電気代やガソリン代の値上げが続くと、家計への影響が気になるものです。そんなときに「再生可能エネルギー(再エネ)」が気になったことはありませんか?環境に良さそうという印象はあっても、利用についてはよく分からないと感じる人も多いかもしれません。本記事では、再エネのメリット・デメリットを身近な例で整理しながら、暮らしとの関わりを「なっとく」して理解するためのポイントを紹介します。
再生可能エネルギーとは?身近な例から基本を理解

再生可能エネルギーは、毎月の電気代にも関わる、身近なテーマです。
石油・石炭・天然ガスといった化石資源に頼り続けると、日本は資源不足のリスクが高まります。さらに、燃焼によってCO2が増え、温暖化を進める一因にもなります。
再エネは、こうした課題への対策として注目されています。家計にも影響するテーマだからこそ、身近な視点から考えてみましょう。
再生可能エネルギーとは何か
再生可能エネルギーとは、自然の力を利用し、繰り返し使えるエネルギーのことです。太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどが代表例です。
発電時にCO2をほとんど排出しない点が特徴ですが、天候や立地によって発電量が左右されるため、組み合わせて活用することが求められます。
暮らしの中にある再エネの身近な例
再生可能エネルギーは、家庭の電気とも無関係ではありません。
太陽光や風力、水力などで発電された電気は混ざり合って家庭に届いており、日常で使う電気の一部はすでに再エネです。
近年は自治体の取り組みも進み、東京都では新築住宅への太陽光設備の設置が義務化されました。また、地域全体の電力を再エネ100%でまかなう100%のまちづくりも広がっています。電気料金の明細にある「再エネ賦課金」も、その仕組みを支える一つです。
なぜ今、再エネが注目されているのか
再生可能エネルギーが注目される背景には、CO2削減とエネルギーの安定供給という2つの課題があります。
再エネはCO2排出が少なく、温暖化対策に欠かせません。また、日本はエネルギーの多くを輸入に頼っており、国際情勢の影響を受けやすい状況です。
実際に中東情勢の変化は、電気代や燃料費にも影響しています。こうした背景を知ることが、電気の使い方を見直すきっかけになります。
参照:
なっとく!再生可能エネルギー|資源エネルギー庁
再生可能エネルギーのある暮らしがすぐそこまで来ている!?身近に迫る脱炭素化の最前線を見てみよう。 | 環境省
日本のエネルギー自給率は1割ってホント?|資源エネルギー庁
再生可能エネルギーのメリット・デメリットを整理

再生可能エネルギーは環境にやさしい一方で、発電方法ごとに特徴や課題が異なります。電気料金やエネルギーの選び方を考えるうえでも、それぞれのメリット・デメリットを知っておくことが大切です。
太陽光発電のメリット・デメリット
太陽光発電とは、太陽の光をパネルで電気に変える発電方法です。住宅の屋根に設置されることも多く、最も身近な再エネの一つといえます。
メリットは、設置場所の自由度が高く、自宅で発電できる点です。離島や山岳部、災害時の非常用の電源としても活用でき、電気代削減にもつながります。
一方で、天候や昼夜に左右されるため発電量が安定しないこと、初期費用がかかることがデメリットです。
風力発電のメリット・デメリット
風力発電とは、風の力で風車を回し電気を生み出す方法です。海沿いや山間部で見かけることが多く、自然の力をダイナミックに活用しています。
メリットは、夜間も発電できる点と、風のエネルギーを効率よく電気に変換できること。さらに、大規模に導入すれば、火力発電並みに発電コストが下がる可能性があり経済面でも期待されています。
一方で、風の強さに左右されやすく、発電量が安定しにくいことや、景観・騒音・野鳥への影響などに配慮が必要な点が課題とされています。
水力発電のメリット・デメリット
水力発電とは、ダムなどで水を落とす力を利用して発電する方法です。日本では古くから使われており、水資源に恵まれた国ならではの純国産エネルギーとして、再エネの中でも安定した電源です。
近年は、大規模なダムだけでなく、小水力発電と呼ばれる中小規模の発電も広がっています。河川だけでなく、農業用水や上下水道など、身近な水の流れを活用できるのが特徴で、地域に根ざしたエネルギーとして注目されています。
メリットは、天候の影響を受けにくく、発電量が比較的安定しており、一度設備を整えれば長期間利用できる点です。また、小水力発電であれば、大規模な開発を伴わずに導入できます。
一方で、大規模なダム建設には環境負荷やコストが伴うこと、適した場所が限られることがデメリットです。小水力発電の導入にも、水利権との調整など一定のハードルがあります。
地熱発電のメリット・デメリット
地熱発電とは、地下の熱エネルギーを利用して蒸気を発生させ、タービンを回して発電する方法です。火山の多い日本では、純国産エネルギーとして注目されてきました。全国的にみると発電割合は少なめですが、東北や九州を中心に利用されています。
メリットは、天候に左右されず、昼夜問わず安定して発電できる点です。高温の蒸気は、発電に使った後に農業用ハウスや地域の暖房などに再利用できるのも特徴です。
一方で、開発できる場所が温泉地などに限られることや、地域との調整が必要になる点が課題です。
バイオマス発電のメリット・デメリット
バイオマス発電とは、木材や食品廃棄物、家畜の排せつ物などの生物由来の資源を燃やして発電する方法です。廃棄物の有効活用にもつながる再エネです。
メリットは、資源を再利用できる点と、比較的安定して発電できる点です。また、燃焼時に出るCO2は植物が成長過程で吸収されたものとされ、差し引きゼロ、つまりカーボンニュートラルとされています。
一方で、燃料の安定確保が必要なことや、燃焼に伴う環境負荷への配慮が求められます。
参照:
太陽光発電 再生可能エネルギー|資源エネルギー庁
風力 再生可能エネルギー|資源エネルギー庁
水力 再生可能エネルギー|資源エネルギー庁
地熱発電 再生可能エネルギー|資源エネルギー庁
バイオマス発電 再生可能エネルギー|資源エネルギー庁
電気代との関係は?FIT制度と再エネ賦課金

