冬・春は 夏のスキューバダイビング(以下、ダイビング)をより楽しむための準備期間として最適です。 観光客が少なく、インストラクターとマンツーマンに近い環境で学べる時期なので、この機会にぜひスキルアップにチャレンジしてみてください。

なぜ冬・春がスキルアップに最適なのか

ダイビング 冬 スキルアップ

夏も冬も変わらないんじゃないの?と思われがちですが、冬・春には充実したスキルアップ環境が揃っています。ポイントをみていきましょう。

オフシーズンだからこそ丁寧な練習ができる

国内ダイビングのオフシーズンはだいたい1〜3月。ダイビングショップ・サービス(以下、ショップ)によっては休業している場合もありますが、営業しているショップのほうが圧倒的に多いです。

そして夏に比べると利用者が格段に減るので、ショップのスタッフとしっかり話ができます。スケジュールの調整もよりスムーズになることがほとんど。より丁寧な案内や練習を受けられますよ。

室内プールで基本スキルを磨ける

とくに本土(沖縄以外の本邦領域)では、ダイビング専用の室内プールを完備しているショップが多くあり、海が荒れやすい冬でも、天候に左右されずにダイビングの練習をすることが可能です。

ダイビングプールは足のつく水深と、ストンと落ちた6m以深で構成されていて、波や風に影響されることなく、中性浮力や潜降を集中して練習することができます。また浅場での練習になるので、身体管理上での時間の制約がなく、インストラクターと何度も時間をかけて苦手なところを克服できることも大きな利点です。

プール講習と聞くと初心者向けのイメージですが、そんなことはありません。例えば筆者はダイビング用トランシーバーの送受信の練習や、サイドマウント(シリンダーを2本使用するダイビング)の練習でプールを使用していました。

ただプール練習だけに頼った練習はしないようにしましょう。風や波の影響がなく、水中ではどこまでもインストラクターが見える完璧な透視度環境なため、ストレスの度合いが本番とはまったく異なります。プールでしっかりとした基礎を身につけた後は、あまり期間を空けずに海でおさらいすることをおすすめします。

インストラクターの時間に余裕があり、細かいアドバイスがもらえる

夏のダイビングインストラクターはとにかく時間がありません。朝から晩までフル稼働。忙しそうで話しかけにくい、質問しにくいと感じたという利用者の意見をたくさん耳にしてきました。

逆に冬になると、時間も心の余裕も出てくるため、練習時間はもちろんログ付け(ダイビングの記録をとる)時間でもゆっくりとおさらいをし、今後のアドバイスなどもしっかりレクチャーしてくれます。

室内プールでできるスキルアップ講習

ダイビング 冬 スキルアップ

上述した室内でのプール講習ですが、どういったことができるかまとめてみました。

・基本フォームの見直し
・中性浮力のマスター
・エア管理の練習
・水中写真の撮影テクニック
・レスキュースキルの習得

浅瀬の練習なので何度も浮上して質問したり、挑戦したりできるところがうれしいポイント

水中写真?と疑問に思ったかもしれませんが、水中で浮遊するインストラクターをモデルにして、ダイバーをかっこよく撮る方法を勉強したり、カプセルトイのウミウシを使ってストロボ(フラッシュ)の当て方を練習したりと、いくら時間があっても足りないくらい楽しいですよ。筆者は、プールでの水中撮影の練習がけっこう好きです。

上記の項目にないことでも、練習したいスキルがあれば、スタッフへ相談してみてください。とくに時間に余裕のある冬・春だと引き受けてくれることが多いです。もちろんボートがないのにボートの練習や、ドリフトダイビング(流れに沿ったダイビング)などはできません。プール環境でできる内容を工夫して行いましょう。

ドライスーツへの第一歩

ダイビング 冬 スキルアップ

ドライスーツは、ウェットスーツよりも水中でバランスをとることが難しいスーツです。未経験者が突然チャレンジし、うまくいかずにドライスーツへ苦手意識を持ってしまうダイバーも少なくありません。

ドライスーツは初めての自転車と同じで、何度か練習してコツを掴みます。グループでの練習より、スタッフとマンツーマンに近い環境のほうが、ドライスーツに慣れやすいです。人が少なくなる冬や春は理想的な時期といえるでしょう。

ドライスーツの扱いに慣れると、ダイビングスキルが向上し、濡れずに済むため体力の消耗も抑えられます。頭部や顔を洗えばすぐに車に乗ることも可能。ダイビングがさらに快適になります。

筆者は昔、夏の沖縄か海外にしか行かない講習生に、ドライスーツでのダイビングを勧めたことがあります。その講習生はドライスーツの快適さにどっぷりハマり、その後沖縄どころか真冬の日本海で水中生物の撮影がメインになるほど、ダイビング環境が180度変わりました。

暖かい時期を待たずに、場所によっては日帰りでダイビングを楽しめるドライスーツ。ぜひチャレンジしてみてください。

春のダイビングで実践してみよう

ダイビング 冬 スキルアップ

陸では寒さが弱まる春。しかし水中はまだ冬の水温が残っており、外気温が水中へ反映されるのは2か月後ともいわれています。7月でも初旬はドライスーツのダイバーがちらほら見かけられるのも(九州以北)、春の冷たさがまだ残っているためです。

ただ水中は冷えていても外気温が暖かく、風も弱まってくるので体感温度は冬ほど低くなく、海へ出ることへの抵抗も和らいできます。

冬眠していた水中生物も徐々に活動し始め、水中撮影の練習にももってこいの季節です

4〜6月、九州以北地域はほとんどがドライスーツ。暑そうに感じますが、中のインナーで調整します。

どのように調整するかは、ドライスーツインナー記事をぜひ参考にしてください。

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もし冬にダイビング旅行の予定がないときは、ぜひダイビングのスキルアップに専念してみてください。スキルアップ以外にも、季節ごとで変わる海の表情を楽しめたり、通年ダイビングを楽しむダイバーと出会ったりと、人生経験値が上がりますよ。「スキルアップもしたいけど、やっぱりダイビング旅行に行きたいな」という人は、冬のおすすめダイビングスポット記事をぜひ参考にしてください。
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ライター

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マリンスポーツのジャンルを得意としたwebライター。海遊びの楽しみ方やコツを初心者にも伝わるよう日々執筆活動中。スキューバダイビング歴約20年、マリンスポーツ専門量販店にて約13年勤務。海とお酒と九州を愛する博多女です。