国内最大級クラスのヒルクライムイベント「Mt.富士ヒルクライム」。女性サイクリストである筆者は、2026年大会で念願のシルバーリング(75分切り)を獲得しました。レースそのものの楽しさはもちろんですが、挑戦や楽しみ方はレース当日だけのものではありません。本記事では、筆者が家族や仲間たちと楽しんだ前泊キャンプなど、サイクリストを惹きつける富士ヒルの魅力を「走る」だけでなく「楽しむ」視点でお届けします。

サイクリストを惹きつける富士ヒルクライム

「富士ヒルって、なにがそんなに特別なの?」富士ヒルはエントリーが始まると、その日のうちに人数制限がかかる人気イベント。「まずはエントリー峠を越えなければいけない」といわれるほどです。

この大会がサイクリストを虜にする理由を、筆者目線で紹介します。

初心者から上級者まで楽しめる国内最大級イベント

富士ヒルクライムは、世界遺産・富士山の5合目までを自転車で登る、国内最大級のヒルクライムイベント(レース)です。「レース」と聞くと、なんだかピリピリしたシリアスな世界を想像してしまうかもしれません。

しかし、富士ヒルはお祭りのような温かい雰囲気。スタート直前の緊張感さえもどこか心地よく、会場全体が「これから富士山に挑むんだ!」というワクワク感に包まれているのが大きな魅力です。

富士ヒルクライムの楽しみ方については、以下の記事でも紹介しています。

【第21回Mt.富士ヒルクライム】人気の理由やエントリー方法を紹介
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完走を目指すだけでも十分に達成感がある

舞台となるのは山梨県側から吉田口五合目へ向かう「富士スバルライン」で、全長約24km、獲得標高1,270mというヒルクライムレースのなかでも長丁場のコース。

この数字だけ見ると圧倒されてしまいますが、制限時間が3時間15分とたっぷり設けられているため、出走者の完走率は例年98%以上!平均勾配が5.2%と比較的緩やかなため、ロードバイクを始めたばかりの初心者でもマイペースに登りやすいコースレイアウトです。

最初の目標タイムとしては、まずは制限時間内での完走を目指すのが第一ステップ。少し走り込んでいる人であれば、1時間40分切り(99分以内の完走でもらえるブルーリングなど)をターゲットにするのがおすすめです。

家族や仲間と過ごす時間も特別な思い出になる

富士ヒルの楽しさはレースで速く走ることだけではありません。富士山への遠征というちょっとした旅要素があるからこそ、自分の趣味を大切な人たちと共有する絶好のチャンス。

レース前後の時間をどう過ごすかによって、楽しさは何倍にも膨らみます。家族や仲間の笑顔があるだけで、富士ヒルは一生忘れることのない特別な思い出へと変わっていくでしょう。

レースが終わると、つらかったはずなのに「来年も楽しみだね!」と仲間たちと話しているのも不思議な感覚ですよ。

レース前日から楽しむのがミソ

レースを「イベントごと」として120%遊び尽くすための、我が家の過ごし方をご紹介します。

会場の雰囲気を楽しみながら余裕をもって受付を済ませる

ヒルクライムレースは早朝スタートが多く、前日受付が一般的です。富士ヒルも例外ではなく、前日に富士北麓公園のメイン会場で受付を済ませます。この際、山頂預け荷物も回収となるため、しっかり準備していきましょう。

会場にはたくさんのサイクルメーカーのブースが並び、最新機材や限定ウェア、キッチンカーからのおいしそうな匂いでまるでお祭りのよう

普段は会えない遠方のサイクリストと交流できるのも楽しみのひとつです。

下山荷物については以下の記事で紹介しています。

富士ヒルクライムの下山は寒い!ダウンヒルが苦手な私のリアル下山対策
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PICA富士吉田で前泊キャンプ

