アウトドア研修の役割と効果
アウトドア研修とは、自然環境の中で行われる研修のことです。通常、チームビルディングやリーダーシップの向上・コミュニケーションスキルの強化・問題解決能力の開発などを目的として実施されます。
自然の中での研修は、社員が日常業務から離れてリフレッシュでき、ストレスを軽減します。また、集中力や創造性を高め、新しいアイデアや解決策が生まれやすくなる効果があります。
また、テントサイトの設営や焚き火での料理といった協働作業を行うことで、参加者は日常の仕事環境とは異なる状況に置かれ、新たな視点やスキルを学べます。
具体的には、以下のスキルの獲得が期待できるでしょう。
・チームワーク向上
・ストレス耐性の向上
・リーダーシップの発展
・問題解決能力の向上
・コミュニケーションスキルの向上
・自己効力感の向上
実際に、スノーピークが実施したアウトドア研修体験者への調査結果によると、体験前に比べて主体性は32ポイント・関係性は30ポイント・創造性は31ポイント上昇したようです。
そして、研修を通して社員のモチベーションが向上し、職場全体の生産性や雰囲気の改善にもつながります。
アウトドア研修による企業のメリット
アウトドア研修に参加することで、企業や組織は個々の社員のスキル向上だけでなく、全体的のな組織力の強化や業績向上にもつながる多くのメリットを享受できます。
チームビルディングと信頼関係の強化
アウトドア研修を通じて、社員同士が協力し合い、信頼関係を深めることで、職場でのチームワークが向上します。これにより、コミュニケーションが円滑になり、共同作業が効率的に行われるようになります。結果として、プロジェクトの進行がスムーズになり、生産性が向上します。
リーダーシップを発揮できる人材の育成・発掘
アウトドア研修では、社員がリーダーシップを発揮する場面が多くあります。これにより、潜在的なリーダーを発掘し、彼らのリーダーシップスキルを磨くことができます。企業は新しいリーダーを内部から育成できるため、外部からリーダーを採用するコストや時間を削減できます。
対応力や競争力の強化
アウトドア研修で即興的な問題解決が求められる状況は、社員の創造的思考や迅速な意思決定能力を養います。これにより、日常業務においても効率的かつ効果的に問題を解決できる社員が増えます。結果として、企業全体の対応力や競争力が強化されます。
コミュニケーションの促進
共同作業を通じて、社員は効果的なコミュニケーションスキルを学びます。これにより、職場での情報共有や意思疎通がスムーズになり、組織全体の効率が向上します。良好なコミュニケーションは、ミスや誤解を減少させ、業務の精度を高めます。
企業の革新や成長の促進
アウトドア研修を通じて自分の限界に挑戦し、成功体験を積むことで、社員の自信と自己効力感が高まります。自信を持った社員は、積極的に新しい挑戦に取り組むようになり、企業の革新や成長を促進します。
アウトドア研修は、社員個々のスキルや能力を高めるだけでなく、組織全体の活力を引き出し、企業の競争力を強化するための有効な手段です。これにより、企業は持続的な成長と成功を実現できます。
アウトドア事業「Nature Build」では、組織の課題に合わせ、自然との調和から生み出される個々の本来の感情や思考を活かしたプログラムを体験いただけます。 |
アウトドア研修を取り入れられる研修シーン
企業には様々な研修があります。その中でも、アウトドアで実施することでより効果を高めることのできる研修を紹介します。
新入社員研修
1つ目は新入社員研修です。アウトドアでの新入社員研修は、入社直後の新入社員同士が早期に親睦を深めるために非常に効果的です。自然環境の中で共に過ごすことで、緊張感が和らぎ、リラックスした状態で互いを理解し合うことができます。
テント設営やハイキングなどの共同作業を通じて、協力し合う姿勢やコミュニケーションスキルを養えます。
リーダーシップ研修(管理職研修)
