一人でダイビングに参加する際、気になるのがバディの存在。見知らぬ相手との相性は潜ってみるまで分からず、「せっかくのスポットなのに集中できなかったらどうしよう」と不安になることはありませんか?実際、スキルに問題がなくても、バディとのちょっとしたズレでダイビングの満足度は大きく変わります。しかしその相性は“運”ではなく、スキルでコントロールできるもの。本記事では、バディと相性が悪いと感じたときに、自分で状況を整える具体的な方法を紹介します。
なぜバディの相性は悪く感じるのか

ダイビングは「バディシステム」が基本。安全を守るために素晴らしい仕組みですが、初対面と組む際はどうしても緊張や違和感が生まれるものです。
相性が悪いと感じる背景には、主に3つの「ズレ」が隠れています。
スキルのズレ
中性浮力の安定度やフィンキック、エア消費のスピードなど、基本的なスキルに差があると、互いに合わせる必要が出てきます。その負担が積み重なることで、ストレスや疲れを感じやすくなります。
ペース・楽しみ方のズレ
ゆっくり観察したい人と広く泳ぎたい人、写真を撮りたい人ととにかく進みたい人。ダイビングの楽しみ方は人それぞれですが、この方向性が違うと、小さなことでも違和感が積み重なっていきます。
コミュニケーションのズレ
合図を見てくれない、距離が遠い・近すぎる、反応が少ない。こうしたズレは不信感に直結し、「なんとなく不安」という感覚を生みます。
よくある“バディストレスあるある”

多くのダイバーが一度は経験する、具体的なストレス事例を見ていきましょう。筆者もこれまでに何度も経験してきました。
エア消費が全然違う
「自分はまだ120あるのに、バディはもう70…」。逆に「自分が早いせいで申し訳ない」と気負うケースもあります。残圧の差は、潜水時間の短縮や浮上のタイミングの制限につながるため、最も顕著にストレスを感じるポイントです。
先に行くor近すぎる
ガイドを追い越す勢いでどんどん先に行くバディは、ロスト(見失う)リスクを高めます。一方で、フィンが当たるほど近くにいるのも、自由な動きを制限され、お互いの視界を遮るためストレスになります。
写真撮りたいのに進んでしまう
被写体を見つけてライティングを調整していると、バディが遠くへ行っている…。これでは撮影に集中できません。逆に撮影に夢中になり過ぎて、周囲を全く見ないバディに不安を感じることもあります。
合図を見てくれない
残圧(残りの空気の量)確認や「ここに魚がいるよ」という合図を送っても、気づいてくれない。水中で唯一の意思疎通が無視されると、孤独感や「もし何かあっても助けてもらえないのでは」という不信感につながります。
潜る前にできる5分の技術

「相性は運」と思われがちですが、実はエントリー前の5分間のコミュニケーションで、その日のダイビングの7割が決まるといっても過言ではありません。
ハンドサインの確認
「残圧80」「写真撮るから30秒待って」「ゆっくり進もう」など、必要であろうサインを共有します。特に「OK」以外の返答(少し待って等)を確認しておくとスムーズです。
自分のプレイスタイルを「謙虚に」伝える
「このポイントはカメラをじっくり撮りたい」「少し耳抜きが遅いので、潜降時は待ってほしい」と先に宣言しましょう。弱みや要望を共有することで、相手も自分も希望を言い出しやすくなります。
相手の装備を観察する
相手の装備、特にオクトパスや残圧計の位置をチラリと確認しておきましょう。これだけで水中の安心感がガラリと変わります。
水中でストレスを減らす考え方

水中で「あ、この人と合わないな」と確信してしまったとき、無理に相手に合わせようとすると疲弊します。そんな時は、思考をスイッチしましょう。
期待しすぎない
「バディなんだから守ってくれるはず」「察してくれるはず」という期待を一度捨てます。相手も人間であり、必死に自分のダイビングをしているだけかもしれません。「今日はセルフダイビングに近い感覚で、自分の安全に収集しよう」と割り切ることで、心が軽くなります。
距離感は自分で調整する
相手が近すぎるなら自分が少し離れ、相手が速過ぎるなら無理に追わずガイドの視界に入る位置をキープします。バディとの距離(目安は2〜3秒で手が届く範囲)を守りつつ、自分が最も快適に泳げるポジションへ自ら動くことが重要です。
「この人はこういうタイプ」と理解する
「自分勝手な人だ」と感情的に捉えるのではなく、「この人は周りを見る余裕がないタイプなんだな」「魚に夢中になる情熱家なんだな」とラベルを貼って客観視してみましょう。分析対象として見ることで、イライラを抑えられますよ。
楽しめるかは、伝え方次第

ダイビング後の一言で、次のダイビングの快適さは大きく変わります。
大切なのは「指摘」ではなく「共有」です。
例えば
「次のポイントは好きなマクロがいっぱいいるので、ゆっくりめでもいいですか?」
「残圧が気になるので、気持ち浅めに泳ぐかもです」
なぜそうしたいのか、という理由が入っていると、相手を責めるような言い方になりづらいのでおすすめです。
関係性は、スキルだけでなくコミュニケーションでも整えられるということを、頭の片隅に置いておいてください。
それでも無理なときの判断基準

どれだけ工夫しても、どうしても合わないケースもあります。
・安全面に不安を感じる
・ストレスで楽しめない
この場合は、無理に合わせる必要はありません。
ガイドに相談し、バディを変えてもらうことも選択肢のひとつです。水面休息中に、こっそりガイドへ「不安がある」と伝えてください。組み合わせを変えたり、ガイドがその人の近くを並走したりと、調整してくれます。
わがままではないかな?迷惑かけないかな?と不安になるかもしれませんが、スタッフ側としては、一期一会の海を心から楽しんでもらいたいもの。遠慮なく頼りましょう。
ライター
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マリンスポーツのジャンルを得意としたwebライター。海遊びの楽しみ方やコツを初心者にも伝わるよう日々執筆活動中。スキューバダイビング歴約20年、マリンスポーツ専門量販店にて約13年勤務。海とお酒と九州を愛する博多女です。