アウトドアシーンにも欠かせない価値観?持続可能な世界を目指すSDGsとは

日本へのフリーライド誘致は、白馬とスイスの偶然の重なりからはじまった【FWT JAPAN SERIES 運営TOPインタビュー 】

日本へのフリーライド誘致は、白馬とスイスの偶然の重なりからはじまった【FWT JAPAN SERIES 運営TOPインタビュー 】

大会がスキー場経営の枠を広げるきっかけに

Freeride World Tour

―毎年大会を開催していくためには、スキー場の中の人たちとの関係も大切ですよね。

そうなんですが、最初はトラブルもありました。スキー場の中の人でいうと、パトロールの方がいます。

たとえば、通行制限されている場所を通らないと、スタートゲートに行けないスキー場があります。可能な限り安全対策はするんですけど、どうしても通行制限を避けて通れないところがある。

そこに入ってしまったところを偶然パトロールの方が発見して、クレームになったことがありました。本国のCEOが日本語で作った謝罪文を持って、謝罪に行ったこともあるんですよ。

―スキー場の中の人たちから理解を得たのには、なにかきっかけがあったのでしょうか?

FWT本部としても、「日本にはこれだけいい山があるのに、スキー場のパトロールの理解がないと非常にもったいない」という考えがありました。今後のFWTの発展にとっても、日本のスノー業界の発展にとっても、ボトルネックになる可能性があるからと。

そこで、八方尾根と五竜のパトロールの方々を、2年に分けて1週間ずつ、海外研修に行ってもらう機会をつくったんです。大会のファイナルを開催しているスイスのヴェルビエと、カナダのキッキングホース。その2つのスキー場でのパトロール研修です。

―海外の研修後、どのような変化があったのでしょう?

その研修をしてから、八方尾根の方に「やっと白馬のスキー場に外国人が来ている理由がわかった」といってもらえました。自分たちがいる場所のよさを再発見してもらえたんです。

それからはもう全然変わりましたね。今まで閉鎖していたエリアを安全管理しながら、次はどこのコースを開けられるか、そういう目線にパトロールの方がなってくれたので。

―スキー場にとっては大きな変化ですね。

そうですね。スキー場の経営の枠を広げる、大きなきっかけになったと思います。

たとえば、八方尾根に『おむすび』っていう斜面があります。今はフリーライディングゾーンとしてスキー場のWebサイトに載ってますが、昔はそこを滑ったら、リフト券を取りあげられてしまうような場所だったんです。

でも、今はちゃんと高度な専門性を持った方が雪崩コントロールをして、一般に解放しています。FWTがなかったら、ここは開けなかったといわれました。

ロケーションの選定基準とは?

Freeride World Tour

―日本での大会場所を決定するとき、本部の承諾が得られなかったケースはありましたか?

いいえ、ある程度、日本に関しては信頼してもらっています。本部に申請して否認されたことはありません。

―本部からの信頼が厚いのですね。

以前、日本でワールドツアーをやったことも実績になっています。日本の山がどのくらいのレベルか、スイス本部もわかってくれているので、話がスムーズですね。

―安比や舞子などでも開催されていますが、ロケーションの選定基準にはどのようなものがありますか?

ひとつは「山の斜面がFWT開催の基準を満たしているか」というところですね。もうひとつは、「山の斜面をリスクコントロールできる人が集められるか」という観点があります。とくにバックカントリーでやる場合は後者の方が必要です。

―コースを選定する基準もあるのでしょうね。

はい、開催地の基準をまとめた「FWT Approval」があります。高低差・斜度・起伏の割合など、細かく設定値があるんですよ。基準をクリアしているか、事前に写真を送るなどして、本部にも確認してもらいます。

目安ですけど、1*(ワンスター※大会レベルのこと)だったら、垂直標高差はだいたい100メートルくらいとか。4*(フォースター)だったら、300メートルは必須とかあります。

あとラインですね。標高差100メートルあっても、どこを滑っても同じ地形だと差がつきません。最低でも3つくらい、違うラインを選べるような斜面である必要があります。

―エントリーポイントも決めなくてはいけませんね。

エントリーポイントもいろいろあって、今回のアライのように3つに分けるケースもあります。ピラミッド型の斜面だったら、エントリーポイントは1か所しか確保できません。大会によってこの点が変わります。

たとえエントリーポイントが1か所しかなくても、違う感じのラインを選手が選べることが必要です。左・真ん中・右みたいな感じで。

また、斜度が50~30度以上の急斜面は、必ずないといけない。加えて、ジャッジエリアからコースがしっかり見えるか、その場所の確保ができるかも大切です。

コースを選定する基準には、さまざまな条件があります。

大会運営の難しさと課題

Freeride World Tour

―これまでの大会運営で、苦労したのはどのようなところですか?

立ち上げ当時は、やはりスキー場の内外の方々にイベントを理解してもらい、協力してもらうことが一番難しかったですね。

たとえば、すでに山でお仕事をされているパトロールの方や、スキー場の方、ガイドの方などからの理解と協力が必要でした。

―大会は天候にも左右されるのではないでしょうか?

そうですね、天候にも大きく左右されます。2018年の白馬の大会は悪天候で、9日間待ったんですけど、結局できなくて。

結果、カナダで白馬のイベントをやることになったんです。「Freeride World Tour Hakuba staged in Kicking Hours」という名称になりました。

天候の影響が大きいため、明確なスケジュールは直前まで決められません。山に物を上げるとか、撮影とか、事前に決めても結構直前に変わることがあります。そういうところが、すごく難しいです。

―多くの方々が関わる大会だけに、大変ですね。

はい。現在では関わっていただく方が増えてきたので、次のステージとして長期的に継続するための仕組みづくりを考えています。運営上の体制づくりや予算の管理など、それぞれがうまく循環しないといけないので、課題とハードルがあります。

―大会を運営する資金面はいかがでしょうか?

なかなか大きな利益を生むタイプのイベントではないので、かなり難しいですが、一緒に大会を作っていく意識でサポートしてくれるスポンサー企業さんにはかなり支えられています。大会をいかに意義のあることとして位置づけるか、開催する意味をもっと明確にしなくてはいけないと思っています。

多くの人が関わる大会運営

―どれくらいの方々が大会の運営に関わるのでしょうか?

大会グレードによって全然違いますね。規模が大きい白馬開催だと、みんなが想像してるより運営人数が多くて、毎回びっくりされます。

―どれくらいの人数体制で運営されるのか、具体的に教えていただけますか?

舞子やアライリゾートの場合は、スキー場内での開催なので、スキー場スタッフの方が広範囲に協力してくれます。運営事務局は最小人数で動くときもあります。

とはいえ、最少でもジャッジは基本的にスキー3人、スノーボード3人。運営事務局としては僕と浅川、セキュリティはパトロールかガイドがいます。合計5~10人くらいはいるような感じです。

ほかにもスポンサーの方、PRやSNS担当、オフィシャルカメラマン、ボランティアマネジメントなどを含めると、合計で30~40人くらいにはなってくると思います。ボランティアの方も結構毎年きてくれて、大変助かっています。

―現在、ボランティアは公に募集されているのでしょうか?

今年、初めて事務局で募集をしました。白馬の大会は、昔から白馬村観光局で募集してくれていました。

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