冬の野菜は春や夏野菜に比べて地味なイメージがありますが、暑さに弱い葉物野菜や根菜の葉など、寒い時季ならではのいきいきとした濃い緑と風味が楽しめます。そこで今回は、これまで捨てていた部位までまるごと活用して、おいしく食べるレシピを紹介します。
冬が旬の代表的な野菜たち
寒い時期の代表的な野菜として、だいこん・ねぎ・白菜・にんじん・ほうれん草・小松菜・ブロッコリーなどがありますが、最近どれも高い!ですね。白菜は前年比2.68倍、だいこんは2.04倍、にんじん・ほうれん草・ねぎも1.5倍以上になっています。(出典:農林水産省「統計情報」より1/17東京都中央卸売市場価格比較)
原因は、光熱費や肥料の高騰、前年夏から秋の高温、12月の低温などによるものといわれています。こんなときだからこそ、近隣で収穫された新鮮な野菜をなるべく安く買い、無駄なく残さず食べたいですね。季節の野菜を使い切る、地球にもおサイフにもやさしいレシピはいかがでしょうか?
ほうれん草
ほうれん草は寒さに強く、霜にあたると糖度が増しておいしくなります。しっかり洗えば根元まで食べられるのでまるごと楽しんでください。
ほうれん草にはシュウ酸が含まれ、アク抜きが必要です。シュウ酸は吸収されると腎臓でカルシウムと結合して尿路結石の原因になるといわれています。カリカリに焼いたベーコンに生のほうれん草をあえて、バルサミコ酢少々で香りづけするとたまらなくおいしいのですが・・・、最近は筆者も控えています。
長く茹でればシュウ酸は減少しますが、水溶性ビタミンや食味も落ちてしまいます。以下の方法は茹で方の目安ですが、参考にしてください。
- 根元に切り込みを入れてよく洗う
- 1.5Lの沸騰したお湯に小さじ1/2の塩を入れ、根元から3cm位のところを輪ゴムでとめて、茎の部分を20秒+全体を20秒茹でる
- 水をためたボウルに約30秒さらして冷ます
シュウ酸はカルシウムを含む食品と一緒に食べると吸収が抑制されるといわれています。お浸しにかつお節をかけるのは、風味づけだけではなく理にかなった調理法ですね。切干しだいこんを添えるとさらに効果がアップします。
小松菜
万能選手の小松菜も、冬には糖度が増しておいしくなります。小松菜のシュウ酸の量はごくわずかですので、アク抜きの必要はありません。いろいろな食べ方を試してみましょう。ほうれん草同様、根本に土が残っていることがあるので、切り込みを入れてよく洗ってください。
- 色味と食感が楽しいサラダで
- もちろんほうれん草と同様お浸しで
- ベーコンやハムなどとそのままさっと炒めて
- 野沢菜漬けのように塩・昆布・唐辛子でお漬物に
- みじん切りにしてじゃこやゴマとさっと煎ってご飯のおとも・おにぎりに
などなど、楽しんでください。
ねぎ
ねぎの種類は大きくは2つ、「青ねぎ(葉ねぎ)」と「白ねぎ(根深ねぎ)」に分けられます。関西では青ねぎ、関東では白ねぎが主流ですね。深谷ねぎのようにしっかりと土寄せをして白い部分を長くした白ねぎは価値が上がります。
ねぎの種類|ブランド
【青ねぎ】
- 九条ねぎ 主産地:京都府
- 芽ねぎ :静岡県、愛知県など
- やっこねぎ :高知県
- 万能ねぎ :福岡県
【白ねぎ】
- 深谷ねぎ :埼玉県
- 千住ねぎ :東京都
- まがりねぎ :福島県、宮城県など
- 松本一本ねぎ:長野県
白ねぎの青い部分を捨てないで!