今回は、夫と5歳の息子、犬(0歳)と一緒に、富士山の麓にある「PICA富士吉田」で前泊キャンプを楽しみました。温かい木の質感が心地よいコテージにチェックイン。大好きなアウトドア空間で家族と過ごす時間は、レース前の緊張をふんわりとほぐしてくれます。

また、今回は同じく富士ヒルに挑戦する友人たちも同じキャンプ場に宿泊しており、それぞれの調子や目標を話していると、みんなで挑むんだという一体感がうまれ、緊張感をワクワクへと変えてくれます。

そして布団に早めに潜り込む。寝つきにくいレース前夜も、家族がいると不思議とすぐに寝つけました。

シルバーリング獲得を支えた1年間の積み重ね

「74分04秒」という結果は、決して本番の勢いだけで生まれたものではありません。シルバーリング獲得までの、1年間の準備や考え方を振り返ります。

目標を「75分切り」に定めた理由

富士ヒルでは、完走タイムに応じて男子・女子共通の「カラーリング」がもらえる素敵な制度があります。

今回、筆者が目標に据えたのは「60分切り(プラチナ)」、「65分切り(ゴールド)」に次ぐ、「75分切り(シルバー)」。大会の年によって前後しますが、シルバーリングの獲得者は完走者全体で上位10%〜12%前後、女子に至っては1%〜2%と、サイクリストの憧れです。

シルバータイムに必要なパワーの目安は、自分の体重に対してどれだけ効率よくペダルを漕げるかという指標で、一般的に「パワーウェイトレシオ(PWR)4.2倍以上」といわれています。

ギリギリの挑戦になることはわかっていましたが「やるからにはシルバーリングがほしい!」という思いが、私の75分切りに対する原動力でした。

継続できたのは家族の理解があったから

シルバーリング獲得のためには相応のトレーニングが必要ですが、社会人、ましてや母の立場となると時間の確保が難しいのが現実。そんななかトレーニングを継続できたのは、家族の理解と協力があったからです。

夫と家事・育児を時間や日にちで分担、協力し、息子も風邪などひかずに元気に過ごしてくれました。

さらに今回、シルバーリングへの挑戦を支えてくれたのが、夫からのプレゼント「S-Works Tarmac SL8」というニューバイク。家族からの期待が詰まったこの機材でトレーニングを詰み、ペダルを回せたことが、1分1秒を削り出す大きな武器になったのは間違いありません。

体調管理を最優先にしてレースに挑んだ

どんなに練習を積んでいても、当日に100%の力を発揮できなければ目標達成は難しいもの。

実は筆者がシルバーリングに挑戦するのは今回で2回目。昨年は、レース前に無理をしすぎて気管支炎をこじらせてしまい、体調不良のなかレースに挑む苦い経験をしています。

そのため今シーズンは、日々の練習と同じくらい体調管理を最優先に過ごしてきました。十分な睡眠時間を確保し、栄養バランスのよい食事を摂る。そして、日々の実走データや体調の変化を記録・分析しながら、オーバートレーニングにならないようコントロールを徹底し、今回は最高のコンディションでスタート地点にたてました。

体調不良で挑んだ2025年のレース模様は、以下の記事で紹介しています。

【富士ヒル2025レポ】女性サイクリスト、シルバーリングへの挑戦
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富士ヒルクライムの魅力は、ゴールタイムやリング獲得だけではありません。家族や仲間と過ごす時間、前日から続く高揚感、そして目標に向かって積み重ねる日々も、この大会を特別なものにしてくれます。後編では、実際のレースの雰囲気やチームで挑んだシルバー獲得という挑戦についての振り返りをお届けします。

yomec(よめしー)

ライター

yomec(よめしー)

自然豊かな新潟県在住、夫婦でロードバイクを楽しんでいる自転車ライター。子育てしながらトレーニングする方法を日々模索中です。今ではヒルクライムを中心としたレースが家族旅行に。愛車はSPECIALIZEDとBROMPTON。夫婦での所有スポーツバイクはなんと8台。ファミリーでも楽しめる自転車の魅力を発信します。