かつて一世を風靡したウインドサーフィン
1968年3月、カリフォルニア在住のヘンリー・ホイル・シュワイツアーと航空エンジニアであるジェームス・ロバート・ドレイクは、考案した「ウインドサーファー」の特許申請をアメリカで行ないました。
これがウインドサーフィンの誕生と言われています。
その後、徐々に世界中に広まり、1980年代に入ると多くのメーカーが参入。
同時に波乗りやジャンプなどパフォーマンスが著しく進化し、スポーツとして爆発的なブームを世界中に起こしました。
また、1982年にはオリンピックの正式種目に採用され、2020東京五輪ではちょうど10回目を数えます。
日本でも巻き起こったウインドサーフィンブーム
日本への上陸は1972年。
鈴木東英氏がウインドサーファーで江戸川をセーリングしたのが始まりと言われています。
1981年沖縄で世界選手権が開催された頃から本格的なブームがスタート。
日本では“サーファー艇”と呼ばれ、世界的なブームとシンクロしながら、一大ブームを巻き起こしました。
それが顕著に現れたのが芸能の世界です。
中井貴一と松田聖子が主演した「プルメリアの伝説」をはじめ、多くの映画、CM、マンガなどの題材となり、実際にウインドサーフィンをこのむ芸能人も多く見受けられました。
そして、1984年からは10年間にわたって世界最高峰の大会“サムタイム・ワールドカップ”が開催され、その模様はTV朝日系列が放映。
ピーク時にはゴールデンタイムに放映されたこともあるほどでした。
エクストリームな方向に進化を続けたウインドサーフィン
人気を博したウインドサーフィンでしたが、世の中に定着したあとは、かつてのようなブームは訪れていません。
それでもスポーツとして細分化しながら進化は止まらず、今では最高スピードは時速100kmに迫り、また、大西洋横断レースが行われたり、パフォーマンスでは空中での縦方向2回転は当たり前、横のスライド回転では4回転に成功するなど、とくにエクストリームな方向で進化を見せました。
そして2018年、誕生して50年を迎えるに至ったのです。
オリジナルボード ウインドサーファー復活
2018年、誕生50周年を迎えたことをキッカケとして、これまでを見直すムーブメントが生まれました。
エクストリームに偏りすぎではないか、原点に戻ろうということで始まったアクションが、オリジナルボードであるウインドサーファーの復活です。
ウインドサーファーはとうに表舞台から消え去っていました。
しかし、このボードは入門艇として優れた性能を備え、エクストリームではなくスローなウインドサーフィンを誰でも楽しめます。
誕生後しばらくはウインドサーファー=ウインドサーフィンという時代が長く続き、ベテランの人は、ほぼすべてこのボードで育っていました。
そんな背景が重なり、ルネッサンスとして復活を遂げたのです。
驚くことに、復活したボードは、ひとつのメーカーから発表されたのではありません。
“1ブランドが独占するボードではない”という業界全体の意志に基づき、複数のブランドから、表面デザインだけ異なるそれぞれのウインドサーファーが発表されたのです。
SUPにも使えるNEW「ウインドサーファー」とは
ウインドサーファーは、誕生したときから弱めの風のなかで特に安定して走り、風上へのセーリングも得意なボードです。
そのため、フリーセーリングだけでなく、その風速下でのレースやフリースタイルなどジャンルが違うスタイルを追求する人にも魅力的なボードで、入門者から上級者まで楽しめることが特徴です。
さらに最近はSUPボードとしての活用にも注目が集まっています。
4ブランドから発表されたウインドサーファー
復活したウインドサーファーは、現時点で4つのブランドから登場することがわかっています。
ただし、すべてが日本で発売されるかは不透明です。
そのスペックは、ブランドごとに若干のばらつきがありますが、以下の通りです。
全長:365〜367cm/最大幅:74cm/重量:15kg/ボリューム:227〜229ℓ
ちなみに1981年当時のウインドサーファーは、全長365cm、最大幅66cm、重量18kgでした。
新旧を比べてみるとオリジナルよりも幅が広く軽量になっているため、さらに初心者に乗りやすいボードとなっています。
ウインドサーファー世界選手権で日本人がワンツーフィニッシュ!!
ルネッサンスのムーブメントは、ウインドサーファーだけを使用する世界選手権の復活にもつながりました。
2019年7月24〜28日、世界中から177名が参加し、イタリアのガルダ湖でウインドサーファークラス世界選手権が開催。
ロングディスタンス、スラローム、コースレース、フリースタイルの4種目で白熱の戦いが繰り広げられ、女子の部で日本人2人が総合1位、2位を独占する活躍を見せました。
総合優勝したのは日本史上No.1の実績を誇る長田雅子選手、2位には23年前にこのレースで優勝している豊岡美枝選手が入賞。
2人とも年齢を重ねてもその実力はまだ衰えていないことを証明しました。
また、豊岡美枝選手の活躍の模様はTVでも放映され、話題となりました。
これをきっかけに今後、かつてのようなウインドサーファーブームが訪れるのか、期待したいところです。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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