2021年開催の東京オリンピックに続き、2024年パリオリンピックでスケートボード競技・男子ストリートの金メダリストに輝いたことが記憶に新しい堀米雄斗選手。2025年3月レッドブルアスリートに就任し、早速公開されたホヤホヤのビデオとともに、現在の活動や次の大会に向けての意気込みなど語ったインビューをお届けします。

SOTYをアジア人初受賞することが目標

ーレッドブルと契約する決め手となった理由を教えてください。

ずっとスケボーをしてきて色々な夢や目標を叶えてきました。また次の夢や目標に向けて新しいステップに向かうためにレッドブルと契約することで、今まで自分ができなかったこと、さらに上のことに挑戦するために一緒に高め合っていけるのでは、と思ったからです。

ースケートボードはシーン自体のレベルが年々高まってきています。今後、どれくらいのレベルになると想像していますか?

堀米インタビュー

©︎Nobuo Iseki / Red Bull Content Pool

パリオリンピックからさらに2、3倍レベルが上がり、トリックもそれなりに変わっていくと思います。簡単にいうと僕が最後に決めたベストトリックの技を、45秒のラインに入れていきながら、その中でももっと難しい技を入れていかないといけない感じにはなってくるかな。

常に自分も若い人たちと滑ってモチベーションを上げて、自分を成長させられる可能性がある限り挑戦していきたいです。

ーコンテストと同じくらい重要なのがストリートでの活動。多くのファンが待ち望んでいるのが、Skater of the Year(SOTY)をアジア人初受賞するという快挙ですが、この挑戦に向けて自分に必要なことは何だと思いますか?

堀米インタビュー

©︎Jason Halayko / Red Bull Content Pool

SOTYは自分が獲れていないタイトルのひとつでもあるし、アジア人がまだ獲っていないという意味でも、自分にとって特別な存在です。大会の結果も関係しないし、ストリートカルチャーに貢献していたり、ストリートを攻めていて…言葉では表せられない難しさがある。

もちろんこの賞を獲りたいですが、賞に囚われすぎるというよりは、自分が納得できるものを映像に残していって、それがもし結果として表彰されてSOTYを獲れたらいいなと思っています。

ストリートも大会も大好きだし、どちらもつながっている

ー同じスケートボードにもかかわらず、水と油の様相を見せる「コンテストスケート」と「ストリートスケート」ですが、堀米さんはそのどちらでも高いレベルにいる数少ないスケーターの一人です。現在のスケートシーンが抱える大きなテーマでもあるこのトピックについて堀米さんはどのように考えていますか?

堀米インタビュー

©︎Nobuo Iseki / Red Bull Content Pool

コンテストシーンとストリートシーンは、普通の人から見るとまったく別物に見えているかもしれませんが、僕はあまりそういうふうには捉えていなくて。

僕は小さな公園からストリートを始めて、そこから練習していって大会が見えてきたりとか。ストリートの延長線上に大会があると自分は思っています。まるっきり別物というよりはストリートで経験したことや培ってきた技・経験を大会に落とし込んでいったりする。

いろんな表現の仕方があるので、みんな見せ方が違うしスケートボード自体が自由なものだから。両方とも大好きだしストリートでのいい部分やカルチャーがあり、大会もいいシーンがあるので、オリンピックとかいろんな大会も含めて新しい可能性があると思っています。

ー自分が今まで培ってきたスケートボードをどう表現するかという選択肢にストリートや大会があるということですね。映像作品として、レッドブルでこういうビデオが撮りたいというような構想はありますか?

堀米インタビュー

©︎Jason Halayko / Red Bull Content Pool

いろいろとアイデアはあります。日本全国でいろんな場所で映像を撮影して、日本だけの映像を作ったりとか、海外に行ってそれぞれの場所の背景だったりスポットのいい部分があるので、そういう見せたいものをレッドブルと一緒に作っていきたいですね。

ーー映像を撮ってみたい場所や国はありますか?

今はアメリカに住んでいるんですが、行く機会が少なかったりするNYの有名スポットを攻めたいとは思っています。あとパリとかも行くことは多いけど、街中で滑った映像を残す時間があまりなかった。一回だけ滑った時に楽しかったのでまた行けたら撮りたいなと思っています。

ーレッドブル・アスリートには、SOTYを2回獲っているJamie Foyをはじめ錚々たるメンツが集まっていると思いますが、プライベートで親交のあるスケーターはいますか?

大会ではJamieとかレッドブルのスケーターとはよく会うんですが、一緒に撮影に行ったりすることはなかったですね。Nikeでトリップに行ったり、Aprilのチームと行ったり、日本では自分の子どもの頃の仲間と滑ることが多くて、そこで映像を作ることが多かったですね。

せっかくレッドブルにいろんなスケーターがいるし、Jamieにもすごく刺激もインスピレーションももらっているので一緒に滑りたいですね。Jamieはレールの天才。僕もレールは得意な方ですけど、キンクのレールや大きいレール、長いレールは苦手なので、一緒にセッションしたいですね。

スケートボードと密接に関係するストリートカルチャーとの関わりは?

