ダウンの性質
ダウンとは
ダウンとは、アヒル(ダック)やガチョウ(グース)など水鳥の羽毛のこと。
一般的にはダックダウンよりもグースダウンの方が品質が良く高価です。
ダウンには、ダウンボールというふわふわの綿毛と、真ん中に芯がある羽根の形をしたフェザーがあります。
ダウンボールの方がフェザーに比べてたくさんの空気を含むので温かいのですが、ほとんどのダウンジャケットには、ダウンボールだけでなくスモールフェザーが混ざったものが使われています。
これは、ダウンボールだけではロフト(かさ)の回復力に欠けるためです。
潰れた状態ではダウンは保温性を保つことが難しく、フェザーを混ぜることでロフトを保ち、温かさを維持しています。
ダウンのメリット
ダウンの一番のメリットは、軽くて温かいことでしょう。
中綿ジャケットはダウンの他にも、今回比較する化繊綿やコットン綿などがありますが、軽さと温かさはダウンに叶うものはありません。(※同じ重量で比べたとき)
よくFP(フィルパワー)という表記を見かけると思いますが、フィルパワーとは温かさの指標ではなく、ダウンの戻り率(同じ重量の羽毛をシリンダーに入れ、一定の圧力をかけたときの膨らみ度合いを数値化したもの)のことです。
フィルパワーが高いダウンは空気をたくさん含むので、少ない量でも温かいジャケットが作れるというわけ。
タウンユースのダウンジャケットには500FPもあれば十分で、荷物をなるべく軽くしたい登山用のダウンジャケットは、800FP前後のダウンが使われています。
また、ダウンは非常にコンパクトに収納することができるので、着脱を繰り返したり、持ち歩くシーンで役立ちます。
Marmot 750フィルパワープライムダウンジャケット
ダウンのデメリット
ダウンのデメリットは、水濡れに弱いということです。
ダウンは水に濡れてしまうと空気を保持できなくなり、保温性を失ってしまいます。
しかし最近は、このデメリットをカバーする撥水加工が施されたダウンも出てきています。
また、ダウンは毛抜けすることがあり、インナーに羽毛が付いてしまうことがあり、気になることも。
化繊の性質
化繊とは
化繊とは化学繊維の略で、ポリエステルやナイロンなどの繊維を指します。
ジャケットに使われている化繊綿としては、世界的な素材メーカー3Mが開発したシンサレートやアルバニー社開発のプリマロフトなどが有名です。
また、ノースフェイスのサーモボールやパタゴニアのプルマフィルなど自社で開発しているメーカーも多く、実にたくさんの種類があるのです。
同じポリエステルの綿でも、繊維の細さや形状などで保温性や重量も変わり、最近ではダウンと遜色ないといわれる程軽くて温かい化繊綿も登場しています。
化繊のメリット
ダウンと相反して、濡れに強いというのが化繊綿最大のメリット。
悪天候にさらされ続けたり、水に濡れるおそれがあるアクティビティには断然有利です。
プリマロフトなどは化繊綿自体が超極細繊維で密に編まれているため、水を一切通さず肌が濡れることすらありません。
透湿性も高く、着たまま行動するにも最適といえます。
また、ダウンは生地が破れたりすると中のダウンが放出されて保温できなくなってしまいますが、化繊綿はシート状や紐状になっているためその心配がなく、もちろん毛抜けもありません。
比較的ダウンより値段が安いことも購入者にとっては大きなメリットです。
化繊のデメリット
一般的な化繊綿は、ダウンよりも保温性が落ちます。
ダウンと同じ保温力にするためには、化繊綿に厚みを持たせなければならず、そのため重くなりコンパクト性に欠けます。
とは言われていますが、最近はダウン並みの温かさと軽さを提供する化繊綿が続々と開発されているため、一概には言えません。
ちなみにそうした最新の化繊ジャケットは、値段もダウン並みです。
こんなときにはどちらを選べばいい?
ダウン、化繊、それぞれのメリットとデメリットを踏まえたうえで、アクティビティやシーンに合わせたジャケットを選びたいものですよね。
しかし、人それぞれ温かさや重さの感じ方も違えば、天候や季節、行動中か休憩中かによっても最適なジャケットは変わるでしょう。
これが絶対に正解!というものはないのです。
例えば、夏山登山で山頂の寒さ対策で着るならコンパクトになるダウンジャケット、スキーやスノーボードのインサレーションなら濡れても温かさを維持してくれる化繊ジャケットなど、シチュエーションを想定して考えてみてください。
街着で着るのであればどちらでも問題ないので、デザインで選んでいいでしょう。