ダイバーのあなたへ。次なる海として、奄美大島はいかがでしょうか?「奄美」と聞くと、手つかずの自然や黒糖焼酎を思い浮かべるかもしれませんが、ダイビングのフィールドとしても、独自の魅力に溢れたトップクラスです。この記事では、奄美大島ダイビングの魅力、人気スポット、安心して潜れるダイビングショップ情報まで、奄美の海を遊び尽くすための情報を凝縮してお届けします。
奄美大島ダイビング、3つの魅力

まずは、奄美大島の海に夢中になる3つの理由から紹介します。
奄美ブルーと呼ばれる透明度抜群の海
奄美大島の海は、その美しさから「奄美ブルー」と呼ばれ、国内外のダイバーを魅了しています。島周辺を囲む豊かなサンゴ礁と黒潮の恩恵により、透視度は最大50mと、沖縄に匹敵する美しさです。
水深30mでも光が届くような神秘的な海で、鮮やかなサンゴ礁や群れをなす魚たちを目の当たりにする体験は、まさに“感動”の一言。特に、冬場は水温が下がる代わりにプランクトンが減り、より研ぎ澄まされた青の世界が広がります。
固有種・希少種との貴重な出会い
奄美大島は、九州と琉球列島の間に位置するため、両方の生態系が交じり合う非常にユニークな水中環境を持っています。
熱帯魚だけでなく、温帯系の魚も同時に見られるため、出会える生物の種類が非常に豊富。
さらに、ここでしか見られない固有種や、世界的にも希少な生物との出会いも、奄美ダイビングの醍醐味です。
アマミホシゾラフグ
2015年に世界の新種10種に選ばれた奄美大島の固有種。産卵期に作られる神秘的な「水中ミステリーサークル」は、テレビやSNSで一気に話題となり、今やダイバーにとって奄美大島のシンボルと言える存在です。
ウミガメ
沖縄や海外のイメージが強いウミガメですが、奄美大島でもウミガメを通年高確率で観察できます。5〜8月までウミガメの産卵時期のため、陸でウミガメを観察することも楽しみの一つ。観察はツアーに参加し、しっかりとルールを守りましょう。
ザトウクジラ
冬限定ですが、奄美大島ではザトウクジラに高確率で出会えます。ダイビング中に出会えることは少なく、専用ボートからの観察、もしくはシュノーケリングでのウォッチングが一般的です。
初心者から上級者まで楽しめるダイビング環境
奄美大島は、空港からアクセスが良い北部エリア、手つかずの自然が残る南部エリア、さらに東シナ海と太平洋側の海域があり、季節や天候によって潜る場所を柔軟に選べます。そのため、年間を通じて安定してダイビングを楽しめるのも魅力です。
穏やかな浅瀬のスポットから、上級者向けのドリフトダイビングポイント、水深40mを超えるホールなど多様なダイビングスポットが点在しています。
地元のダイビングショップは少人数制を採用しているところが多く、個々のスキルレベルに合わせた丁寧なガイドが受けられます。おすすめショップは記事後半をぜひ参考にしてください。
おすすめダイビングスポット紹介

数ある奄美大島のダイビングスポットの中から、訪れたら必ず潜ってほしい場所を厳選して3つ紹介します。
バベル(北部エリア)
「水中ミステリーサークル」を観察することができるバベル。水深30mで砂地という環境であり、何より産卵のために作られるミステリーサークルに悪影響を与えないため、中性浮力(水中でのバランス)スキルと、アドバンスド・オープンウォーター・ダイバー(AOW/PADI)以上のCカード(ライセンス)が必要になります。
なお、水中ミステリーサークルは春限定で事前予約制のため、余裕を持ったダイビング計画を立てましょう。
大仏サンゴ(北部)
ポイント名の通り、巨大な大仏サンゴが生息するポイントです。正式名は「コモンシコロサンゴ」。大きさは日本最大級と言われるだけあって圧巻です。
サンゴの周りにはキンギョハナダイやハナゴイなどカラフルな水中生物が乱舞しており、まさに南の島を象徴するような幻想的な景観が広がっています。
奄美ホール(南部)
地形好きには必ず訪れてほしい奄美ホール。最大水深40m、高い透明度とドンと落ちたドロップオフがワイド派ダイバーの心を鷲掴みにします。
外洋のポイントで大型回遊魚に遭遇する確率も高く、マクロ派ダイバーのアイドル、ピグミーシーホースの生息地でもあります。
他にもカスミチョウチョウウオやアケボノハゼなど、ワイドからマクロまで網羅したスポットです。
奄美ダイビングのベストシーズン

