アウトドア愛好家から救命のプロまでが学ぶ『ウィルダネスファーストエイド』とは?

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アウトドア愛好家から救命のプロまでが学ぶ『ウィルダネスファーストエイド』とは?

「ウィルダネスファーストエイド」という言葉を聞いたことがありますか?日本語では「野外・災害救急法」といわれ、アウトドアフィールドで事故が起きて負傷者が出たときや、急病人が出たとき、医療体制へ引き継ぐまでに施す救急処置のことを指します。なかなか救助が来ない、周りに誰もいない、最低限のものしか無いという状況での処置は、一般的な応急手当の方法とは全く異なるものです。講習会は実際に野外で行われ、数日間かけてガッチリ学ぶことができます。アウトドアスポーツを愛する方、山岳ガイドを目指している方だけでなく、災害ボランティアの方も多く受講しているんですよ。そんな「ウィルダネスファーストエイド」とはどんなものなのか、詳しく紹介していきましょう。

ウィルダネスファーストエイドって何?

医療アクセスが過酷な環境や災害などの状況でも「いのちをつなぐ」救急法、それが「野外・災害救急法」です。カリキュラムはウィルダネス状況下(医療体系への引き継ぎや必要な処置を受けるまでに長時間を要する状況)で必要とされる評価と処置、また長時間に 及ぶ経過観察と看護、過酷な自然環境下での考え方などを体系的にまとめた内容です。座学を通じて頭で理論的に理解し、次いで実技を通じ体で覚える学習スタイルもその特徴の日本では新しい救急法です。
出典:ウィルダネスファーストエイドアソシエイツジャパン

「Wilderness」は直訳すると、「人の姿も気配もない場所・荒野」という意味。

人の気配がないような山中では、救助を要請してから傷病者が病院で医療処置を受けられるまで、かなりの時間を要してしまいます。

これを「ウィルダネス状況下」と呼びます。

アウトドアでは、天候の変化、落石、雪崩、滑落、洪水など様々なアクシデントに遭遇する可能性がありますよね。

たとえ低山のハイキングでも、のどかな里川の釣りでも、条件次第では「ウィルダネス状況下」に陥ってしまうことがあります。

また、「ウィルダネス状況下」はアウトドアだけでなく、日常でも起こりうることです。

首都圏で大雪が降れば道路が大渋滞し、救急車の到着が大幅に遅れます。

東日本大震災のときは、回線が混雑しすぎて何時間も電話が繋がらない状況でしたよね。

これもまた「ウィルダネス状況下」といえるでしょう。

ウィルダネスファーストエイド(以下WFA)とは、こうした状況で「いのちをつなぐ」救急法なんです。

WFAの発祥は、広大な森林・山岳地帯を有するカナダや北米です。

1980年代頃から、現地の登山ガイドやカヤックガイドなど、アウトドアのプロフェッショナル達によって指針が作られ普及していきました。

日本で本格的にWFAの講習が始まったのは2000年代に入ってからと、ごく最近のこと。

講習を実施している団体もまだまだ少ないのが現状です。

しかし、WFAはアウトドアフィールドのみならず、地震などの災害が起きたときも非常に役立つため、今後国内でもどんどん普及していくことでしょう。

 

 

 

一般的な応急手当との違い

WFAがアウトドアでの事故を想定していることに対し、一般的な応急手当は都市で起こることを想定していることが決定的に違う部分です。

一般的な応急手当では、救急車が到着するまでの数分〜数十分間の処置が主になります。

都市部では人手も物資も潤沢にあり、インフラも整っていますよね。

一方WFAはウィルダネス状況下ですから、救助が来るまでの時間は数時間または数日間に及ぶこともあります。

使用できる物資が限られているという点も大きな違いです。

またWFAでは、傷病人の応急手当の他に、現場からの退避計画など、状況を悪化させないためのリスクマネジメントも重点的に学びます。

出典:ウィルダネスファーストエイドアソシエイツジャパン

 

 

 

日本でのライセンス講習

日本でWFAの講習を実施している主な団体は、一般社団法人ウィルダネスメディカルアソシエイツジャパン(WMAJ) 、スリップストリームなどです。

講習は2〜5日間のコースに分かれています。

内容やカリキュラムは団体によって異なりますが、WFAでは実地訓練として実際に野外の事故現場を想定した訓練に重きを置いています。

血のりなどを使いリアリティを追求した訓練は、本当に起こっている訳ではないと分かっていても頭が真っ白になるそうです。

この「リアルさ」は、実際に事故が起きたとき冷静に判断できるようになるための大切な要素なんです。


各団体の主なコースをご紹介します。

一般社団法人ウィルダネスメディカルアソシエイツジャパン(WMAJ)

・WFAベーシックレベル(2日間)

最もベーシックなコース。アウトドア愛好家や災害ボランティアの方向け。

・WAFAアドバンスレベル(4日間)

仕事として災害現場に従事する方、よりしっかりとWFAを身につけたい方向け。

・WFRプロフェッショナルレベル(4日間)

WAFA資格保持者限定。ガイド、山岳救助に従事する方向け。民間人が取得できるWFA最高レベルの資格。

・WALS医師レベル(5日間)

国内で唯一の医療従事者を対象としたコース。野外でのALSが中心。

・WEMT救急救命士レベル(5日間)

救急救命士(医療従事者含む)を対象としたコース。

 

こちらも合わせてご覧ください。

一般社団法人ウィルダネスメディカルアソシエイツジャパン(WMAJ)

 

スリップストリーム

・基本の50時間コース(5日間)

ベーシックなコース。アウトドア愛好家、初めて受講する方向け。

・高度な90時間コース(9日間)

山岳ガイド、登山パーティーのリーダーなど、同行者のリスク管理を求められる方向け。

 

こちらも合わせてご覧ください。

スリップストリーム

 

講習費用などは団体、開催時期によって異なります。詳しくは各団体のホームページでご確認ください。

WMAJのホームページでは、リアルな訓練の様子も動画でご覧頂けますよ。

 

 

 

まとめ

何が起きるか分からないのがアウトドア。しかし、私たちはそのリスクを承知の上でフィールドへ足を踏み入れています。ウィルダネス状況下では、自分の身は自分で守らなければいけませんし、大切な人を救えるのも自分しかいないのです。いざという時のために、WFAの知識や技術を身に付けておけば、より一層アウトドアスポーツを楽しむことができるはず。まずはベーシックなコースから、チャレンジしてみませんか?

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