目標を定めて練習を積み、楽しみにしていた乗鞍ヒルクライム2026。前日から現地入りし、受付を済ませて準備を整えていましたが、悪天候によりコースが閉鎖。大会はまさかの中止が決定しました。自然を舞台にするイベントでは、どれだけ準備を重ねても、天候によって予定どおりにいかないことがあります。本記事では、大会中止までの様子や現地での過ごし方、雨の遠征で役立ったものなど、実体験をもとに紹介します。
目標にしてきた乗鞍ヒルクライム2026へ

乗鞍ヒルクライムは、乗鞍高原から標高2,700mを超えるゴールを目指す、国内でも人気な自転車イベントです。サイクリストの間ではヒルクライムの聖地ともいわれており、筆者にとっても、シーズン後半の大きな目標のひとつ。練習を重ね、当日を楽しみにしていました。
この日のために練習を積んできた
レースは、エントリーを決めた日からすでに挑戦が始まっています。大会の目標を決め、仕事や家事、育児の合間を縫ってトレーニングを継続。暑い夏も、乗鞍を思い浮かべながらペダルを回してきました。
大会が近づくにつれて練習量を調整し、コンディションや装備を最終確認。当日をよい状態で迎えるための時間も含めて、レースの楽しさだと思っています。
前日から乗鞍入り。雨が降るなか受付へ
大会前日、受付会場となる乗鞍観光センターも雨が降っていましたが、大会の準備は進められており、予定どおり受付を済ませました。
公式スケジュールでは、大会前日13〜17時が受付と下山荷物預かりの時間。大会当日は早朝から競技が予定されていたため、前日に必要な手続きを終えておく必要があります。
雨のなかでも会場には多くのサイクリストが集まり、翌日のレースを待つ独特の高揚感が漂っていました。
天気予報を気にしながら迎えた大会前夜
天気は気になっていましたが、過去には雨予報でも開催された大会があったため、「今回もきっと走れるだろう」と、深刻には考えていませんでした。
今回は、普段なかなか会えない県外のチームメンバーたちとペンションに宿泊。翌日に備えて準備を整えつつ、天気予報や大会情報を何度も確認しました。
「明日はどうなるかな」そんな会話をしながら眠りにつきましたが、この時点ではまだ、翌日にまったく走れなくなるとは思っていませんでした。
まさかの大会中止。自然相手だからこその決断

大会当日のスタート予定は午前6時35分。筆者は午前3時に起床し、朝食を済ませました。しかし、外から聞こえてくるのは雨の音。
仲間と情報を確認しながら、大会の判断を待つ時間が続きます。
悪天候により大会中止が決定
午前4時50分頃、大会公式サイトで中止が発表されました。発表によると、乗鞍エコーラインでは降り始めからの雨量が80mmを超え、道路交通規制がかかったことから大会中止が決定。
前日には予定どおり受付が行われていただけに、山の天候は短時間でも大きく状況が変わることを実感しました。
安全を最優先した大会運営の判断
エントリー料を払い、練習を重ねて楽しみにしているサイクリストを知っているからこそ、運営の方々もギリギリまで判断を悩んだことでしょう。最終的には大会コースとなる乗鞍エコーラインが使用できない点が大会中止の決め手となったようです。
標高の高い山を登るヒルクライムでは、雨だけでなく気温低下や視界不良なども考えなくてはなりません。サイクリストだけでなく、スタッフも含めた全ての関係者の安全面を考えた上での判断です。
「ここまで来たのに…」中止を知ったときの気持ち
安全を考えれば、中止は納得できる判断です。それでも発表を見た瞬間「ここまでやってきたのに」、やはり「走りたかった」という残念な気持ちがありました。
一方で、どこかホッとした自分がいたのも事実です。雨天のヒルクライムは、濡れた路面での落車や冷えた身体での下山など、晴天時とは違ったリスクがあり、とくに乗鞍の長い下りには不安を感じていました。「残念だけど、無理して走らなくて済む」悔しさと安堵が入り混じる、なんとも複雑な気持ちでした。
自然を相手にするスポーツだからこそ、走りたい気持ちだけでは決められないことがある。今回の中止を経験して、あらためてそう感じました。
雨や大会中止も想定。遠征前に備えておきたいこと

