健康志向の人たちに、サステナブルな健康素材として「米ぬか」が注目を集めています。精米時に生まれる副産物でありながら、栄養価が高く、腸活や美肌・子どもの栄養補給にもピッタリです。今回は、米ぬかの魅力と栄養満点の活用法を紹介します。
米ぬかとは?栄養の宝庫とアップサイクルの可能性
健康にも環境にもやさしい「米ぬか」。ここではまず、米ぬかの基本的な情報と、エコ素材として注目される要因を解説します。
未利用資源「米ぬか」とは?
米ぬかは、玄米を精米して白米にする際に外皮が削られて生まれる副産物で、国内だけで年間およそ65 万トン[1]が発生します。この大量の副産物のうち米油に利用されるのは約半分にとどまり、残りは家畜飼料や工業用に回るなど、食卓に届く割合はわずかです。
しかし米ぬかの「乾煎り」や「熱処理」によってクセが抑えられることがわかり、食品ロス削減の切り札として期待が高まっています。
健康素材としての実力と再注目の背景
米ぬかにはビタミンB₁・E、食物繊維、そしてミネラルが豊富に含まれます。
- ビタミンB₁:2.3mg(成人1日推奨量の209%)
- ビタミンE:4.5mg(同45%)
- 食物繊維:21g(同84%)
- マグネシウム:781mg(同223%)
さらに、フェルラ酸やγ‐オリザノールといった抗酸化成分が活性酸素を抑え、生活習慣病や肌老化の予防にも影響すると言われています。
エシカル&健康を両立する選択肢
米ぬかのアップサイクルは、さまざまなSDGs目標に直結します。
SDGs目標 | 具体的取り組み |
目標2 | 脱脂糠を飼料化し持続可能な農業を促進 |
目標12 | 食品廃棄物を95%削減(米油生産工程) |
目標13 | 米油生産時の二酸化炭素の排出量を植物油平均比38%低減 |
2024年、築野食品工業は米ぬかを余すところなく活用し、「ファインケミカル事業」や「オレオケミカル事業」の原料へと製造可能にしました。
そして、米ぬかは「食べられるのに捨てられている食品」の代表格です。私たちが食事に取り入れれば、フードロス削減と栄養改善を同時に実現できるでしょう。
米ぬかの「ぬかパワー」を徹底解剖
栄養満点な米ぬかですが、どんな効果があるのか気になりますよね。つぎは、腸内環境の改善や美容サポートなど、女性にとってもうれしいポイントを紹介します。
腸内環境へのアプローチ
米ぬかの食物繊維は善玉菌の増殖を促し、短鎖脂肪酸の一種であるラク酸の生成をサポートします。ラク酸は腸粘膜のエネルギー源となり、腸管のぜん動運動を促すため、便通がよくなるとされています。
さらに、腸管免疫を整えて感染症リスクを下げる働きも確認され、毎日大さじ1杯(約6 g)ほどを摂取すれば腸活としては十分です。
女性のお悩み解決!便秘解消にオススメ
女性の便秘は、水溶性食物繊維の不足が原因のひとつです。米ぬかには、水分を抱きこむペクチンと腸を刺激するセルロースが含まれ、やさしくかつ確実に排便を促進させます。
老廃物が排出されれば腸内ガスも減り、肌荒れや口臭のケアにもつながるでしょう。体臭や肌トラブルの背景には腸内環境の悪化が多く、食物繊維をたくさん摂取すれば改善されるケースが少なくありません。
化粧品にも使用!美肌効果もピカイチ
ビタミンEやフェルラ酸が豊富な米ぬか由来エキスは、化粧水や乳液にも配合される人気の美容成分です。
高い抗酸化作用により紫外線ダメージを軽減し、セラミド産生を助けることで水分保持力をサポートします。また、γ‐オリザノールはメラニン生成を抑える働きが報告され、透明感のある肌づくりには効果的です。
近年はプチプラ化粧品※にも採用例が増え、続けやすい点もメリットとなっています。
※数百円から2,000円程度で手軽に購入できる化粧品のこと。ドラッグストアやバラエティショップなどでよく見られ、若年層に人気
米ぬかで広がる!栄養満点アレンジレシピ
「米ぬかって、どう使えばいいの?」という人も多いはずです。ここでは、初心者でも簡単に取り入れられるアレンジレシピを紹介します。
味噌汁やスープに米ぬかをプラス
いつもの味噌汁やスープに、米ぬかを小さじ1ほど加えるだけで、クセがなく旨みととろみがプラスされ満足感が増します。 ビタミンB群や食物繊維は熱に比較的強いため、煮込み中でも損失が少ないのもメリットですね。
大根などの根菜やきのこと一緒に煮込めば、食物繊維を無理なくとれ、腸活効果がワンランクアップします。忙しい朝でも手軽に取り入れられるのがうれしいポイントです。
なすときゅうりのぬか漬けで発酵パワー増大
米ぬかと塩と水を入れ、しっかりと均一に混ぜて、ぬか床をつくります。そのぬか床に、ヘタを落として水気を拭いたきゅうりと、塩で軽くアク抜きしたなすを埋めます。
夏は12時間程度・冬場は丸1日の漬け込みが目安で、ぬか床から取り出したら表面のぬかをとり、水洗いしましょう。好みの大きさに切って食卓に並べます。
ぬか漬けにすることで、きゅうりはビタミンB₁が最大10倍[3]に増え、乳酸菌も摂取できます。また、ビタミンEやカリウムも補えるため、腸活・抗酸化・むくみ対策をまとめてサポートしてくれるのも魅力的です。
ぬか床は20〜25℃で最も乳酸菌が働くので、気温が高い日は短時間漬け、低い日は室温管理または冷蔵保存を活用すると失敗しにくいです。
とくにこれからの暑い時期には、夏野菜のぬか漬けが塩味があり、熱中症対策にもバッチリですね。
米ぬかで作るカステラ風ケーキ
米粉や小麦粉に米ぬかを2〜3割混ぜて焼くカステラ風ケーキは、しっとりした食感と香ばしさが特徴です。食物繊維の膨潤作用で腹持ちが良いので、ダイエット中のおやつとしても人気の一品です。
バターの一部を米油に置き換えれば、ビタミンEやトコトリエノールを強化できます。また、生地にドライフルーツやナッツを加えるとミネラルバランスも向上します。
ライター
pei3
1990年生まれ。海が大好きで、宮古島によくいます。幼い時からスキーを主にしたファミリーキャンプに出かけ、大学時代には川下りや登山・西表島の縦走など47都道府県に行った経験あり。
料理が好きなので、平日は食品メーカーで開発し、週末は身体に優しいマクロビオティックの食事を研究中です。食品表示検定中級・発酵食品マイスターの資格を持つ。