世界でひろがる脱プラスチックストローの動き
世界中で、使い捨てプラスチック製品による環境汚染が問題となり、脱プラスチックの動きが進んでいます。なかでも飲食店を中心に推進されているのが、プラスチックストローの廃止です。
2019年、EUはプラスチック製のストローやカラトリーなどの市場流通を禁止。中国は2020年に、飲食店での使い捨てプラスチックストローの利用を全面的に禁じました。日本でも、2022年4月より「プラスチック資源循環促進法」が施行され、プラスチック製品の使用が見直されています。
また、身近な企業でも、プラスチックストローに代わるストローが登場。スターバックスは2020年末まで、マクドナルドは2025年までに、使い捨てプラスチックストローを世界中の店舗で廃止すると発表しました。代わりに紙ストローの導入が進んでいます。
「最近、プラスチック製のストローを見なくなった」と感じる方も多いのではないでしょうか。
出典:環境省「特定プラスチック使用製品の使用の合理化」
植物由来のストローが注目されている理由
植物由来の素材をつかったストローが使われはじめたのは、環境に負荷をかけないためです。もともと自然から生まれた素材のため、廃棄されても土に還りやすいのが特徴。堆肥や家畜の飼料にもなるストローがありますよ。
一方、プラスチックストローは自然界に流出して残りつづけ、環境汚染につながっています。流出しやすい原因は、細長い形状のためです。ごみ処理の際にごみ袋からすり抜けたり、突き破って落ちたりします。しかも軽量なので、雨や風で遠くまで運ばれやすいのも問題です。
プラスチックストローが適切に処理されないまま海まで流れつくと、マイクロプラスチックとなり、生態系を破壊します。2015年に公開された、ウミガメの鼻に刺さったストローを取り除く動画は、世界中に衝撃をあたえました。
また、プラスチックストローは分別が徹底されず、燃えるゴミとして処理され、リサイクルしにくいという難点も。このような背景から、自然に還る植物性のストローに注目が集まっているのです。
以下の記事では、マイクロプラスチックによる環境問題について紹介しているので、参考にしてみてくださいね。
「マイクロプラスチックによる環境問題!現状と今私たちができることとは?」
環境にやさしい植物由来のストロー6選
サステナブルな植物由来のストローの開発は、国内外で進んでおり、種類が豊富。自然な風合いでおしゃれなものもありますよ。環境にやさしい植物ストローを紹介します。
①米ストロー/食べられて堆肥化もできる!
お米からつくられた食べられるストローです。成分は70%お米、30%コーンスターチ。着色料は天然のものを使用しています。使い終えたあとは、庭や鉢植えの肥料としても利用できますよ。捨てるときに環境への影響を心配する必要がありませんね。
飲みものにひたすと1時間くらいでやわらかくなりますが、溶けることはありません。ほぼ無臭とされているので、紙ストローの臭いが気になる方にもおすすめです。
②草ストロー/社会貢献にもつながる!
ベトナムで栽培された、レピロニアと呼ばれる草の茎を利用してつくられたストローです。使用後は、家畜の飼料や農場の肥料として再利用できます。
ナチュラルな見た目だけでなく、自然でやさしい口当たりも魅力。高温・UV殺菌がおこなわれていて、衛生面にも配慮されています。水がしみこむとやわらかくなりますが、耐久性が増すのがよいところです。カフェを中心に全国100店舗以上で導入されています。
また、このHAYAMI草ストローは、開発途上国から適正な価格で購入されるフェアトレード製品です。現地の農村コミュニティの雇用創出にも役立っていますよ。環境に配慮できるのはもちろん、社会貢献にもつながるということです。
③さとうきびストロー/搾りかすをアップサイクル!
サトウキビの搾りかすからできた100%土に還るエコストローです。本来なら廃棄されるはずの搾りかすを、アップサイクルすることで生まれました。使用後には堆肥化が可能です。
原産国は台湾で、2020年に「台湾エクセレンス」という賞を受賞しています。台湾エクセレンスは、台湾貿易センターが優れた台湾ブランド製品に贈る賞。また、アメリカとドイツの認証機関より、自然界へと循環していく生分解性があるという認証も得ました。
硬い材質のため、長時間使用しても溶けず、プラスチックストローと同じ感覚で使えるとされています。熱い飲みものには使えませんが、落ち着いた色合いがジュースやカクテルに映えそうですね。
④竹ストロー/マイストローを持ち運ぼう!
持ち運べる竹製のストローです。バンブー製のケースと、洗浄用ブラシもセットになっています。あたたかみがある手触りが特徴。外出先でも洗えて衛生的に使えるので、マイストローを携帯したい方にぴったりです。
ケースは通気性が高く、洗浄ブラシはケースに収納可能。メンテナンスが簡単なだけでなく、竹自体にも抗菌作用があり、くり返し使用できます。
また、竹は成木になるまで3~5年程度と、一般の木材と比べると早く育つ素材です。竹ストローは計画的な竹林管理のもと、環境を壊さないように配慮されてつくられています。
⑤麦ストロー/自然な色合いがおしゃれ!
優良品質の麦の茎からつくられたストローです。高温の塩水で消毒したものを乾燥させて加工。麦100%なので、使用後はそのまま庭や畑にまけば土に還ります。
あたたかいものやアルコールなど、いろいろな飲みものに使用可能。自然由来のストローだからこそ、1本1本の形に個性があり、やわらかい色合いも楽しめます。もともとストローは、英語で麦わらのことです。原点に戻った素材を使用したストローですね。
⑥木のストロー/間伐材を含む国産材を活用!
森林の成長を促すために、間引きされる杉材を利用した国産ストローです。食器乾燥機でも洗えて便利。しっかり乾燥させれば、複数回使えます。
杉の香りは、リラックス効果があるとされているのが特徴です。メーカーが九州大学の研究グループと行った実験によると、杉ストローを使うと、空気中だけでなく液中にも香り成分が溶け込んでいるという結果になりました。
環境保全につながるのはもちろんのこと、杉のリラックス効果も期待できそうですね。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。