2つ目はリーダーシップ研修です。管理職やリーダー候補者を対象としたこの研修では、自然の中での課題解決やグループワークを通じて、リーダーシップスキルを向上させることができます。困難な状況での判断力やチームをまとめる力を実践的に学ぶことができるため、日常の業務においてもその経験を生かすことができます。
チームビルディング研修
3つ目はチームビルディング研修です。既存のチームや新たに組織されたプロジェクトチームの結束力を高めるために、アウトドア研修は非常に有効です。
共同で行うキャンプ設営やアウトドアアクティビティを通じて、メンバー同士の信頼関係を築き、コミュニケーションを円滑にすることができます。これにより、職場での協力体制が強化され、生産性の向上にもつながります。
新入社員研修でキャンプを行うメリット
上記で説明したように、アウトドア研修は社内の様々な研修で活用できます。特に、新入社員に向けた研修には、自然環境の中でリラックスしながら互いの距離を縮めることのできるキャンプ研修が適しています。
新入社員研修においてキャンプを行う際の4つのメリットを説明します。
同期との距離が縮まる
キャンプでは、共に過ごす時間が長く、共同作業が多いです。研修期間中には、お互いを知り、信頼関係を築く機会が豊富にあります。研修でキャンプを行い、同期と距離を縮めておくことで、職場に戻ってからのコミュニケーションが円滑になります。
自己認識と成長を促進させられる
新入社員にとって、キャンプ研修は自己認識と成長を促進させる場でもあります。普段の仕事環境とは異なる状況で、自分の強みや弱みを発見し、自己改善のきっかけをつかむことができます。
また、他者からフィードバックを受け、自身の役割や貢献できる分野を客観的に把握することで、職場でのパフォーマンスを向上させられます。
企業文化を浸透させられる
キャンプ研修は、企業文化を新入社員に早期に浸透させるための効果的な手段です。自然環境の中で行われるアクティビティやディスカッションを通じて、企業の価値観やビジョンを新入社員に直接伝えられます。
また、企業のリーダーシップスタイルやコミュニケーションのあり方を実践的に学ぶ機会となります。
コミュニケーションの基礎を身につけられる
アウトドア研修では、社会人としてのコミュニケーションの基礎を身につけられます。キャンプを通じて、デジタルツールに頼らない直接の対話や共同作業を経験し、意見交換と意見の調整を学べます。
また、BBQなどの各アクティビティでは、役割分担が必要です。チームで自身が担う役割を果たしていくなかで、リーダーシップとフォロワーシップを実践的に学べるでしょう。
そして、どのアクティビティにおいてもチームでの合意形成のプロセスを体験することで、円滑な意思決定や問題解決能力を養い、チーム内で協力体制を築く力が身につきます。
実際の研修内容と活動例
以下では、実際に企業で行われているアウトドア研修の内容について紹介します。
「焚き火」を通じたコミュニケーションの促進
この研修では、チームが焚き火を囲みながら課題について話し合います。リラックスした雰囲気の中で自由に意見を交換し、より活発なコミュニケーションを促進します。
「BBQ」を活用した交流とチームビルディング
各参加者が食材の準備や調理の役割を分担することで、チーム内の連携と協調性を高め、役割意識を強化します。
また、同じテーブルを囲んで食事をすることで、互いについてより深く知ろうとするきっかけにもなります。普段職場で話さないようなプライベートの話などを通して、社員同士の結束がより強くなります。
「アイデアクリエイト」で創造的なアイデアを生み出すワークショップ
「アイデアクリエイト」では、1人1人が実現したいと考える目標や企画についてアイデアを交換し合い、実際に行動に移すにはどのようなことをすべきかを話し合います。
互いのやりたいことを把握し、アイデアを共有することで、実現したいことを実行するためにフォローし合える関係を構築できます。
「ナビゲーションチャレンジ」を通じて方向感覚と協力を養う
地図とコンパスを使って、指定されたチェックポイントを順番に通過し、ゴールを目指すアクティビティです。スマートフォンを使わず地図とコンパスを頼りに目的地までたどり着くには、メンバー同士の協力が不可欠です。
