燕岳の魅力
燕岳の標高は2,763m。緑のハイマツと白い砂地のコントラストが映える山容は、女王と呼ばれるにふさわしい気高さがあります。7月中旬から8月上旬には、ピンクの可愛らしいコマクサの群生も見どころです。
自然のオブジェといわれる奇岩が多く、イルカ岩・メガネ岩・ゴリラ岩・ライオン岩を探しながら、散策する楽しみもあります。ハイマツ付近で雷鳥に出会うことも。天気がよければ、山頂からはダイナミックな山々が見られるなど、魅力がいっぱいの山です。
「合戦尾根ルート」の登山行程
今回はビギナーと一緒に、無理のないペースで日帰り登山をしてきました。初心者の方でも登りやすい合戦尾根ルートです。
合戦尾根ルートは北アルプス三大急登のひとつですが、登山道が整備されています。休憩しやすい間隔でベンチが置かれているので、無理なく登りやすいでしょう。人気の山小屋もありますよ。
実際に歩いてきた道を、各区間ごとに詳しくご紹介します。
中房温泉(なかふさおんせん)登山口〜第二ベンチ/約90分
登山口にはテーブル・ベンチ・トイレがあるので、ここで身支度を整えてから出発!スタートから急坂がつづくため、トレッキングポールをつかうと、脚への負担が和らぎます。
登りはじめはゆっくり呼吸を整えながら進みましょう。40分くらいで、水場のある第一ベンチに着きます。6月下旬ごろは、第二ベンチまでの区間にギンリョウソウが咲いていますよ。
トレッキングポールのつかい方については、以下の記事を参考にしてみてください。
「トレッキングポールの使い方知ってますか?基本的な使い方やおすすめを紹介」
「登山でのストックの正しい使い方とは?平地・登り・下りに分けて紹介」
第二ベンチ〜合戦小屋/約80分
第二ベンチからの休憩ポイントには、第三ベンチ・富士見ベンチ・合戦小屋があります。適切に休みながら登りましょう。第二ベンチあたりから、大量の虫が発生していました。夏は虫が多くなるため、虫除けネットを持っておくと快適に登れます。
第三ベンチからは標高が2,000mを超えるので、呼吸を深くしましょう。富士見ベンチをすぎ、急斜面を登りきれば、休憩所の合戦小屋に到着です。売店やトイレがあり、夏は名物のスイカが食べられますよ。
合戦小屋〜燕山荘/約50分
合戦小屋から15分くらいのところに、白い砂地の合戦沢ノ頭があります。ここからは大天井岳(おてんしょうだけ)や槍ヶ岳がのぞめて、見晴らしのよい場所です。石に囲まれた三角点もあります。
合戦沢ノ頭からは、なだらかな登りになります。燕岳の稜線やアルプスが見え、最後の急登を超えたら燕山荘(えんざんそう)に到着です。燕山荘にはカレーやうどん、グッズなどもあるので、ぜひ立ち寄ってみてください。わたしはお昼にカツカレーを美味しくいただきました。
燕山荘前の広場からは、優雅にたたずむ燕岳と、槍ヶ岳へつながる美しい山々の稜線が見渡せます。景色を眺めながらの食事やコーヒータイムは、至福のひとときです。
燕山荘〜燕岳山頂/約30分
奇岩のオブジェを見つけながら、山頂までの稜線を歩いていきます。途中に、イルカ岩と槍ヶ岳が一緒に撮れるフォトスポットがありますよ。
登った日は朝から雲が多く真っ白な山頂でしたが、お天気がよければ360度の大パノラマが広がり、素晴らしい眺望です。山頂は狭いので譲り合って撮影しましょう。
燕岳山頂〜下山まで/約200分
景色に魅了され、いつまでも山頂にとどまりたくなりますが、下山しなければなりません。下りは脚への負担が大きくなります。燕岳は斜面が急なので、トレッキングポールをつかったり、体を横向きにして下ったりして、疲労を軽減させましょう。
ねんざや転倒の事故がないように、下山する前に靴ひもを締め直し、歩幅を狭くして歩くのもポイントです。
燕岳の登山口へのアクセス
今回はマイカーで訪れました。平日の深夜2時ごろに到着すると、登山口付近の無料駐車場は、3ヶ所ともほぼ満車でした。7月・8月の週末は、23時ごろには満車になることも。登山シーズンの週末は、公共交通機関の利用をおすすめします。
中房温泉通へ通じる、槍ヶ岳矢村線(やりがたけやむらせん)は道幅が狭いので、車のすれ違いには気をつけましょう。
詳しい交通情報は以下をチェックしてみてください。
参考:燕山荘「燕岳登山口へのアクセス」
燕岳の登山での注意点
燕岳は、合戦小屋をすぎたあたりから風が強くなります。樹林帯と稜線歩きの気温の変化に注意しましょう。
この日も風が強かったので、体が冷える前に合戦小屋からアウターを着ました。とくに燕山荘から山頂までは、稜線を吹き抜ける風が冷たく、中間着にフリースもプラス。燕岳にかぎらず、高山ではこうした服装のレイヤリングが大切になります。以下の記事を参考にしてみてくださいね。
「夏登山で覚えたい標高別のレイヤリング術」
「夏登山の服装とは?夏登山では2つの気候変化に備えよう」
また、6月上旬までは残雪があり、10月上旬以降は雪が降りはじめるので、その時期は軽アイゼンを持っておきましょう。
ライター
yuki
幼少期からキャンプや釣り、スキーなどを楽しむアウトドアファミリーで育つ。10代後半は1人旅にハマりヨーロッパや北米を中心としたトラベラー期となる。現在もスキー、スノーボード、ダイビングなど海や山で活動中。「愛する登山」は低山から厳冬期の雪山まで季節問わず楽しむhike&snowrideなスタイル。お気に入りの山は立山連峰!Greenfield登山部/部長の任命を受け部活動と執筆活動に奮闘中。