節部分は立体的な構造で動きやすく、通気性もあるので蒸れません。
収納用の袋もあり、上下合わせて550g(Mサイズ参考重量)程度なので、持ち運びにも便利。さすがスポーツウエアメーカーのレインウエアというアイテムです。
ストレッチ性があるハイキングパンツが動きやすい
登山は自分の脚で歩くもの。全身運動ではありますが、一番大きく動くのが脚です。これは季節を問わずですが、夏場も登山のためにつくられているハイキングパンツやトレッキングパンツと名のつくアイテムを着用することをおすすめします。
登山を想定して設計されているアイテムは、最も重要な要素である歩きやすさを重視しています。ときには大きな段差を乗り越えたり、岩や樹々などに引っかかったりするような登山では、ストレッチ性や立体裁断、そして耐久性など、山を歩きやすくするための工夫が豊富に施されています。
状況に応じて選ぶハイキングシューズ
パンツとあわせてシューズも最重要といえるアイテムです。登山用のシューズには、アルパイン系ブーツやトレイルランニングシューズなどさまざまなものがありますが、夏場の登山に向いているのはトレッキング・ハイキング用のシューズです。
なだらかで起伏があまりなく、難易度が低めの山やコースであればハイキング用のシューズでも対応できます。明確な登山と言えるレベルの道を登って降りるのなら、トレッキングシューズが適しているでしょう。雪の無い山を歩くなら、汎用性が高く、耐久性や通気性のバランスが優れた製品が揃っています。
クッション性に優れた登山用靴下
暑い夏場の登山でも、靴下の着用は必須です。汗を吸う吸湿性や足の負担を軽減するクッション性など、登山に適したものを使用するべきです。
ポイントとしては、蒸れを防ぐ吸湿性・衝撃吸収を担うクッション性・サイズに合うフィット感の3つがあります。
ハードめな登山をするならミドルからハイカットの靴が選ばれるため、くるぶし以上の丈で冬以外の3シーズン使える靴下がおすすめです。
紫外線対策ができる帽子
夏の登山で忘れてはならないアイテムが帽子です。野外で使うものなので、UVカット・通気性・軽さなど機能面も意識する必要があります。
なかでも優先するべきポイントは、紫外線防止効果です。高所になると平地に比べて紫外線も強くなり、キャップだと心もとないケースもあるでしょう。しっかり対策をしたいなら、360度ガードできるハットタイプをおすすめします。
装備が充実しているリュック
夏場の日帰りのリュックなら、容量は20〜40L程度が推奨されています。
容量だけではなく、リュックの機能にも目を向けてみましょう。欠かせないのは、背面通気システムタイプであることです。背中と本体の間に空間を設けるため、蒸れやすい夏場でも快適に背負い続けられます。
また、水分補給も欠かせませんので、飲み物へのアクセスがしやすいタイプを選択するとよいでしょう。
防水性能に特化した雨具
天候の変わりやすさを考慮して、雨具は必須アイテムです。とくに夏場は、防水性はもちろん、内部の汗を放出できる透湿性に優れたレインウェアをおすすめします。
ただでさえ夏場は暑いので、レインウェアを着ていても快適性を保ちたいところです。汗だくのままの登山は不快なだけでなく冷えてしまうおそれもあるので、高性能な透湿性を備えたものを選びましょう。
初心者向け:夏登山の服装を安く調達できるメンズ向けブランド2選
登山では、夏場といってもさまざまな装備が必要で、揃えておきたいアイテムも数多くなります。初期費用をあまりかけたくない方は、安くウェアやアイテムを調達できるワークマンやユニクロをおすすめします。
登山用品対応店舗のワークマンプラスで夏の服装が揃う
引用:ワークマン
ワークマンプラスは、高機能かつ低価格なアウトドア・スポーツ・レインウエアなどを扱う専門店です。アウトドア向けアイテムのフィールドコアやスポーツウェアのファインドアウト、防水機能で雨にも強いイージスをはじめとした高機能ウェアを多数取り揃えています。
フィールドコアの夏用半袖シャツ・クライミング長袖ハーフジップ・エアロストレッチパンツなど、登山に使えるアイテムがリーズナブルな価格で購入できますよ。
低山の登山へ行くメンズの服装はユニクロでもOK
引用:ユニクロ
大人気メーカーのユニクロからも、登山用に使えるウェアが展開されています。吸湿・速乾性に優れる「エアリズムクルーネックT」をはじめ「エアリズムUVカットフルジップパーカ」などアウターに使えるアイテムが目白押しです。
標高が低い低山での日帰り登山なら、十分にウェアとして機能してくれるでしょう。
本格派向け:夏登山の服装を揃えられるおすすめメンズブランド4選
ワークマンやユニクロでも、軽めの登山に行くなら十分対応できるアイテムが揃っています。対して、本格的な登山には、専門的なウェアを展開しているアウトドアブランドのアイテムがおすすめです。
【ノースフェイス】登山のアウターにおすすめ
アメリカで発祥したアウトドアブランド、ノースフェイスは、さまざまな登山向けアイテムを展開していることで知られています。ウェア・ザック・シューズ・小物類と、全身ノースフェイスでまとめることも可能なほどアイテムが豊富です。
「フューチャーライトドリズルジャケット」は独自に開発したナノフィルム状の防水透湿素材を使ったアウタージャケットです。登山をはじめ、さまざまなアウトドアアクティビティで、行動中も快適に着続けられる1着としておすすめです。
【モンベル】夏登山のレディースの服装にも人気
モンベルのアウトドアウェアは、メンズのみならずレディースでも人気の高いアイテムが揃っています。
「ジオライン L.W. T」は寒い季節の激しく汗をかく運動や、夏場のウォータースポーツなどオールシーズン活躍する汎用性の高いモデルです。薄手で伸縮性に優れ、重ね着がしやすく夏の登山でも体温調節がしやすいでしょう。
【コロンビア】街使いもできる
コロンビアは、アウトドアはもちろんのこと、そのまま街中でも着られるカジュアルなウェアを展開していることで知られています。
「マウンテンズアーコーリングⅡパンツ」は、無雪期の日本アルプス登山に適した3シーズン向けのトレッキングパンツです。軽量かつしなやかな伸縮性を持つ素材によって運動性を確保しており、どのような場面でも使えるデザインでオールマイティに使いたい方におすすめです。
【パタゴニア】元祖レイヤリング
ベース・ミドル・アウターと、レイヤリングアイテムを多数展開しているのがパタゴニアです。
「イスマス アノラック」はオールシーズン型の軽量なウインドブレーカーとしておすすめのアウターです。
機能性は申し分ないうえに、タウンユースとしてコーデにあわせても似合うデザインで、アウトドアでも街でも着こなしを楽しめますよ。
夏登山の服装を気にするおしゃれメンズは標高でコーデを変えよう!
アウトドアブームもあり、登山用ウエアのラインナップは日々増え続けています。夏の登山は、どの程度の山に登るのかによって適したウェアも変わります。やさしい低山なのか、しっかりとしたトレッキングなのか、コースの標高や長さ、難易度などを総合的に考慮したうえでトレッキングウェアを決めましょう。ベースレイヤーやアウターの性能を十分に吟味して、安全かつ快適な夏登山に出かけてくださいね。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。