地域の直売所などで、少し形の悪いものや青い部分(葉身)が大きいねぎが少々安めに売っています。お安く買ってまるごと食べればお得感がありますよね。葉身には抗酸化作用のあるβカロテンが豊富に含まれ、加熱すると甘みが出て鍋のだしをやわらかい味にしてくれます。
冬野菜まるごと使い切りレシピ
食品ロスの約半分が家庭から発生しているといわれています。食べ残しや過剰除去がその要因です。(参考:消費者庁|食品ロスの発生状況と要因について)いつも食べている野菜でも、今まで捨てていた部分にちょっと手をかければ、もう一品おつまみやおかずが増やせますよ。
作りすぎて食べ残さないように「食べる分・取り置き分」に分けて調理法も工夫しましょう。
まるごと食べるブロッコリーレシピ
ブロッコリーは、普段食べる花蕾(からい)の部分のほか、葉・芯(太い茎)・細い茎に分けられますが、いずれも食べられます。ただし、芯の根元・細い茎の根元は硬いことがあるのでカットしましょう。
2026年度から、ブロッコリーは「指定野菜」(だいこんやにんじんのように消費量がとくに多く、安定した供給が必要と国が認めた野菜)に追加される予定です。大量産地での栽培の環境改善に期待しています。いづれにしても工夫して無駄なく、使い切りたいですね。
材料(2人分)
- ブロッコリー 中1個
【花蕾・葉】ごまマヨネーズあえ
- ブロッコリー花蕾・葉
- マヨネーズ 大さじ3
- ごま 大さじ2
- 塩 ひとつまみ
- 沸騰したお湯に、食べやすい大きさに切り分けたブロッコリーの花蕾・葉と塩を入れて約30秒茹でる
- 水を入れたボウルで約30秒冷やす
- 房を振ってからキッチンペーパーでしっかりと水切りする
- ごまを半分すって、マヨネーズと残ったごまと混ぜる
- ブロッコリーとごまマヨネースをあえてできあがり
【細い茎】にんにく炒め
- ブロッコリー細い茎 5~6本
- にんにく ひとかけ
- 輪切り唐辛子 小さじ1
- 植物油 小さじ1
- 塩 小さじ1/2
- 茎を2mm幅の輪切りにする
- にんにくをうす切りにして、唐辛子と一緒に油で熱し香りをだす
- 6〜7分炒めたらできあがり
【芯】塩もみザーサイ風
- ブロッコリー 芯
- 輪切り唐辛子 小さじ1
- ごま油 小さじ1
- 塩 小さじ1/2
- 芯を1mmくらいのうす切りにする
- 沸騰したお湯で約30秒茹でる(花蕾を茹でる鍋と一緒でもOK)
- 水を入れたボウルで約1分間冷やす
- よく水を切ったら、唐辛子と塩を入れて軽くもむ
- 冷蔵庫で30分おいて、キッチンペーパーで水分をふきとる
- ごま油とあえてできあがり
ねぎとマグロのぬた
材料(2人分)
- マグロ(赤身) 100g
- 白ねぎ(細め) 1本
- みそ(あわせ) 大さじ1.5
- 水(ねぎ蒸し焼き用)大さじ1
- 料理酒 (みそだれ用)大さじ1
- 米酢 小さじ1
- ごま 小さじ1
- ごま油 小さじ1
- 砂糖 小さじ2/3
- 和からし 小さじ1/2
つくり方
- マグロを約7~8mm幅にスライスしごま油・ごまと和える
- ねぎを5cm幅に切り、スキレットなどに水を入れ蒸し焼きにする
- みそ・酢・砂糖・料理酒を混ぜて鍋に弱火でゆっくり火を入れアルコールを飛ばす
- ねぎとみそだれが冷めたらマグロ・和からしと和えてできあがり
わけぎや九条ねぎでももちろんOK。でも、少し熱をいれれば白ねぎの葉身でも十分おいしいですよ。マグロは、本マグロを使わずキハダやバチマグロの切り落としでも、ゴマ油と和えるとまろやかな味わいになります。
鶏モモと旬野菜の酒蒸し
材料(2人分)
- 鶏モモ肉 150g
- 小松菜 3束
- ねぎ 1本
- しめじ 1/2株
- だいこん(おろし用)50g
- 料理酒 50ml
- ポン酢しょうゆ 大さじ1
- 塩 ひとつまみ
- 【塩糖水用】水 100cc
- 【塩糖水用】塩 小さじ1/2
- 【塩糖水用】砂糖 小さじ1.5
つくり方
- 鶏肉のスジ切りをして余分な油を取り除く
- 水に砂糖と塩を溶かし、塩糖水をつくって鶏肉を浸す(約30分)
- 野菜を切ってフライパンにしき、塩ひとつまみをふる
- 鶏肉の水気をキッチンペーパーで拭き取り、そぎ切りにする
- 鶏肉を野菜の上に並べ酒をかける
- 中火にして音がし始めたら火を弱め、フライパンの蓋をして約10分蒸し焼きにする
- だいこんおろしにしょうゆポン酢をまぜる
- 鶏肉に十分火が通ったら、軽く水気を切って皿に盛る
- おろしポン酢をかけてできあがり
あまり肉を厚切りにすると、火が入るまでに野菜がやわらかくなりすぎます。野菜から出た水分は別に分け、スープにしてもおいしいですよ。また、むね肉や豚小間切れでも、塩糖水につけておけばジューシーに仕上がります。だいこんうす切りや白菜など、余っている食材でバリエーションを楽しんでください。
ライター
Maita
アウトドア大好きなフリーランスのフードコーディネーター(FCAJ認定/1級)&Webデザイナー。こだわって作った『つくりおき料理』で楽しいキャンプ飯を考案。また、日本各地の固定種・在来種の食材を使った料理を手掛け、地域の食文化の継承を模索している。一人でも家族でも仲間でも楽しめる、そして地球にやさしいレシピを提案していく。