レース前半
レース序盤のアクシデント
朝6時、まだ薄暗い中、いよいよレースがスタート !
気持ちが高ぶって、ついついペースがあがります。
1時間ほど経過して、「さてジェルでも食べようかな」と思ったら、なんと、あるはずのジェルが1つもありません!
スタート後に、ポールをザックから取り出す時、気付かないうちに、補給食を全部落としてしまったようです…
しばらく頭が真っ白になりました。
「でも最初のエイドまでは、そう遠くなかったはず。そこまでたどりつけば、補給できる!」と切り替えて、息をいっぱいすって深呼吸。
とにかく最初のエイドを目指しました。
幸いにも、エイドはとても充実していて、ボランティアの人たちにもたくさん力をもらえたので、私はここ(スタート地点から16kmのFoyer ski de fond Arselle)でしっかり充電できたのです。
悪天候によるコース変更
Refuge de la Praという山小屋周辺は、開けた景色でとても綺麗な、私の大好きなところです。
そこからしばらく進み、2889m の地点にあるCroix de Belledonneが見えてきたところで、ボランティアの人が何か言っています。
どうやら、今回は霧が濃いため、そこをのぼらず、直進することになったようです。
残念!
雨と寒さ、2つ目のアクシデントとおせんべい
Refuge Jean Collet 、Habert Aiguebelle(47km)までは結構あっという間でしたが、Col de Vacheという峠を越えて、Les 7 Laux(56km)という湖に着くまでは長くて、だんだんとあたりも暗くなりはじめるし、雨も降り寒くなってくるし、弱い心がでてきました。
すべりそうで怖いのでゆっくり進んでいたら、ふとした拍子に置いたポールに全体重をかけてしまい、ボキッと音がして、あ、やばっ!と思ったときには、ポールが折れていました。
うーん…でも、仕方ない。
とりあえず、次のエイドまでがんばろう!
約64kmのPleynetに着いた時は、スタートからほぼ12時間半経過していて、あたりは真っ暗。
ここは、バース・ド・ビとよばれる大きなエイドで、スタート前に預けた自分の荷物を受け取ることがでるので、荷物に入れておいた日本のおせんべいを食べました。
バリバリバリバリバリバリと音をたてて食べていたら、どんどん元気が戻ってきました。
レース後半
寒さに強いランナーたち
Pleynetをでたあとは、Grand Valloire 、Petite Valloireとアップダウンを繰り返し、Gleyzin へ下ります。
本来ならこのあと、Col de Moretan という峠まで急な上りがありますが、どうやらちょっと違う方向へ向かっているようです。
霧の影響で、コースが変わったのかな?
Super Collet(99km)を出たあとも、相変わらず霧が出ています。
私は寒がりなので、手袋をして、ジャケットの下にフリースも着ていましたが、風がふくととても寒くて、胸がキューっとなります。
でもまわりを見ると、半そでのままだったり、半そでにアームカバーをしただけ、という恰好で走り続けている人がいます。
欧米人は、基本的に日本人に比べて、寒さに強い人たちが多いのかなぁ。
最後から2つ目のエイドVal Pelouseに着くと、あともう少しという感じでしたが、体じゅうに疲労がたまっています。
そんな時、後ろから男性が近づいてきたので、「あー疲れた、私もう走れない」と言うと、「僕も疲れてるよー、走れるのは下りだけ。こんな風にちょっと小走りしてるよー」と言いつつ、トコトコと走っています。
彼にちょっとついて行ってみようと思い、後についていくと、「日本人?日本はすごいいい国だよね。どこ行っても、すっごい清潔だし。それに、レストランの前にある、あのショーケース。食べ物の見本がたくさん飾ってあってすごいよね。本当最高だよ、日本は!また行きたいなー。日本大好き!」など、ペラペラと楽しそうに話しています。
日本が大好きな彼と話していたら、何だか嬉しくなって疲れていることを忘れてしまいました。
しばらくすると、私はついていけなくなりましたが、「続きもがんばってねー、君はすごいよ!」と嬉しい言葉を残して、彼は去っていきました。
ようやくゴール
最後のエイドLe Pontetを出る頃は19時半を過ぎて、暗くなり始めていました。
ゴールは、ロシェット公園というとても感じのいい公園で、完走者はゴールにあるカウベルを鳴らすことになっています。
ゴールする自分の姿を想像すると嬉しさがこみあげてくる半面、体や脚は疲れていて、思うよう速く進めず、ゴールまでが遠かったです。
私が公園にたどり着いたのは、23時頃でしたが、近くで友人が待っていてくれました。
嬉しい!
ゴール後に鳴らすカウベルは最高!
喉がからからになるほどだった昨年の猛暑と、今年の悪天候は、とても対照的でどちらも大変でした。
以下に、昨年と今年のオフィシャルビデオのリンクがありますので、興味のある方は見比べてみてください。
参考:
– Échappée Belle 2018 (Film officiel – short version)
– Échappée Belle édition 2017 (film officiel)
レースを終えてから
翌日、ゴールの余韻にひたりつつ会場の公園でのんびりしていると、子ども達のレースが始まりました。
元気に走ってゴールした子ども達は、全員舞台の上に上がって、1人1人メダルをかけてもらっていました。
レシャペベルの完走者は、カウベルを鳴らすのが恒例になっていますが、走った子どもたちのメダルは、小さなカウベルの形をしていました。
とってもかわいいアイデアです!
このレースに参加して感じたことは、登山やランニング、仕事など、山との関わり方は違っても、山好きな仲間として、お互いを尊敬して大切にしていて、みんな仲が良いんだなぁ、ということ。
レース中は、ボランティアの人のほか、登山者や山で働く人たちが、とてもあたたかく応援をしてくれました。
彼らのおかげで最後まで走り続けることができたと思います。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。