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ウォータースポーツには、ヨット、サーフィン、ウインドサーフィン、SUPなど、実に多くの種類がありますが、個々のスポーツの垣根を越えて、今「フォイル」というニューシステムが席巻しています。今回は、この「フォイル」について詳しくご紹介します。

フォイルとは?

 

フォイルとは、「水中翼」のこと。

その名の通り水中の翼のことです。

皆さんは水中翼船という言葉を聞いたことがありますか?

水中翼船は船腹に翼を持ち、フェリーなどの船に利用されています。

フォイルはその水中翼のことで、それ自体は決して新しいものでもシステムでもありません。

AKUALA(アクアラ)ハイドロフォイル
AKUALA(アクアラ)ハイドロフォイル

なぜフォイルに注目が集まっているの?

フェリーなどの水中翼船に利用されているフォイルになぜ今、注目が集まっているのかといえば、それがスポーツに利用され、個人レベルの使用に直接つながったからです。

水中翼船のフォイルの形状は、船体が巨大で重いためV字型や梯子型という一般的な翼のイメージとは異なる形状をしていますが、スポーツで利用するフォイルは飛行機の翼のような形状をしています。

スポーツ利用のフォイルは、艇体(ボード)から水中に垂直に伸びた、巨大なフィンのような形状のマスト(本来は帆柱の意味ですが、フォイルでもこう呼ぶ)の先端に、直角に水中翼(両翼型)が付いている構造をしています。

 

水の抵抗を減らすことがフォイルの目的

 

フォイルの特徴は、飛行機の翼がスピードが増すに従って機体を浮かせていくように、フォイルが生み出す「揚力」によって装着された船体を浮かせていきます。

飛行機の翼の揚力は空気の流れによって生まれますが、水中にあるフォイルは水流によって生み出されます。

これを大きくて重い船ではなく、小さなボード(+操縦者)に利用すると、低い推進力、低いスピードでも浮上が可能となります。

その上、水の抵抗も大きく減少し、高効率なスピードが実現します。

このようなシステムをウォータースポーツが本格的に利用しはじめたのです。

フォイル サーフィン
 

SurfStyle 2022
SurfStyle 2022/NALU編集部

 

ウォータースポーツにおけるフォイルの歴史

 

昔から存在するフォイルというシステムですが、なぜ現在のウォータースポーツ界で注目を集めたのでしょうか。

その理由は、あるヨットレースで使われたことがきっかけでした。

 

きっかけはヨットの最高峰レースである「アメリカズカップ」

ヨットの最高峰レース「アメリカズカップ」で、その使用艇が近年著しい進化を遂げました。

船体はモノハルからカタマランに代わり、水中にフォイルを装備したのです。

マストの先端にL字形の翼を持つアメリカズカップのフォイルは、カタマランのためそれぞれの船体に1つずつ装備されています。

そして、約90km/hという高速のレースを行うまでになったのです。

これがきっかけとなり、フォイルシステムは一気に他のウォータースポーツからも注目されるようになったのです。

海が燃えた日 究極のヨットレース、アメリカズカップに挑戦したニッポンチーム/ 武村洋一/山崎達光/舵社
海が燃えた日 / 武村洋一/山崎達光/舵社

意外と古くから行われていたボードスポーツでのフォイル利用

実は、アメリカズカップで注目を集める前の2007年頃には、デイブ・カラマやレイヤード・ハミルトンなど(2人はその後“ウォーターマン”として名を馳せます)一部のウインドサーファーが、ハワイ・マウイ島で水上バイクでボードを牽引し、ビッグウェイブに乗るというトゥインサーフィンでフォイルの使用をはじめていました。

しかし、トゥインサーフィン用サーフボードに付けられたフォイルはカスタムメイドのため、道具としても、スポーツとしてもきわめて特殊な位置づけに留まっていたのです。

これがアメリカズカップでのフォイル使用によって、他のウォータースポーツ、中でも以前からフォイルを一部で利用していたウインドサーフィン界で特に再注目され、一気に商品化がはじまったのです。

この商品化の波は、SUP、カイトボーディング、サーフィンなど、水上で楽しむ多くのボードスポーツに拡大していきました。

 

フォイルウォータースポーツの種類とその魅力

 

フォイルの登場はウォータースポーツ全体を一変させました。

ほぼすべてのウォータースポーツにおいて、今までのオリジナルの他に、フォイルというカテゴリーが新たに誕生したことになるからです。

ここでは、フォイルを使用しているウォータースポーツと魅力についてご紹介します。

 

フォイルはほぼすべてのウォータースポーツ用ボードに波及

フォイルが波及した水上でのボードスポーツは、以下の通りほぼ全種目にわたっています(語頭にフォイルをつけて表記)。

前述したフォイルヨットをはじめ、フォイルサーフィン、フォイルウインドサーフィン、フォイルカイトボーディング、フォイルSUP、フォイルウェイクボーディングと多岐にわたります。

また、フォイルウイング、フォイルボディボーディング、シットダウンフォイリング(椅子付水上スキー)なども名を連ねています。

 

フォイルしか持ち得ないスピード性能と走行感覚が唯一無二の魅力

いずれのジャンルでも、フォイルにしか持ち得ない高効率なスピード性能と独特の走行感覚が大きな魅力といえます。

スピードについては最高速度の向上だけではなく、少ない推進力でも浮上するために高い速度が実現できるという効率の良さが大きな魅力です。

ボードが水面から浮上したときの走行感は、まさに“宙を浮いている”感覚です。

さらに、ボードが水面に当たらないため、振動や接水音がなく、浮上走行中はきわめて静かな世界が広がります。

この走行感覚はフォイルだけが持つ唯一無二の感覚といえるでしょう。

GUARD ガード フロートドライバックパック
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ウォータースポーツを激変させたフォイルですが、フォイルを体験するためには、まずはそれぞれのウォータースポーツをある程度マスターしておくことが大前提となります。また、フォイルは高強度のFRP製が主流で、翼の端は鋭利な道具が多いため、落水時の危険性は決して低くありません。さらに製品の価格も安くないため、はじめる場合はスクールを受講することがおすすめです。最近では、それそれのウォータースポーツのスクールメニューとしてフォイルがラインナップしているショップも多くあります。なかにはフォイルの感覚だけを味わえる体験コースを設定しているスクールもあるので、ぜひ利用してみてください。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。