奄美大島は年間を通してダイビングを楽しめるのが大きな魅力です。ベストシーズンはあなたが「何を求めるか」によって変わってきます。
| 求めるもの | おすすめの時期 | 特徴とメリット |
| 透明度 | 11〜3月(冬場) | 透明度が飛躍的に向上する時期。 研ぎ澄まされた「奄美ブルー」を最も堪能できます。 |
| 水温の快適さ | 7〜10月 | 平均水温が最も高い時期、7,8月は3mmのウェットスーツでも快適に潜ることができます。 |
| 大物との出会い | 7〜9月 | 大型回遊魚やマッコウクジラに出会える絶好の時期です。なお、スポットは外洋のため中級者以上がのぞましいです。 |
| ミステリーサークル | 4〜6月 | ダイビングショップに事前予約が必要。観察は1日1回、チェックダイブ必須など条件があります。余裕を持った計画を立てましょう。 |
透明度が比較的高く、快適な水温も楽しめる9〜11月が、バランスの取れたゴールデンシーズンと言えます。
しかし、真冬の桁外れな透明度も捨てがたい魅力。ドライスーツでのダイビングに慣れているなら、冬の奄美ブルーを体験しない手はありません。
奄美のおすすめダイビングサービスとアクセス情報

奄美大島は少人数制で潜るダイビングショップが多く、サポート体制が万全です。
ダイビングショップ選びのポイント
奄美に限ったことではありませんが、ダイビングショップ選びは以下の点を確認するようにしましょう。
*送迎サービス:ホテルや空港への送迎があるか
*レンタル器材の充実:フードベストやボートコート、ドライスーツなどのレンタルがあるか
*ガイドの経験:固有種の出現情報や、海況に精通したガイドかどうか
北部エリアにはショップが多く、比較的移動もスムーズ。南部の手つかずの海(加計呂麻方面など)を楽しみたい場合は、南部を拠点とするショップを選びましょう。
おすすめのダイビングショップ
【北部】
ネイティブシー奄美
奄美でのダイビングが初めての方から上級者までアフターフォローが手厚いショップ。ショップ付近にはネイティブシー奄美の宿泊施設もあり、旅の快適度が高まります。ナイトロックス(EANx)※も対応しており、定員32名という奄美北部では最大のダイビングボートを所有しています。
※通常の空気より酸素濃度を高めたダイビング用の混合ガス
ネバーランド
奄美の固有種の紹介はもちろん、水中写真の撮り方や、のんびりとした奄美時間の提供にこだわったショップです。サンセットでのニシキテグリ産卵やウミガメダイビングなど、水中生物の観察にこだわりを持っています。無理をせずに潜りやすい場所でゆっくりと楽しむスタイルなので、カメラ派や初心者におすすめです。
【南部】
ゼログラビティ
徹底したバリアフリー施設で、障がい者と健全者が共にマリンアクティビティを楽しむことをモットーとしているショップです。宿泊施設、自社ボート、プールなど全てがバリアフリーで、スタッフのサポートも万全。自然豊かな南部エリアに位置しており、海はもちろん陸でも奄美大島の大自然を満喫することができます。
K-ingマーリン奄美
ダイビングガイド&漁師として約40年、まさしく奄美の海を知り尽くしたスタッフが案内をする少人数制のダイビングショップ。36か所ものダイビングスポットを熟知しているため、多少の風でも安全で快適なダイビングガイドを行ってくれます。ダイビングガイド歴と同じく40年間サンゴの保護活動にも精通。海や水中生物に優しいダイビングを知ることができます。
奄美大島へのアクセス
飛行機
| 空港 | 飛行時間 |
| 羽田・成田 | 約2.5時間 |
| 伊丹・関西国際 | 約2時間 |
| 福岡・鹿児島・沖縄 | 約1時間 |
フェリー
| 港 | 乗船時間 |
| 鹿児島 | 約11時間 |
| 那覇 | 約13時間 |
飛行機は1日1便がほとんどなため、便数の多い鹿児島空港経由でのアクセスが、時間を有効に使ったダイビングプランを立てられます。とにかくリーズナブルに行きたい人は、鹿児島経由のフェリー利用がおすすめです。
美しい奄美ブルーを守るためのダイバーの心得

奄美大島は2021年に世界自然遺産に登録され、世界的にも貴重な自然環境を有しています。美しい海を次世代に残すため、ダイバー一人ひとりの意識が欠かせません。奄美大島に限ってのことではないですが、以下のことを心がけましょう。
・サンゴや生物に触れない
・ゴミを持ち帰り、落とさない、見つけたら拾う
・日焼け止めは海に優しいタイプを使用する
・生物を追いかけすぎず、自然な姿を観察する
・環境に配慮したショップを選ぶ
小さな積み重ねが、奄美ブルーと大切な生態系を次世代まで引き継ぐ力になります。
ライター
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マリンスポーツのジャンルを得意としたwebライター。海遊びの楽しみ方やコツを初心者にも伝わるよう日々執筆活動中。スキューバダイビング歴約20年、マリンスポーツ専門量販店にて約13年勤務。海とお酒と九州を愛する博多女です。