ダイビングの必需品といえる日焼け止め。しかし、海洋汚染の原因となったり、サンゴの白化現象を促進させたりする、いくつかの成分が問題視されています。悪影響をあたえるとされる成分を購入前にチェックし、海に優しい日焼け止めを使いましょう。
海に悪影響をあたえる2つの成分には注意しよう
市販の日焼け止めに含まれる特定の成分が、サンゴの白化の一因であるといわれています。海外では、海に悪影響をあたえる成分を、すでに禁止している国があります。海へ悪影響をあたえるとされる成分をチェックしましょう。
①紫外線吸収剤
紫外線吸収剤は、日焼け止め成分のひとつです。紫外線を吸収することで、肌へのダメージを防ぎます。皮膚の上で化学反応を起こすため、ケミカルと呼ばれることもあります。
紫外線を防止する効果が高い一方で、肌への負担があるため、肌が敏感な人や体質によっては刺激となり得るでしょう。
紫外線吸収剤のなかでも、オキシベンゾン-3、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは、日本では化粧品成分として広く使われています。
紫外線吸収剤を使用していない商品の場合、ノンケミカル処方や紫外線吸収剤フリーなどと表記されているので、購入前に確認しましょう。表記がない場合は、日焼け止めの成分表に、該当する成分が含まれているかを確認してください。
紫外線吸収剤として用いられている成分は、おもに以下のとおりです。
オキシベンゾン | Oxybenzone |
オクチノキサート | Octinoxate |
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル | Ethylhexyl Methoxycinnamate |
オクトクリレン | Octocrylene |
エンザカメン | 4-methyl-benzylidene camphor |
日焼け止めに関する海外の事例を知りたい人は、以下の記事もあわせてチェックしてください。
サンゴの白化を食い止めろ!ついにハワイで日焼け止めが使用禁止に?
②防腐剤
紫外線吸収剤と同様に、化粧品などに添加されている防腐剤も、サンゴ礁や海洋生物への悪影響が指摘されている成分です。防腐剤の一種であるフェノキシエタノールは、水を含む商品に一般的に用いられています。
日焼け止めに含まれる防腐剤は、海に溶け込むことで、サンゴの成長に影響をおよぼすといわれています。
防腐剤として用いられている成分は、おもに以下のとおりです。
トリクロサン | Triclosan |
メチルパラベン | Methylparaben |
エチルパラベン | Ethylparaben |
ブチルパラベン | Butylparaben |
ベンジルパラベン | Benzylpalaben |
フェノキシエタノール | Phenoxyethanol |
ダイビングに適した海に優しい日焼け止めとは?
ダイビングにおすすめの、海に優しい日焼け止めを選ぶ際のポイントはおもに3つ。それぞれのポイントをチェックして、購入時の参考にしてください。
なお、ウェットスーツやラッシュガードなどを着用すれば、日焼け止めの使用を大幅に減らせるでしょう。
①紫外線散乱剤を使用しているタイプ
海への影響を考慮するなら、紫外線散乱剤を使用している日焼け止めを選ぶのがポイントです。代表的な成分として、酸化チタンや酸化亜鉛があげられます。紫外線吸収剤を使用していないため、ノンケミカルタイプと表示されていることがあるでしょう。
紫外線散乱剤を用いた日焼け止めは、皮膚の表面で紫外線を乱反射させることによって、肌への影響をおさえる仕組みです。
なかでも、粒子径が100nm以上の非ナノ粒子を用いた日焼け止めは、粒子径が100nm未満の粒子を含む日焼け止めよりも、海洋生物にあたえる負担が軽いといわれています。昔は白浮きすることがありましたが、白くなりにくいタイプも増えています。
②ビーチフレンドリーやオーガニック表示があるタイプ
海に優しい日焼け止めを選ぶ際は、オーガニック表示がある日焼け止めや、ビーチフレンドリー処方の日焼け止めを選ぶのが大切です。サンゴ礁や海洋の汚染に配慮されており、リーフフレンドリー・オーシャンフレンドリーなどと表示されているでしょう。
ハワイやフロリダといったアメリカの州や、パラオ、ヴァージン諸島など、一部の国や地域の規制にも対応しています。海外でダイビングを楽しむ機会がある人は、購入時の参考にしてください。
③塗りなおす回数が減らせるウォータープルーフタイプ
ウォータープルーフタイプの日焼け止めは、塗りなおす回数が減るため、海に優しいといえます。
また、ウォータープルーフタイプの日焼け止めでも、せっけんなどで簡単に落とせるものが販売されています。ダイビング後に日焼け止めを塗りなおしたり、落としたりする手間を省きたい人は、ウォータープルーフタイプの日焼け止めをチェックしましょう。
なお、タオルなどでしっかり水分をふきとって塗りなおすことで、十分な効果が得られます。
ダイビングにおすすめの日焼け止め3選!
ダイビングにおすすめの、海に優しい日焼け止めを紹介します。それぞれの商品の特徴を知り、ニーズに適したものを選んでください。
①サンゴに優しい日焼け止め/CORALILY
日焼け止めの使用に関する法に厳しい、ハワイとパラオでも使える日焼け止めです。ココナッツオイルやシアバターをはじめとする、天然の素材で作られています。保湿美容成分が60%以上と高く、強い日差しを浴びても肌が乾燥しにくいのが特徴です。
天然成分で作られているため、大人だけでなく、子どもの肌にも優しい処方といえます。また、紫外線を防ぐ数値がSPF50+と非常に高い点も魅力。ダイビングのあとは、せっけんとぬるま湯で簡単に落とせるのも、うれしいポイントです。
日本だけでなく、海外でもダイビングをする機会がある人は、見逃せない商品でしょう。
②TAEKO サンスクリーン (日焼け止め美容液)/TAEKO
紫外線吸収剤を使用していない、日本製の日焼け止め美容液です。サラッと伸びて肌なじみがよく、無香料なので、肌に優しい化粧下地としても使用できます。クレンジング剤を使わず、せっけんだけで簡単に落とせるのはうれしいポイントです。
日焼け止めとしてだけでなく、化粧下地としても普段から使用したい人にぴったりの商品でしょう。
③アリィー クロノビューティ ミルクUV EX/カネボウ化粧品
ビーチフレンドリー処方で、一部の国や地域の規制に配慮した設計の日焼け止めです。ミルクタイプで肌なじみがよく、塗りやすいのが魅力。さらに、汗・水・摩擦に強いウォータープルーフタイプなので、ダイビング中に落ちにくいでしょう。
ウォータープルーフでありながら、せっけんで簡単に落とせるのはうれしいポイントです。また、化粧下地として活用できます。さらに、チリ・ほこり・PM2.5・花粉など、微粒子の付着を防ぐ効果が期待できるでしょう。
無香料・無着色なので、日焼け止め特有の匂いが苦手な人や、肌が敏感な人におすすめしたい商品です。
日焼け止めの成分による海洋汚染が広く知られるようになり、海に優しいタイプの日焼け止めの種類が増えてきました。海外の一部の地域では、日焼け止めに使用する成分を厳しく制限しています。日本には、小笠原諸島や琉球列島などをはじめとする、サンゴ礁が数多くあります。海に優しいタイプの日焼け止めを選ぶことで、海洋環境の保全につながるでしょう。今年の夏は、海に優しい日焼け止めを、ぜひ選んでみてください。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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