競技を束ねる協会の存在はとても大きなものとなっています。スケートボードの世界でも変わりありません。今回の取材では30年以上の歴史を誇るAJSA(日本スケートボード協会)にお話を伺いました。協会の概要から業務全般に関わる話をお届けまします。

コンテスト開催は協会活動の一部にしかすぎない

AJSA(日本スケートボード協会)

ーまずは読者の方たちに日本スケートボード協会の紹介からお願いします。

一般社団法人という形をとって、スケートボードを通して社会貢献をしている団体になります。皆さんからはAJSA(ALL JAPAN SKATEBOARD ASSOCIATION)という略称で親しまれています。

活動内容としては、皆さんにとってもっとも見近なのはコンテストになります。中でもアマチュアサーキットは東北、関東、中部、関西、西日本の5地区で年間3戦行っており、北海道、中国・四国の2地区もスポットで開催、そこに今年は北陸地方も加わる予定です。これら合計18戦がAJSAの登竜門のような位置付けになります。

そして前出の5地区は年間ランク上位16名、後出の3地区は上位5名に全日本アマチュア選手権の出場権が与えられ、そこから8名がプロ昇格権を獲得できます。そして公認プロになると、翌年から賞金がかかったプロツアーのコンテストに出場できるという流れになっています。

また最近では時代の流れから、AJSAを制した者は世界へ。という傾向が強くなっているように思います。これらが皆さんから見えやすい表の活動になります。

しかし、これらは協会の活動全体からいえば一部にしか過ぎず、じつは世の中のスケートボードに関する問い合わせ対応の方が多いんです。官公庁から公共のスケートパーク建設の話もありますし、それとは逆に警察絡みの問い合わせなどもあるので、そういったさまざまな声に誠心誠意応えています。

AJSAは大会がメインの発信事業ではあるのですが、一般的にはよろず相談所的なところが仕事の約6割を占めています。

 

数多くの有名スケートパーク建設に尽力

AJSA(日本スケートボード協会)

ースケートパークの建設はどこに関わったのですか?

為本的にはパブリックパークの仲介役が大半になります。大きなところでは山形の寒河江スケートパークです。地元の要望をまとめて、協会が山形県とアドバイザー契約を結び、安全面や外から見える部分をチェックしました。最初の建設はもちろん、現在進行形で行っているリリューアルプロジェクトも全面的に関わっています。

あとは近年建設されたものだと、三重県の松坂や新横浜のリニューアルなども携わりました。コンセプトだけなら茨城県の笠間もです。

あとは鵠沼のコンビプールはほとんどAJSAといって差し支えないと思います。運営元の渚パークからリニューアルの相談を受け、日本に足りないスケートパークはこれだというプレゼンして、それが通ってできたのがあのパークなんです。

このように今までいろいろなスケートパーク建設に携わらせていただきましたが、どこも設計は協会主導で進めるのではなく、地元スケーターとの交流をなるべく多く作って進めることを心がけています。

近年はスケートパークの新規建設も一般的になりつつあるので、協会が今まで蓄積してきたノウハウを活かすだけではなく、地元の愛好者の意見も多く取り入れることで、独自の地域色を打ち出していくことが非常に重要だと考えています。

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この記事を書いた人

吉田 佳央

1982年生まれ。静岡県焼津市出身。高校生の頃に写真とスケートボードに出会い、双方に明け暮れる学生時代を過ごす。大学卒業後は写真スタジオ勤務を経たのち、2010年より当時国内最大の専門誌TRANSWORLD SKATEboarding JAPAN編集部に入社。約7年間にわたり専属カメラマン・編集・ライターをこなし、最前線のシーンの目撃者となる。2017年に独立後は日本スケートボード協会のオフィシャルカメラマンを務めている他、ハウツー本も監修。ファッションやライフスタイル、広告等幅広いフィールドで撮影をこなしながら、スケートボードの魅力を広げ続けている。