この活動は、自然を楽しみながら方向感覚を養い、チームワークを強化する絶好の機会となります。社員の問題解決能力やストレス耐性を高め、リーダーシップを育成する効果もあります。
「テント設営ワーク」による協働とコミュニケーションスキルの強化
チームで1つのテントを立てることで、チームでの一体感や結束感を強められます。また、ワーク内でのコミュニケーションを通して、チーム内でお互いの性格や得意なことなどを理解し合えるようになります。
成功事例に学ぶアウトドア研修の効果
具体的な成功事例とともに、アウトドア研修の効果を紹介します。
社会人基礎力を身につけ、同期との絆を深めた新人登山研修
1つ目の事例は、信濃毎日新聞社による「信州アウトドア研修」の導入事例です。高沢産業と長野都市ガスの新人6名が、長野市飯綱高原での登山研修に参加しました。
研修内容(一部抜粋):ASE研修・チームクッキング・焚き火を囲んで「セルフストーリー」・登山
研修の最初に、経済産業省が示す「社会人基礎力」の12項目のうちから自分が身につけたいものを2つ選び、それらを個人個人が研修中の目標に掲げました。
研修を通して自分の強みや弱み・チームでの役割を理解し、仕事にどう活かすかを考えるきっかけになりました。また、2日間の研修を通して同期のことを深く知り、これから一緒に仕事をすることになる仲間として切磋琢磨し合う関係性の基礎を築くことができました。
このように、アウトドア研修には自然環境の中で、チームで困難な状況を打開するプログラムが含まれているため、知り合って間もない新入社員同士が仲を深めたり、計画性や主体性といった社会人に必要なスキルを身につけたりするのに適しています。
代表と想いを浸透させ、役職間で壁の無いコミュニケーションを取るための1泊2日研修
2つ目の事例は、NATUREBUILDが人材会社の「株式会社スキルコネクト」に向けて実施した研修です。2日間にわたって行われた研修を通して、以下の課題が解決され、経営層も含めた社員同士の結びつきが強くなりました。
- 経営理念と方向性の不明確さ
- 個別目標重視型の組織体制
- 役職間でのコミュニケーションの壁
ヒアリングでは7Sモデルを用いて上記の組織課題を抽出し、課題解決に向けた研修内容を構想しました。
研修内容(一部抜粋):キャンプ設営・エンゲージメントカード・キャンプヨガ・代表→社員への想い共有・プラウド&ソーリー・火起こし競争・焚き火&キャンプ飯
アクティビティや座学での対話を通して、代表と13名の社員が想いを共有し、互いの目標に対してフォローし合う関係性へと変化しました。
アウトドア事業「Nature Build」では、組織の課題に合わせ、自然との調和から生み出される個々の本来の感情や思考を活かしたプログラムを体験いただけます。 |
アウトドア研修の効果的な計画と実施方法
アウトドア研修を成功させるためには、綿密な計画が重要です。研修導入までの基本的な流れは以下の通りです。
研修会社の選定 → 打ち合わせ → ヒアリング → コンテンツ設計 → 契約 → 研修実施 → 研修後フォロー
打ち合わせの前に大まかな方向性を決めておく必要があります。最初に、研修の目的を明確に設定し、達成すべき具体的な成果を定めましょう。
次に、目標や目的を達成できる研修内容について検討します。この段階では大まかな内容で十分で、具体的な内容は研修を提供する企業との打ち合わせやヒアリングの場で調整するとよいでしょう。
研修場所は、参加者の安全と活動の性質に合わせて慎重に選定します。地形や気象条件の詳細な調査を行い、必要な設備が整ったアクセスしやすい場所を選びます。
他にも予算や日時などを設定し、条件に合う企業に委託します。その後は企業からのヒアリングや研修内容の提案を受け、研修の実施まで行います。
また、リスク管理をすることは研修を成功させる上で必要不可欠です。事前にリスクアセスメントを行い、緊急時の対応策や安全対策を準備することで、研修中の事故やトラブルを最小限に抑えることができます。安全対策に関してもしっかりとしたサポートがある企業を選ぶことが重要です。
