バイオマス燃料とは
間伐材や生ゴミ、家畜のふん尿など、動植物由来の資源から作られたエネルギー源です。石油や石炭などの資源には限りがありますが、バイオマス燃料は枯渇することがありません。将来にわたって、持続的に使用できる燃料です。
バイオマス燃料が注目されている理由は、カーボンニュートラルを実現している資源であること。地球温暖化の原因となるCO2を、実質的に排出しないとされています。
バイオマス燃料を焼却した際にはCO2が排出されますが、資源となる植物が過去にCO2を吸収しているので、排出量が相殺されます。つまり、バイオマス燃料は、CO2を増やさずに使い続けられるエネルギー源なのです。
さらに、捨てられるはずだった廃棄物を再利用して製造されていることも、バイオマス燃料の特長。バイオマス燃料を利用すれば、ゴミをエネルギーに変えて利用する、循環型のシステムを構築できます。
まとめるとバイオマス燃料は、CO2の排出を抑えた、持続可能な燃料といえます。燃料です。持続可能な社会の実現にむけて、今後ますます注目されると予想されます。
バイオマス燃料とバイオ燃料の違い
バイオ燃料とは、再生可能なバイオマスを原料とした燃料のことです。バイオマス燃料とバイオ燃料には、明確な定義はなく、同じ言葉として使用されることもしばしばです。
ただし、バイオマス燃料が固体や気体の燃料を含むのに対し、バイオ燃料は、バイオエタノールやバイオディーゼルなどの、液体燃料のみを指す場合があります。異なる定義で使用されることもあるので、注意が必要です。
バイオマス燃料の種類
バイオマス燃料には、気体・液体・固体の燃料があります。4種類の代表的なバイオマス燃料の、特徴や活用方法を紹介します。
木質バイオマス
間伐材やおがくず、剪定された枝木などを原料にした木製のバイオマス燃料です。薪としてそのまま使用されたり、チップ、ペレットなどの形状に加工されたりします。
薪は、ストーブで直接燃やして燃料にする方法が主流です。チップやペレットに加工されたものは、ガスやエタノールに換えて、発電や輸送用の燃料として使用する場合もあります。
バイオエタノール
サトウキビやトウモロコシなど、植物由来のバイオマスを発酵させ、蒸留して作られる液体燃料です。
バイオエタノールは主に燃料として使われていますが、原料調達のために大量のサトウキビやトウモロコシが必要です。そのため、食糧生産とのかねあいが難点とされています。
日本では、主にサトウキビの絞りかすや建築用の廃材を、バイオエタノールの材料として使用しています。しかし、材料の多くを輸入に頼っているため、安定した供給が難しく、コストが高くなることが課題です。
バイオディーゼル
植物油や廃油から作られるディーゼル燃料のこと。石油由来のディーゼル燃料と比較して、二酸化炭素の排出量が少ないことが特徴です。軽油の代わりとなる、持続可能な燃料として注目を集めています。
バイオガス
家畜のふん尿や生ゴミなどのバイオマス燃料を、微生物の働きを利用して、発酵させた気体燃料のことです。主に発電用の燃料や暖房の熱供給に使用されています。
バイオガスを利用した発電は、そのほかの発電方法と比較して、比較的小規模な施設で対応できるのが特長です。廃棄物からエネルギーを供給する、循環型の資源として注目されています。
バイオマス燃料の活用方法
バイオマス燃料は、わたしたちの身近なところから発電施設まで、さまざまな場所で利用されています。バイオマス燃料の活用方法を2つ紹介します。
ペレットストーブ
ペレットストーブは、木質のペレットを燃焼させて暖めるストーブです。燃料であるペレットの投入機能や、自動着火装置が備わったストーブなど、機能性が高いペレットストーブが販売されています。
ペレットストーブは、使用時や使用後に出る灰や煙が少なく、管理しやすいのがメリット。バイオマス燃料を利用して、自宅で手軽に暖炉を楽しめます。
バイオマス発電
バイオマス発電は、バイオマス燃料を燃やしたエネルギーで電気を生み出す発電方法です。天候に左右されることなく、安定して発電を続けられるメリットがあります。
また、バイオマス発電は小規模な施設で発電できることから、各地域の特色を活かし、地域活性化の一貫として発電事業を始められるのが特徴です。
バイオマス発電について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
バイオマス燃料は、カーボンニュートラルを実現するエネルギー源です。石油や石炭を利用したエネルギーには限りがありますが、動植物由来のバイオマス燃料は、枯渇することなく、今後も発電し続けられることが魅力です。これからも、安定してエネルギーを使い続けるためには、バイオマス燃料やバイオマス発電について知り、取り組みを応援していくことが必要です。この記事をきっかけに、持続可能なエネルギーについて考えてみませんか。
ライター
AYA
静岡県出身。海と山に囲まれた自然豊かな環境で育ち、結婚後に、タイ・バンコクへ移住。病気がきっかけで、ヴィーガンのライフスタイルに目覚める。現在は、2児の母として子育てに奮闘しながら、人と環境にやさしいサステナブルな暮らしを実践中。自身の経験をもとに、ヴィーガン、環境問題、SDGsについて情報を発信している。