現代人の食生活には加工食品や添加物・食習慣の影響で味覚障害が広がり、子どもたちの味覚も徐々に変わりつつあります。なかには真水が飲めず、甘いジュースしか飲めないなんてことも。ここでは、現代人の味覚障害の実態と、自然食や簡単な食習慣による改善方法をご紹介します。
味覚が鈍る現代人の増加
忙しいあなたの食卓には便利さや手軽さを求めるあまり、加工食品や即席食品に頼る食生活が広がっていませんか。その結果、添加物や過剰な調味料によって味覚が鈍くなり、本来の食材が持つ自然な味を感じ取れなくなる人が増加傾向にあります。
現在、味覚障害を抱える日本人は3,000万人以上ともいわれています。これは一過性の問題ではなく、私たちの健康と生活習慣を深刻にむしばむもの。とくに子どもたちの味覚形成にも影響を与える可能性があり、早期の改善が求められています。
味覚障害の定義
味覚障害とは、甘味・塩味・酸味・苦味・旨味といった基本的な味を感じる能力が低下、または失われる状態のこと。この症状は、年齢や健康状態にかかわらず誰にでも起こり得ますが、近年では若年層にも見られるようになっています。
原因のひとつとして、栄養バランスの偏りや、食品添加物の過剰摂取などがあります。また、ストレスや生活習慣の乱れも影響しています。味覚障害が進行すると、食事の楽しみが失われるだけでなく、健康維持に必要な栄養分の不足や過剰摂取にも繋がるかもしれません。
味覚障害の増加原因
味覚障害の増加には、主に以下の原因が挙げられます。
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- 亜鉛不足
味を感知する味蕾(みらい)は、亜鉛が不足すると新陳代謝機能が低下します。 - 加工食品やファストフードの普及
これらは添加物や味付けが強く、日常的に摂取することで、亜鉛の多くを体外に排出してしまいます。 - ストレスや睡眠不足
自律神経の乱れを引き起こし、味を感じる神経や細胞に影響を与える可能性があります。
- 亜鉛不足
これらの複合的な要因が、味覚障害を抱える人の増加に影響を与えています。
味覚障害の健康リスク
味覚障害は、単なる「味の感じにくさ」だけではありません。食べ物の味を感じる能力が低下すると、味を濃くするために塩分や糖分を過剰にとりがちに。そのせいで、高血圧や糖尿病といった生活習慣病のリスクが高まります。
また、食欲の低下や食事が楽しくないことから、栄養不足になるかもしれません。とくに子どもの場合、味覚障害が成長に影響を与える懸念があります。食事が健康の土台を築くものである以上、味覚障害の予防と改善はとても重要な課題ですね。
味覚改善のために取り入れたい自然食と習慣
味覚の本来の力を取り戻し健康であるためには、自然食と正しい食習慣を意識しましょう。自然食とは、添加物を控えて素材本来の味を活かした食事のことです。また、食べる際の環境や習慣を見直すことで、より効果的な改善が期待できるかもしれません。ここでは、具体的な取り組みについて詳しく紹介していきます。
自然食で調味料の見直し
味覚改善の第一歩は、調味料の見直しです。市販の調味料には、人工甘味料や保存料が含まれるものが多く、これらが味覚を鈍らせる原因の一つとも考えられます。そこで、無添加の塩や醤油・みりんを選び、できるだけシンプルな味付けを心がけましょう。
また、自家製のドレッシングや出汁(だし)を作ることで、素材本来の香りと味を引き出せます。自然の調味料を使うことで、味覚がするどくなり、体にも優しい食生活を実現してみませんか?
- 毎朝、出汁生活
食品メーカーで開発業務をする私は、仕事上濃い味の食品を味見する機会が多いです。味覚をリセットして正常に戻すためにも、無添加の煮干だしパックを使用し、毎朝100mℓ飲んでいます。無添加食品を簡単に摂取できるので、オススメです!
旬の食材で味覚リセット
旬の食材を取り入れることも、味覚改善に効果的です。旬の野菜や果物は栄養価が高く、豊かな味わいが特徴。そのため味付けを濃くしなくても、素材のおいしさを感じられます。
また、旬の食材を使った料理は、自然な甘味や酸味を楽しめて鈍った味覚をリセットする手助けをしてくれます。地元の農産物直売所などで旬の食材を購入し、家庭でサラダやお鍋など、さくっと調理してみてはいかがでしょうか。
まずは1日1食自然食
自然食の導入は、無理なく始めることがポイントです。すべての食事を変えるのではなく、まずは1日1食からスタートしてみましょう。
たとえば、朝食に自家製のスムージーや、夕食に旬の野菜たっぷりのスープ。これらの習慣を取り入れることで、徐々に自然食の良さを実感できるはずです。このような小さな変化を積み重ねることで、味覚が少しずつ敏感になり、食事の質全体を上げることができます。
ながら食べの防止
食事の質を高めるには、ながら食いを避けることも大切。テレビを見ながら、スマホを触りながらといった食事は、味覚への集中を妨げます。食事は、五感を使って味わうもの。一口一口丁寧にかみ、味わうことで、自然と味覚がきたえられます。
また、家族と一緒に食卓を囲んで会話を楽しみながらの食事も、子どもの味覚の発達に良い影響を与えます。食事の時間を大切にする習慣をつけましょう。
ライター
pei3
1990年生まれ。海が大好きで、宮古島によくいます。幼い時からスキーを主にしたファミリーキャンプに出かけ、大学時代には川下りや登山・西表島の縦走など47都道府県に行った経験あり。
料理が好きなので、平日は食品メーカーで開発し、週末は身体に優しいマクロビオティックの食事を研究中です。