クローゼットを整理するたびに頭を悩ませるのは、「不要になった服をどう手放すか」。まだ着られるのに捨ててしまうのはもったいない、そんな“もやもや”を抱える人は多いのではないでしょうか。そんな中で出会ったのが、再利用と社会貢献を同時にかなえる「古着deワクチン」。衣類をただ回収するのではなく、「手放すことが誰かの支えにつながる」ー。その仕組みに共感し、利用してみました。体験を通して感じた気づきをご紹介します。
着なくなった服を「ただ捨てられない」理由

服を手放すとき、「もう着ないけれど、捨てるのはもったいない」と、誰もが一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
お気に入りだった服、まだ着られる服、人から譲ってもらった服、どれも簡単には捨てることはできませんよね。
思い入れのある服は、思い出まで手放してしまうようで寂しく感じたり、高かった服はもったいない気持ちが残ったり。結局のところ、手放せない理由は服そのものではなく、その服に込めた想いや記憶なのかもしれません。
「古着deワクチン」を知ったきっかけ

手放せずに残った服は、少しずつクローゼットも心も埋め尽くしていきます。私自身、「心に負担をかけない手放し方があれば」と、ずっと思っていました。また、自分の服はもちろんですが、とくに悩んでいたのは、サイズアウトをした子ども服の手放し方。
着古したものは小さく切って、掃除やキッチン周りで最後まで使い切りますが、なかには状態がよく、まだ着られるものも。捨てるのはもったいない、けれどフリマアプリに出すのは手間がかかるー。と、悩んでいたとき、SNSで偶然目にとまったのが「古着deワクチン」のサービスでした。
古着deワクチンは、不要になった衣類を回収・再利用し、その収益の一部をワクチン寄付や雇用支援に充てる仕組み。「手放すことが、誰かの笑顔や命を守ることにつながる」ということに心を動かされ、捨てることへの後ろめたさが、少しだけやわらいだ気がしました。
古着deワクチンの仕組みはとてもシンプルです。
- 公式サイトで回収キットを購入(2,750円〜)
- 自宅に届く回収キットに衣類を詰めて送るだけ
- 送られた服は、海外で再販売・再利用され、現地の雇用や収入源を支援
- 1口につき5人分のポリオワクチンが寄付され、子どもの命を守る活動に活用
- 国内でも、回収作業を通じて障がい者雇用の創出に貢献
循環を通して、「不要になった服」が社会や環境を支える資源へと生まれ変わります。
“捨てる”から“届ける”へ。古着deワクチンを実際に使ってみて

申し込みから回収キットが届くまで約1週間。思い立ったときにすぐ利用できる手軽さに驚きました。丁寧に梱包されたキットの中には利用手順の案内と、衣類を入れる紙袋が小さく折り畳まれて入っています。
案内には、衣類の行き先やサービスの仕組みがわかりやすく説明されていて、「服がただ処分されるのではなく、誰かのもとで再び役立つ仕組みであることを改めて実感できました。
古着deワクチンの回収キットは、用途に合わせて大中小3つのサイズから選べます。今回、私が購入したのは小サイズの「minimini」(2,750円)。子ども服を中心に、20〜25着ほど入るサイズ感です。
丁寧に1枚ずつ袋へ入れていくうちに、服を手放すことが“処分”ではなく、“思いを託す時間”へと変わっていくのを感じました。これまでに感じたことのないほど清々しい気持ちです。
服を手放すことで、暮らしも心も整っていく

古着deワクチンを実際に利用してみて感じたのは、手放すことがこんなにも心地よく、暮らしと心を同時に整えてくれるという驚きと喜びでした。
アパレル業界では、まだ着られる服が大量に廃棄され、環境への負荷が深刻な問題となっています。国連環境計画(UNEP)によると、世界では毎年約9,200万トンもの繊維廃棄物が発生し、毎秒にしてトラック1台分の服が捨てられているといわれています。(出典:“Unsustainable fashion and textiles”|UNEP公式サイト)
この事実を初めて知ったとき、「服を手放す」という何気ない日常の行為が、地球規模の環境問題につながっているのだと実感しました。
だからこそ「捨てる」ことが「届ける」ことに変わる体験は、自分の心に穏やかさをもたらし、同時に地球にもやさしい選択になるのだと感じます。
古着deワクチンとの出会いは、日々の小さな悩みを解決し、「持続可能で、心地よい暮らし」を実現する一歩にもなりました。サービスの利用を通して、子どもたちにも「服を大切に着ること」や「ものを循環させ、長く活かしていくことの大切さ」を自然に伝えていけたらいいなと、思っています。
手放せない服があるのは、それだけ大切にしてきた証。だからこそ、想いの形を変えて、温かい支援の輪へとつなげてみませんか?古着deワクチンは、クローゼットを整えるだけでなく、自分の暮らしや心までも整えてくれる、やさしい循環の仕組みです。手放すことが、誰かの支えとなり、自分の暮らしを整える小さな一歩になるかもしれません。
ライター
AYA
静岡県出身。海と山に囲まれた自然豊かな環境で育ち、結婚後に、タイ・バンコクへ移住。病気がきっかけで、ヴィーガンのライフスタイルに目覚める。現在は、2児の母として子育てに奮闘しながら、人と環境にやさしいサステナブルな暮らしを実践中。自身の経験をもとに、ヴィーガン、環境問題、SDGsについて情報を発信している。