数々の映像作品を世に送り出してきたDAIGOさん。自然が舞台の撮影は一筋縄とはいかず、豊富な経験が必要です。今回は、DAIGOさんがプロとして雪山撮影で気を付けていることや、映像クリエイター・ラジオDJ・MCとしてのビジョンについて、お話をうかがいました。
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雪山での経験が撮影の腕を上げてくれた
ー今、映像は誰でも手軽に撮れる時代になり、SNSで発信している人も数多くいます。イマイチ撮り方がわからない人もいると思いますが、過酷な雪山の撮影でプロとして気を付けているのはどんなことでしょうか。
「白飛び」させないことです。
ー白飛びした映像というのは、どのようになってしまうのでしょうか。
雪がベタっとした感じになり、凹凸がなくなってしまいます。シュプールも見えないことが多いですね。なので、あえてちょっと暗めに撮影して、編集でギリギリまで露出を上げて調整しています。
ー撮影現場の状況を判断してベストな設定を選択すると思いますが、それは経験を重ねなければわからない部分ですよね。
たとえば逆光で撮るなら、シルエットメインでいくのか、被写体が見えるように設定するのか、その場のインスピレーションで決めます。どちらがカッコイイかで判断するんです。
ー見る人に感動を与える映像を残すためには、たくさん映像を見て、たくさん撮って、試行錯誤を繰り返すしか近道はないですね。
経験や知識の量は、選択肢の数に現れます。撮影したい斜面があったとして、経験がないと選択肢はひとつ。経験を重ねれば複数イメージが湧くようになる。たとえたったひとつの選択肢が偶然ハマってよい画が撮れたとしても、あとで見返すと似たような感じの画ばかりになることが多いんですよね。
被写体深度、色の設定、あえてスローにするのかなど、パターンは無限大だけど、何をどう選択するかで残る映像の質は大きく変わりますね。
ー最近では人とは違った映像を残そうと、スキー場管理区域外に安易に入っていく人が多いと聞きます。危険を犯してまですべきことではないですし、その辺は考え方を改める必要もありますよね。
僕も危険な経験はたくさんしています。突然足元がズボッと抜けて断層に落ちかけたりとか、アラスカに行ったときは周りがクレバスだらけだったとか。もちろん景色や斜面はすばらしいんだけど、冷静に考えると怖くなりますよ。一人でバックカントリーなんてありえないです。
人間として魅力のあるライダーと映像作品づくりがしたい!
ーさまざまな経験をされた今、今後の構想など、何かビジョンはあるのでしょうか。
今後は映像作品を作りたいですね。映像関連では、おかげさまで多方面から仕事をいただき、大好きなスキーにも携わることができているのですが、今は自分が撮りたいライダーと一緒に作品を残したい気持ちが強いです。
ーすでにイメージは浮かんでいるのでしょうか。
まず第一に被写体、ライダーが大事。そのライダーと何を撮るかを相談して、一番状況がいい場所を舞台にしたいですね。それで、全体の映像内容のバランスを見て、必要があればでかい斜面を狙うかな。
ー撮りたいライダーなどはいらっしゃるのでしょうか。
たくさんいます。今声をかけているライダーの共通点は「人間としての魅力がある」「スキーやスノーボードが自身の好きなカルチャーと繋がっている」という人が多いです。たとえば、音楽・ファッション・車が好きで、スキー・スノーボードにもその要素が滲み出ているとか。
ぜひ僕のSNSをチェックしてみてください。独自のスタイルを持っているライダーがたくさん登場しています。
ー仕事としての映像についてはいかがでしょうか。
どんどん海外の仕事を増やしていきたいですね。今、日本を紹介するハワイのテレビ番組に携わっていて、それが日本とやり方が違っておもしろいんです。やりとりが英語なのですが、意思疎通がスムーズにいかないところもやりがいがありますね。
北海道のよさ、冬のすばらしさを世界の人に発信していけるようなワールドワイドな仕事を増やしていきたいとも思っています。
ーMCとしての今後はどうでしょうか。
もしこのインタビューが2年前で、札幌オリンピックが決まっていたなら、「オリンピックでのMC」って答えてましたね。札幌オリンピックでMCができれば、もう辞めていいと思ってました。現状、札幌オリンピック実現は厳しい状況ではありますが、まだ諦めてはいませんよ(笑)。
ーDAIGOさんが作り上げる雰囲気を必要としている大会やイベントは、たくさんありそうですよね。
俺の発想力で盛り上げられるようなシーンがあれば、ぜひ頑張りたいですね。今やってみたいのは「Winter X Games」。やっぱりアクションスポーツが好きなので、あの大会に携わってみたい。
ーラジオDJはどうでしょうか。
スキルを磨ける場として、今後も大切にしていきたいですね。時間内におさめる、インタビュアーとしての力が自然と身に付きますからね。また、ゲストで来てくださる方とつながりをもてるのも、いろいろと幅を広げられるキッカケになるのでやりがいを感じますね。
ーもちろんスキーも続けていかれますよね。
スキーにずっと携わりたいし、滑っていたい。1番の理想は夏にガッチリ仕事で稼いで、冬はスキーだけするライフスタイルですね。
ーできそうじゃないですか?DAIGOさん。
こうしてフリーで仕事していると、「時間を自由に作れていいよね」って言われるのですが、とんでもない。最強のスキーヤーって、ちゃんと仕事で稼いで、シーズン滑走日数60日くらいを軽く超えちゃう人だと思っています。
自分の好きなスキー板を履いてウェアを着て、好きなスキー場で滑る。最高じゃないですか?それって。そんなスキー人でありたいです。
ライター
MORITAX
スキー専門誌にライター・編集者として在籍し、現場取材から選手スキー技術解説記事、ニューアイテム紹介まで幅広く担当。現在はライター・編集者として、スキーのみならずアウトドア関連の情報発信にも携わる。趣味はスキーヤーとキャンプで、スキー歴は30年以上。最近はカヌーでいろいろな湖に行くのが楽しみの一つ。