アウトドア研修を実施している企業の選び方
アウトドア研修の効果を最大限発揮させるためには、企業研修を専門に行っている企業に計画や実行を依頼するとよいでしょう。依頼すべき会社の選び方を3つご紹介します。
研修内容
企業が提供する研修内容については、以下の3つを重点的に確認するとよいでしょう。
- 研修プログラムの多様性
- 研修プログラムの柔軟性(カスタマイズの可否)
- フィードバック・フォローアップの質
まず、企業が提供する研修プログラムが自社の研修目的や目標に合致しているか確認します。
例えば、リーダーシップ育成・チームビルディング・コミュニケーション能力の向上など、求める効果に応じたプログラムが用意されているかをチェックします。プログラムが充実していると、参加者となる社員の異なる課題・ニーズに合ったスキルを身につけられる研修を計画しやすくなります。
企業ごとに異なるニーズに対応するため、研修プログラムがどの程度カスタマイズ可能かも重要な要素です。自社の目標・課題・参加人数・日程などに合わせたオーダーメイドの研修が提供できる企業を選ぶことで研修の効果を最大限まで引き上げられるでしょう。
また、研修後のフィードバックやフォローアップ体制が整っているかどうかも併せて確認が必要です。ここでは、研修の効果を持続させるために、参加者へのフィードバックや継続的なサポートが提供されるかがポイントです。
講師
研修においては、研修を実施する講師やファシリテーターの経験と専門知識が非常に重要です。講師のプロフィールや実績を確認したり、研修前に実際に会う機会を作ったりすることで、研修内容に精通し、効果的な指導ができるかどうかを確かめましょう。
実績
依頼しようとしている企業の実績や過去の研修事例を調べましょう。特に、同業種や同規模の企業・自社と同じ課題を抱えている企業での成功事例があるかどうかを確認すると、研修効果の期待値をより具体的に判断できます。
アウトドア研修の効果は、研修会社によって左右されるといっても過言ではありません。以上のポイントなどを参考にしながら、企業に最適な研修プログラムを提供する会社を選びましょう。
CSRをアウトドア研修に組み込むメリット
アウトドア研修の中には、地域社会とのつながりを創出する活動や、環境に配慮した活動があります。こうした活動を研修として行うことで、企業は地域社会や環境に対してポジティブな影響を与えられます。そのため、アウトドア研修にCSRの視点を取り入れることは大きなメリットがあると言えるでしょう。
また、社員がアウトドア研修でCSRを意識した活動を行えば、環境保護への意識が向上するだけでなく、健康面でのリフレッシュにもなります。社員の健康維持やモチベーションアップにつながり、定着率を維持することもできるでしょう。
CSRを組み込んだアウトドア研修の例には以下のものがあります。
- 植樹活動: アウトドア研修の一環として、地域の森林で植樹活動を行うことで、森林再生や環境保全に貢献できます。
- 清掃活動(ビーチクリーンなど): 海岸や河川などのゴミ拾いを行うことで、地域環境の美化に貢献することができます。
- 地域住民との交流イベント: 地域住民との交流イベントを開催することで、地域との繋がりを深められます。
研修内容を考える際は、以上を参考にしてください。
まとめ
アウトドア研修は、チームビルディングやリーダーシップの向上・コミュニケーションスキルの強化などを目的に自然環境で行う研修です。焚き火やBBQ・ナビゲーションチャレンジなどの活動を通じて、社員のスキル向上と組織全体の強化を図ります。
本記事で紹介した成功事例や実施方法を参考にアウトドア研修を取り入れ、企業の競争力を高め、持続的な成長を実現しましょう。
アウトドア事業「Nature Build」では、組織の課題に合わせ、自然との調和から生み出される個々の本来の感情や思考を活かしたプログラムを体験いただけます。 |
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。