堀米インタビュー

©︎Nobuo Iseki / Red Bull Content Pool

ースケートボードはストリートカルチャーの側面もあります。今注目している人やブランド、ショップはありますか?

注目しているスケーターは、地元の友達や、自分でスケートボードの会社もやっているのでそこに入ってくれているみんなにも注目しています。今まで自分が受けてきたぶん、若い人たちに今自分ができるサポートをして、一緒に成長していきたいと思っています。

ー今アスリートマネジメント会社を経営されていますね。ご自身も若いのにさらに若い世代を育てようとしているのが素晴らしいと思います。所属アスリートの選抜基準は?

常にスケートのビデオを見たり、今だったらインスタとかいろんな若いスケーターが映像をアップしているので、その映像をチェックして、気になったスケーターがいたら連絡してみたりしています。あとは、ビジネスパートナーが見つけてくれたり、仲間が「こいつやばくなりそう」というような話を聞きながら、選んでいます。

ーーそこが大きくなればシーンも大きくなるので、そういったことを考えるのは楽しいですか?

若いスケーターを支えていくというのもまた新しい楽しさがあります。自分が今までスケートボードでいろいろなことを経験させてもらい、いいこともあまりうまくいかなかったこともたくさんあったので。

そういった経験をもとに次の若い人たちに、ミスができる限り少ないような状況を作ってあげたり、その人に合った良いアドバイスをして、それぞれがもっと活躍しやすい環境を作りたいと思って始めた会社です。

ファッションや音楽もこだわってこその作品づくり

―いろんな方と交友関係が深いと思いますが、VERDYさんやFragmentのヒロシさんの服とか着用されたり、野村訓市さん、TrashTalkのLeeなどファッションや音楽シーンとの交流も深そうですよね。他のジャンルの人から刺激を受けることはありますか?

©︎Nobuo Iseki / Red Bull Content Pool

僕はもともと、10数年前くらい前まではファッションとかも気にせずにただただスケートに夢中だったんですが、アメリカでルームメイトを始めたDashawnとかが何かと洋服にも気を遣っていたりするのを見てかっこいいなと思うようになって。

それが最初にファッションに興味をもったきっかけです。そこから日本でVERDYさんとか訓市さんに出会う機会があり、彼らに「自分もこういうのをやってみたいんですけど、どうですか」というような話をして、スケーター目線ではない話や意見を聞けるのがすごく刺激になっています。これからもいろいろと相談に乗ってもらえたらうれしいです。

―Nike SBのパートでは、ハウスだったりラッパーのBig Lとかの曲が使われていてかっこよかったのですが、堀米さんは普段どういう音楽を聴かれますか?パートで使う音楽はどういう基準で選んでいますか?

音楽は、気になったものは全部聴きます。友達のパーティーとかスケートのアフターパーティーで流れている曲で好きな曲があったら、友達に聞いて音楽のリストをもらったりします。あとは自分ではHIP HOPを聴くことが多い。J-POPも聴きます。

スケートのパートの音楽は、Nikeのパートは僕とフィルマーのBradenで一緒に話し合いながら作っていった作品。ハウスの音楽は二人で見つけた音楽で、自分の中でこう言う感じの音楽がいいというのを探していて、最後にBradenがぴったりな曲を見つけてくれた。Big Lもこういうアーティストがいいんじゃないかというのを話し合ってこの音楽に決めました。

ー技術がかっこいいだけじゃなくて、ファッションや使っている音楽がかっこいいとスケーターがリスペクトされると思いますか?

こだわりたいパートであれば自分で考えるべきだと思うし、今回はこういう雰囲気だからこういう感じの作品にしようという姿勢があると、作品に対する愛も深まって、よりよい作品ができるのだと思います。

堀米雄斗

堀米インタビュー

父親の影響で6歳のときにスケートボードを始めた堀米雄斗(ほりごめ・ゆうと)。

小学生の頃からめきめきと頭角を表した雄斗は、2017年になる18歳の時、世界最高峰のスケートコンテストのひとつである『Street League Skateboading(以下SLS)』で表彰台に立ち、『DEW TOUR』では優勝という快挙を遂げ、その名を世界に轟かせ始める。

2018年には、『SLS』のロンドン、ロサンゼルス、ハンティントンビーチの3大会で優勝。2019年には『SLS』での優勝に加え、『X Games』でもゴールドメダルを獲得し、スケートボード・ストリート競技において実力と実績で確かな存在感を示した。

その後もさまざまな国際大会で首位を独占し、飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進を続ける。そんな彼の名が一気にお茶の間に広がったのが、ご存じのとおり2021年の『Tokyo Olympics』だ。同大会での活躍により、スケートボード界のスター選手から国民的ヒーローへと位置づけられた。(レッドブル公式HPより一部抜粋)

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Greenfield編集部

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自然と向き合い、環境に配慮しながらアウトドアスポーツを楽しむ人に向け、自分や周囲のウェルビーイングの向上につながる情報をお届けします。