奥多摩小屋閉鎖について
50年以上、登山者たちに親しまれた奥多摩小屋の閉鎖が発表されました。2019年3月31日をもって閉鎖し、取り壊しが行われるようです。
奥多摩町公式サイトより:奥多摩小屋閉鎖のお知らせ
2017年に、標高2,017mということで話題となった雲取山へ向かう休憩ポイントとして、人気の場所でもありました。
ここを拠点にテントを張り、翌朝登頂を目指す人も少なくありません。閉鎖の理由は施設の老朽化。施設の閉鎖とともに、テント場とトイレの利用もできなくなるのが残念でなりません。
奥多摩小屋テント場をおすすめする理由
雲取山を目指す途中、このテント場の前で「こんな良いテント場があったんだ」と思う人も多いはず。なぜ多くの人が、奥多摩小屋テント場に魅力を感じるのでしょうか?
この奥多摩小屋テント場をおすすめする理由は2つあります。
荷物を置いて雲取山を目指せる立地
鴨沢から雲取山登頂を目指している時、頂上を前にした奥多摩小屋まで来ると、一息したくなります。
思ったより時間がかかり、日が落ちる前に雲取山荘に到着できるか不安になる人も多いでしょう。せっかくの雲取山、できればゆっくり頂上を満喫したいもの。
東京(奥多摩)側の鴨沢から登った場合、テント場に荷物を置いて山頂を目指すことができます。その日に登るか、翌朝登るか、体力に合わせて選ぶこともできるのです。
東京で満点の星空が見られる数少ない場所
奥多摩小屋テント場の星空は特別です。ここが長野や北海道ではなく、東京だからでしょうか。東京の夜景をイメージして、この星空は浮かんできません。
また、奥多摩小屋テント場は大きく開けたテント場ではなく、稜線にテントが並ぶというところも魅力の1つ。開けた視界から、富士山を含め山梨側の眺望が広がっています。
奥多摩小屋について
歴史
昭和34年に建設され、これまで多くの登山者たちの休憩地、宿泊地として営業してきました。閉鎖が決まった今も、昔ながらのランプと薪ストーブが使われています。
基本情報
小屋は入口から長年の歴史を感じます。「老朽化」という言葉には、うなずかざるを得ません。自炊小屋と呼ばれ、食事は用意しておらず、トイレは汲み取り式。紙は持参したほうが良いです。
・宿泊料金 素泊まり4000円 幕営料一人500円
・水場 小屋から5分程
・予約 不要
参照:雲取山荘
今年度の運営について(2018年4月8日現在)
すでに閉鎖へ向けて動きがあり、2018年4月1日から管理人が常駐ではなくなると発表されています。
しかし、雲取山荘に問い合わせたところ、テント場の利用については、小屋に置いてある箱に幕営料を入れれば利用可能ということです。
最後の年ということで、ハイシーズンの週末は混雑が予想されるでしょう。
奥多摩小屋へのアクセス「鴨沢ルート」
奥多摩小屋は、雲取山を目指す登山道の主稜線上に位置します。雲取山の登山コースは、奥多摩湖側からの鴨沢ルートと秩父側からの三峰ルートが一般的です。
今回は、奥多摩小屋のテント場を宿泊地と考えたときに最も人気のある鴨沢ルートをご紹介します。東京から2時間半で登山口にアプローチできますよ。
「鴨沢・雲取山コース」
標高差は1467m。雲取山山頂まで、およそ5時間30分、奥多摩小屋まで5時間ほど。
ここでは
・東京方面からJR青海線奥多摩駅を利用した場合のアクセス
・登山口から登頂を目指すコース
に分けて紹介します。
登山口までのアクセス
【路線バス】
JR青梅線奥多摩駅~鴨沢 西東京バス「奥09鴨沢西行」または「奥10丹波行」で35~40分
1日9~10本の運行で片道627円(IC)
奥多摩駅を出て、道路を渡った向こう側にバス停があります。ハイシーズンにはかなりの人が並んでいますが、増便して対応しています。
鴨沢のバス停にはトイレがあるので、歩き始める直前に利用出来て便利です。
《午前中のバスの時刻》
平日 5:34 7:00 8:42 9:30 12:25
土曜休日 6:05 7:00 8:35 9:30 11:00 12:28 (2018年4月8現在)
乗車時間40分と奥多摩小屋までの歩行時間(約5時間)を考えると、遅くとも9:30までのバスに乗っておきたいところです。
【マイカー】
登山口近くの「小袖乗越」に、60台近く駐車可能な無料駐車場があります。トイレもあり便利です。
シーズン時の土日はすぐ埋まってしまいますが、バス停から歩くより30分歩行時間が短縮されるのは嬉しいポイント。
登山口から奥多摩小屋へのアクセス
鴨沢バス停-小袖乗越-七ツ石小屋分岐-ブナ坂-奥多摩小屋-雲取山
鴨沢から奥多摩小屋までのコースタイムは5時間ほど。テントを担ぐならもう少し余裕を見ておくと良いでしょう。
奥多摩小屋から雲取山頂上までは30分ほどです。途中七ツ石小屋分岐を小屋方面に向かえば、腰をおろして休憩もできます。
奥多摩小屋の存続を願う声
奥多摩小屋の閉鎖の方針が奥多摩町から出されて以来、SNSでも拡散され、奥多摩を愛する登山者たちに広がっています。
登山愛好家や山岳会が署名を集め、存続を訴える声も上がりました。内容は、小屋の維持と再建、テント場の存続。
奥多摩湖側から雲取山山頂までは歩行時間が長く、山頂手前に奥多摩小屋があることで、安心して登っていた登山者も多いようです。
一方で、人口5,000人ほどの奥多摩町に、維持や再建は難しいという声もあります。
募金をしたいという声も上がっている中で、2017年3月に奥多摩町から出された正式な閉鎖発表は、奥多摩に親しむ登山者たちにとってさみしいものでした。
ライター
Greenfield編集部
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