フォレスター(森林総合監理士)とは
フォレスターは「森林総合監理士」が正式名称で、各地域の森林を守る仕事をする人のこと。2016年から国家資格がもうけられた、比較的新しい仕事です。
日本は国土の約7割が森林で覆われている森林大国。森林は飲料水の確保や土砂災害の防止などに役立つだけでなく、ものをつくるための資源としても、わたしたちの暮らしを支えています。国は森林の保全・管理のために、さまざまな施策をおこなってきました。
しかし、過去の施策が不十分だったため、森林整備や機械化の遅れなどが問題に。また、市町村によっては、国の森林への施策について、知識がある職員が不足しているという課題もありました。
そこで国は、森林の再生・産業化に力をいれた新たな取り組みを開始。それに伴い、各地域は森林計画の見直しや、独自のビジョンなども求められるようになりました。
こうした流れのなかで生まれたのが、フォレスター(森林総合監理士)という仕事です。仕事内容は詳しく後述しますが、フォレスターは計画的な森林の保全・管理のために必要とされていますよ。
フォレスター(森林総合監理士)の仕事の内容
フォレスターは専門知識を生かして、森林を保全し、活用する取り組みをおこないます。日々の仕事で連携するのは、市町村のさまざまな機関や、林業関係者などです。
具体的な仕事としては、国の施策を地域の人にわかりやすく説明し、合意を得ます。また、地域に応じた森林の保全・管理の方法を提案することも。ほかにも、森林認証に関する知識や技術について、研修を実施するなど多岐にわたります。
フォレスターは、中立的な立場で国と地域をつなぐ存在です。森林について将来を見据えた科学的な視点をもち、地域に必要な指導・支援をする役割を担っています。
出典:林野庁「森林総合監理士(フォレスター)」
フォレスター(森林総合監理士)になるには
フォレスターになるためには、まず登録しなくてはいけません。国家試験である「林業普及指導員資格試験」のなかの、「地域森林総合監理区分」に合格すると登録できますよ。試験を受けるには実務経験が必要なので、林業や森林に関連するキャリアが求められます。
一般的には、公務員として森林に関する実務を経験したのちに、試験を受ける人が多いようです。現在のところ、フォレスターの主な所属先は、都道府県の職員になっています。
とはいえ、フォレスターは必ずしも公務員である必要はありません。地域の経験豊富な民間の技術者なども、所属を問わず活躍していくことが期待されていますよ。
フォレスター(森林総合監理士)の資格試験について
フォレスターになるために必要な資格試験について説明します。具体的には、「林業普及指導員資格試験」のなかの、「地域森林総合監理区分」についてです。
試験の内容
筆記試験と口述試験があります。筆記試験は2日間の日程です。
【1日目】
森林の総合的で基本的な知識を要する試験です。フォレスターの役割・労働安全に関する内容などが問われます。
【2日目】
課題に対する解決力を試す内容がメインです。市町村における森林の整備計画や、森林の経営計画制度などに関して出題されます。
筆記試験に合格すると口述試験へ。口述試験は面接形式で、森林・林業での総合的な専門知識や、コミュニケーション能力、人柄などが問われます。
試験の概要
資格試験の概要について見てみましょう。
試験日
年に1回実施されます。受付期間は4月中旬〜5月下旬、試験日は7月下旬です。
試験場所
試験は以下の都道府県で実施されます。
筆記試験 | 北海道、岩手県、福島県、群馬県、東京都、愛知県、大阪府、岡山県、福岡県、熊本県 |
口述試験 | 東京都(地域森林総合監理区分の共通以外:北海道、岩手県、東京都、愛知県、岡山県、福岡県、熊本県) |
※場所の詳細は受験票に記載されます。
受験資格
前述のとおり、実務経験が必要とされます。学歴によって必要な実務経験が決まっているので、興味のある方は林野庁の公式サイトで確認してみてくださいね。
受験料
無料です。
合格基準
筆記試験に合格するためには、試験分野によりますが、6~8割程度の正答率が必要です。筆記試験の合格者は、口述試験で面接官により審査されます。
合格率
年 度 | 合格率 |
2019年度 | 22.6% |
2020年度 | 16.5% |
2021年度 | 12.8% |
試験結果は、口述試験が終了してから1か月以内に通知。合格者の氏名は、農林水産省の掲示板に公表されます。
出典:林野庁「受験案内」
試験対策
試験対策として活用できる過去問題の情報とテキストをご紹介します。
過去問題
林野庁のホームページに過去5年分の過去問題が掲載されています。興味がある方は参考にしてみてくださいね。
出典:林野庁「林業普及指導員資格試験情報」
テキスト
フォレスターの研修でつかわれているテキストが市販されています。森林・林業の将来に向けた情報がたくさん盛り込まれているので、その分野に興味がある方も活用できますよ。