電気料金の明細を見ると、「再エネ賦課金(ふかきん)」という項目に気づくかもしれません。毎月の電気代に含まれているこの費用は、再エネ普及と深く関わっています。その背景にある仕組みが、FIT制度です。
FIT制度とは?
FIT制度とは、再エネで発電した電気を、電力会社が一定期間・一定価格で買い取る仕組みです。
発電した電気が決まった価格で売れるため、売電で得られる収入の目安をあらかじめ計算でき、太陽光パネルなどの設置費用を何年で回収できるかの予測を立てやすくなります。
もしこの制度がなければ、売電価格が不安定になり収入の見通しが立ちにくく、設備投資のリスクが高まり、再エネの普及は今より進みにくくなると考えられます。
再エネ賦課金とは?
再エネ賦課金とは、FIT制度で買い取った電気の費用を、電気を使う人全体で分担する仕組みです。電気料金の明細にある項目を確認すると、毎月少しずつ支払っていることが分かります。
負担に感じることもありますが、再エネを広げるための支えでもあります。明細を確認してみると、電気と暮らしのつながりが見えてきます。
私たちの暮らしと再生エネルギー

再生可能エネルギーは、特別なものではなく、すでに私たちの暮らしの中に広がっています。日本全体の電源構成でも再エネの割合は増えており、2022年度は約21.9%※1です。
一般家庭でも、電力会社の再エネプランを選べば、契約を切り替えるだけで再エネ主体の電気を利用できます。設備を導入すれば太陽光発電が可能であり、初期費用を抑えたい場合は、事業者が設備を設置する「屋根貸し(0円ソーラー)」といった仕組みもあります。
一方で、電気は火力発電などと混ざって供給されるため、再エネプランでも実際の電源構成はさまざまです。電力会社が非化石証書を購入することで、火力由来の電気を含んでいても、制度上は再エネ100%として販売されるケースもあります。
非化石証書とは、CO2を排出しない電気の「環境価値」を証書として切り分けたもので、電力会社がこれを購入することで、再エネの価値を活用できる仕組みです。発電所の場所や条件に左右されず再エネ利用を広げられるため、普及を後押しする役割も担っています。
出典:
※1 エネルギーの今を知る10の質問 再エネ|資源エネルギー庁
参考:
「非化石証書」を利用して、自社のCO2削減に役立てる先進企業|資源エネルギー庁
ライター
曽我部倫子
東京都在住。1級子ども環境管理士と保育士の資格をもち、小さなお子さんや保護者を対象に、自然に直接触れる体験を提供している。
子ども × 環境教育の活動経歴は20年ほど。谷津田の保全に関わり、生きもの探しが大好き。また、Webライターとして環境問題やSDGs、GXなどをテーマに執筆している。三姉妹の母。