子供にとってのチョークの役割
クライミングにおけるチョークの役割は「滑り止め」です。手の平にかいた汗をチョークが吸い取って乾燥させることによって「滑りを止める効果」をもたらします。
ここで注意したいのは「チョークが滑り止め」なのではなく「クライミングにおけるチョークの役割が滑り止め」という違いです。
時々、クライミングシューズのソール部分にチョークを塗り付けているクライマーを見かけますが、ほとんど意味はなく、場合によっては滑りやすくなってしまう事もあるので注意してください。
子どもにとってのチョークの役割は、汗を吸い取るという部分に最も大きな効果をもたらします。汗の油分は、プラスチック製のホールドとの相性が良く(馴染み易く)とても滑ります。
ちなみに教育現場などで使われるチョークには表面にコーティングが施されていて、指へのストレスが無いように設計されています。
また使われているチョーク自体の飛散を防ぐため、チョークの粒子が重く地面に素早く落下するように様々な成分を混ぜて作られています。
子どもと大人の汗のかきかたの違い
まず、汗をかくことは人の体にとって、とても重要な機能だという事を認識しておきましょう。そのうえで、汗をかく事によって登りにくいと感じた場合にチョークを使います。
クライミングを始めて上達してくると、汗をかくことを一種のハンディキャップと感じる方がいます。それは、クライミングという特殊な環境下でのみ感じる事です。
必要以上に大量にチョークを使う、クライミング後の肌のケアをしない、等は本質的な人体の機能にとって良くありません。
汗をかくことは子どもの成長にとってとても大切なので、そのことを忘れないようにしましょう。子どもは大人よりも代謝が良いので、広い意味では汗をよくかくといえます。
ただ、大人でも汗をよくかく人はいます。クライマーの間では、手の平に汗をよくかく人を「汁手」と呼んでいます。
この「汁手」のクライマーは「お酒をよく飲む人は汁手だ」とあまり根拠のない理由で笑いのネタにすることが多いですが、子どもの場合は当然、当てはまりません。
つまり、汗のかきかたに個人差があるのは大人も子どもも一緒なのです。
チョークを使う際の良い点悪い点
チョークを使う時の良い点は、高い滑り止め効果を得る事ができる点です。また、自然の岩ではチョークを使わずに登る人がいます。
もちろんチョークを使って登るクライマーのほうが多いですが、クライミングジムで誰もがチョークを使って登るのに対し、自然の岩では一定数のチョークを使わないクライマーが存在します。
これは自然の岩がプラスチックホールドよりも滑らない事が理由ですが、チョークを使わない事をスタイルとして楽しんでいる方も中にはいます。
自然の岩場でクライミングジムと同じ感覚でチョークを使うと、時として思わしくない結果を招く事があります。
クライミングの最も冒険的で重要なテーマは「最小限の情報で自らの技術と想像力でルートを攻略する」ことです。
そして、一度の挑戦で登れることを「オンサイト」といってクライマーは自然のルートとの出会いを大切にしています。チョークが付く情報によって「ルートを想像して登る冒険を奪われた」と感じるクライマーもいます。
また登山者の中にはチョークを「景観を汚す不快なもの」と認識する人もいます。つまりチョークを使うことによる悪い点は、マナーを知らないことです。
クライミング後は岩についたチョークをブラシで掃除してから帰りましょう。
チョークは体に悪いの?
クライミング用チョークの主成分は炭酸マグネシウムです。炭酸マグネシウムは歯磨き粉や胃腸薬の原料として利用されますので、利用の傾向から考えると健康への心配はあまり無さそうです。
また、ヨーロッパ製のものはヨーロッパでの調剤基準を満たしたものが流通します。ヨーロッパ製以外でも「クライミング用チョークによる健康被害は報告されていない」というのが各メーカーによる説明です。
一方で、クライミングジムに長く居続けることによる喉の違和感などを訴えるクライマーがいる事も事実です。「クライミング用チョークが及ぼす健康への影響」はあまり着目されていない研究ジャンルです。
故に、ここで良し悪しの結論を出すことは出来ませんが、喉に違和感のあるクライマーもいるので、念のため特に閉鎖した空間のクライミングジムでのクライミング後には、うがい、手洗いを行うといいでしょう。
また、子どもがたくさん汗をかくけれどチョークを使わせたくない人は、子どもにクライミング前に石鹸で手を洗うようすすめてください。手の平の油分を石鹸で洗い流すことによって登りやすくなります。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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