今回の経験で感じたのは、遠征では「予定どおり開催されること」だけを想定して準備しないほうがよいということ。とくに山を舞台にしたイベントでは、天候の変化を考えた備えが重要です。
大会公式サイトやSNSで最新情報を確認する
大会の公式サイトやSNSでこまめに状況を確認しましょう。
今回も前日受付が予定どおり行われていましたが、中止が発表されたのは当日午前4時50分。そのあとも、預け荷物の返却や計測タグの返却方法などについて情報が更新されました。「昨日は開催予定だったから大丈夫」と判断せず、最新情報を常に確認することが大切です。
また、たとえ大会であっても、自身の力量を考えて無理に走らず予定を変更するのも立派な選択肢です。
雨に備えて準備しておく
雨の自転車イベントでは、走行中だけでなく、受付や移動、スタートまでの待機中にも身体が濡れる可能性があります。レインウェアやタオル、着替え、防寒着、防水性のある袋などを用意しておくと安心です。
裾が大きく広がるポンチョや丈の長いレインコートは、走行風でのばたつきや、車輪に巻きこまれる恐れがあります。ペダリングを妨ぎげにくく、身体にフィットするタイプが使いやすいでしょう。
一方、受付や待機などでは、雨をしっかり防げるものが重宝します。走行時と待機時で使い分けるのがおすすめです。
以下の記事では、ロードバイク用のレインウェアを詳しく紹介しています。
宿泊や交通のキャンセル条件も確認しておく
遠方のイベントでは、宿泊費や交通費が大きな出費になります。悪天候による大会中止でも、宿泊施設や交通機関のキャンセル料が必ず免除されるとは限りません。宿泊施設の予約時にキャンセル条件を確認しておくほか、温泉へ行く、観光するなど大会以外の予備プランを考えておくとよいでしょう。
もちろんそのまま帰宅するのも、選択肢のひとつです。
自転車遠征での宿選びについては、以下の記事で紹介しています。
レースがなくても乗鞍遠征で残った楽しい思い出

大会は中止になりましたが、振り返ってみると「なにもできなかった遠征」ではありません。
今回は、県外に住むメンバーと大会当日の午前3時に起床し、朝食を食べながら開催の判断を待ちました。レースの話をしたり、今後の予定を相談したりと、仲間と過ごした時間も、遠征だからこそ得られた思い出です。
中止決定後は「乗鞍まで来たから観光して帰ろうかな」とも考えましたが、筆者は家族へのお土産を買って新潟へ。帰りのサービスエリアでは長野限定アイスを食べながらひと休みしました。
筆者にとって予定していたレースを走ることはできなくても、仲間との時間や帰り道の寄り道まで含めて楽しい経験でした。
走れなかった悔しさを、次の挑戦への原動力に

走れなかった悔しさの消化方法は人によってさまざま。筆者もさまざまなことを思いながらも、今の気持ちは次の挑戦に向いています。
積み重ねてきた時間はなくならない
大会が中止になっても、それまで積み重ねてきた時間がなくなるわけではありません。目標があったからこそトレーニングを続けてきました。
今年の乗鞍ヒルクライムで成果を確かめる機会はなくなりましたが、その過程で得た体力や経験は、次のライドや挑戦に生きていくはずです。
「走りたかった」という気持ちも、そのままでいい
中止の理由を理解することと、残念に思うことは別です。
仕方ないと無理に気持ちを切り替えるのではなく、残念なものは残念。その気持ちも遠征の一部として残しておいてよいと思います。
乗鞍を走る楽しみな気持ちが増した
2026年の乗鞍ヒルクライムは、筆者にとって「走れなかった大会」になりました。だからこそ、「この山を登りたい」という気持ちが高まっています。
いつかあらためてスタートラインに立ち、ゴールへたどり着けたとき、2026年の雨の遠征もきっと思い出すはず。そう考えると、乗鞍へ挑戦する楽しみが伸びて、またワクワクしている自分がいます。
ライター
yomec(よめしー)
自然豊かな新潟県在住、夫婦でロードバイクを楽しんでいる自転車ライター。子育てしながらトレーニングする方法を日々模索中です。今ではヒルクライムを中心としたレースが家族旅行に。愛車はSPECIALIZEDとBROMPTON。夫婦での所有スポーツバイクはなんと8台。ファミリーでも楽しめる自転車の魅力を発信します。